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フランスの治安はテロ以来どのように変化したのか

フランスの治安はテロ以来どのように変化したのか

 2015年11月13日、パリ市内と郊外においてイスラム国のテロリストによる、同時多発テロが起こりました。このテロにより、123人の何の罪もない市民、そして7人のテロリストが亡くなり、413人の負傷者(内99人は重傷)が出ました。

 以来、パリ市内のあちらこちらで、銃を持ち迷彩柄の軍服に身を包んだ軍隊の警備風景を見かけることも珍しくなくなりました。

 ただでさえ、観光客狙いのスリや引ったくりが多いパリ。近年はそこにテロリストも加わり、決して安全とは言い切れない都市になりつつあります。そんな、日常におけるパリ市内の治安について、今回は焦点を当ててみたいと思います。

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デパートや劇場、美術館等に入るときの荷物チェック

 同時多発テロ以来、パリの中心部にあるギャルリーラファイエットやプランタンなどのデパートを始め、市内の他デパートや劇場、美術館に入る際のセキュリティチェックがほぼ必須となりました。

 各施設の入り口において、荷物を警備員が持つ棒状の機械にあてて、中に危険物が入っていないか反応を確かめたり、探知機のついたゲートを通らされたり、持参している鞄のふたを開けて中を確かめることが求められます。

 このような警備員達は、公的機関ではなく私的機関から派遣されている警備員のため、彼らが直接お客の荷物に手を入れて確かめる等の行為は禁止されており、こちらから中がよく見えるように見せないとなりません。

 このチェックのために、デパートの数ある出入り口は大半が錠をかけられ、自由に出入りができず、おのずと警備員がいる出入り口を使わないといけないように制限されています。

 ゆえに人が多いときは、施設に入るために列ができていることもあります。出入り口が限られたせいで、いつも使っていたバス停や駅に近いほうの出入り口が使えなくなり、遠回りをしなければならないので、その点でも少し不便になりました。しかし、あのテロのことを考えると、逆にこれぐらいセキュリティチェックをしてくれている方が安心なのかもしれません。

 日本に一時帰国した際、デパートの入り口で荷物を見せるのが習慣化していた私は、逆になんだか拍子抜けして不安になった記憶があります。これからオリンピックを迎え、数多くの外国人観光客を迎えるであろう日本も、これぐらいのセキュリティチェックは取り入れてもよいと思います。

 日本のあちらこちらにも店舗があるスペイン系某洋服チェーン店では、入り口の警備員による荷物チェックはないものの、試着室に入る際、手持ちの荷物を試着室コーナー入り口にある機械にかざして中身をチェックするシステムがここ数年取り入れられています。

 盗難防止目的ならば店の出入り口にセンサーがあるので、これは試着室内に何か危険物を放置しないためのセキュリティチェックではないかと思います。致し方ないこととはいえ、手に荷物を沢山持っているときはやや面倒です。

 近所のスーパーにおいても、セキュリティのため、大きなリュックサックや荷物は、事前に入り口の無料コインロッカーに入れるシステムになっています。銃や爆弾などの危険物を持ち込み防止するためです。

 しかし本来の目的から逸れて、近所のマルシェで買い物をした後にスーパーに寄ったお客が、網袋入りの5Kgのジャガイモをロッカーに入れているなど、セキュリティ以外の理由でも、この無料ロッカーは活躍しています。

保育園、幼稚園にて

 テロ直後、当時、娘は保育園に通っていたのですが、保育園の入り口に「不審者の出入りは厳重にチェックします」の紙が貼り出されました。娘の送迎は主に私が担当していたため、一度たまたま主人が出向いた際に、主人を見たことのない保育園職員が不審がったということもありました。

 ちなみにテロ前からの基本のセキュリティは、保育園や幼稚園の送迎時間は、入り口に警備員がいる状態で開け放たれているか、閉まっている場合は入り口のテンキーコードでドアが開くようになっています。時間外は守衛とインターフォンで連絡を取り、ドアを開けてもらうなど、不審者が簡単に入れないような仕組みになっています。

 さらに誘拐などの犯罪を防ぐため、親が事前に提出した「お迎え者リスト」に名前のない人は、子供を保育施設から連れ出せない決まりになっています。例え突然祖母が迎えに来ても、事前にリストに名前がなければ孫を連れだすことができないのです。幼稚園の隣のパン屋さんの前にはいつも物乞いが座っていたりするので、これは保護者としては安心です。

メトロの地上出口に要注意

 パリ市内の路地だけでなく、メトロの駅構内にもたくさん物乞いやジプシーがいます。ジプシー、それも主にジプシーの子供たちはメトロの車内でスリをはらたくだけでなく、メトロの地上出口の階段辺りにもたむろしています。彼らは一見アンケートを装った紙やノートを目の前に突き出してきて、こちらの視界を遮り、ひるんだ間に影からほかの仲間が財布をすったり、鞄をひったくったりします。

 私も一度、通訳ガイドの仕事でお客様といた際に、メトロから地上に出た階段でこの被害に合いそうになりました。お客様も私も、訳も分からずに鞄は必死に両手で守り、さらに私がフランス語で叫んだために、蜘蛛の子を散らすように、何も手にせずジプシーの若者たちは去っていきました。

 さらに先日、メトロのボックス席に座り、日本語の本を読んでいたらなんだか周りの空気が変わったのを感じ、目を上げれば、目の前、隣そして背後にジプシーの若者が私を囲むように座り、私の一挙一動をにやにやしながら観察していました。

 一気に鳥肌が立ち、何気ない風にさっと席を立ち、他の車両に移りました。そんな私を見て、斜め前にいたフランス人女性も不安に思ったのか一緒に車両移動。パリのメトロおよびメトロ周辺では特に気が抜けません。

 それに比べ、日本では車内で寝ている人が珍しくないほど、平和な空気にあふれています。そんな日本の電車に乗ると、ほっとする自分がいます。(痴漢は別にして)日本ほど、安心して電車に乗れる国はそんな多くはないと思います。

フランス人の行動の変化

 テロ以降、パリの空気はさらにピリピリしたものに変わりました。テロ当日、現場から150mの距離を私はバスに乗り通りすぎていました。あの惨事があったそばを、何も知らずにと思うと、今でもぞっとします。

 劇場や映画館、人の多い場所に行くと心の奥で、異変を感じたら気を付けないと、という思いを常に抱えています。周りを見渡す目線も厳しいものになった気がします。

 人の集まる週末にあえてパリの中心街に出かけることは避けるようになりました。でもこれは私だけでなく、周りのフランス人達も同じようです。フランス人の友達の一人は市内移動にも便利なメトロは使わずに、完全マイカー派、決して公共の乗り物には乗らなくなりました。テロが残した爪痕は、今でもパリジャン達の心の奥底に残っています。

 日本と比べ、治安面では決して気の抜けないフランス、パリですが、テロにあう確率はきっと交通事故にあう確率よりは低いと思いますし、スリも気を付けていれば、被害にあうこともある程度は防げます。

 実際、パリ在住14年の私自身、スリ未遂にはあったことはあっても、実際に被害にあったことは未だ一度もありません。もしフランスに旅行できる機会があるならば、恐れずにその一歩を踏み出してみてください。怖がっていては、他の貴重な経験をするチャンスすら逃してしまうかもしれないのですから。

[参考記事]
「移民の増加でフランスと同じように日本もテロの標的になる」

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