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我が家の韓国の伝統儀式「チェサ」を紹介します(写真付き)

我が家の韓国の伝統儀式「チェサ」を紹介します(写真付き)

 

 韓国には「チェサ」という、日本でいう法事があります。先祖の命日に祭壇の前で、先祖崇拝の伝統儀式をします。初めて見たとき、私は感動で涙が出ました。これを代々受け継いで、まだ見ぬ我が子もやるんだなと、素敵な伝統だと思います。


(左から、舅、義理の叔父、主人)

 韓国人男性と結婚してから得たチェサの知識ですが、我が家のチェサを紹介します。通常は、まず親戚の女性のみ本家に集まり、泊まりこみで大量の料理を作ります。これは、韓国人の嫁でも喜んでやる人は少ないと思います。

 命日当日に、男性が料理を並べ祭壇を作り、儀式を始めます(写真を参考に)。マッコリというお酒を注いだり、最敬礼というお辞儀をしたり、決まった手順があります。ここでは、女性の出番はありません。

 儀式終了後に、我が家では男女関係なく親戚一同でお供え物を含めた食事をします。

 そして、そのお供え物の料理はしばらく食べ続けます。正月の遠い親戚の訪問等は、どの家に行っても似たような食べ物が出てくるので、正直飽きます。

 親戚が多かったり人の出入りが激しい家は、お客さんがひっきりなしに来て、嫁は常に動いています。私の家ではそれがないので、とても助かっています。うちは敷地内同居なので当然旦那の実家に泊り込みはなく、我が家のフカフカのベットで快適に寝れます。

 というのも、韓国は基本はどの家もオンドルという床暖房が完備されています。床の下に熱湯が流れるパイプが張り巡らされており、スイッチ1つで温まります。部屋が暑すぎて、冬は半袖Tシャツ1枚で過ごすことも、ごく一般的です。

 その為、床の熱が伝わるよう、薄い敷き布団や直に寝る人が多いです。チェサで親戚が集まると、布団が足りずに床に直寝しなければなりません。私も1.2回寝る機会がありましたが、まあ寝苦しく身体が休まりません。自分の家で寝れることは、敷地内同居の特権です。

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チェサのための買い出しは苦痛

 チェサは、命日の他にお盆とお正月にもやります。その際は、昔の日本のように遠い親戚が集まります。その時の市場はどの家もチェサをやるので、人でごった返しになります。そのため、我が家では朝早く出掛けたり前日に市場に行き、空いてる時間帯に買出しを終わらせます。

 この時の姑との時間も、なかなか苦痛であります。年上を敬う文化、重いものを姑に持たせてはなりません。率先して持つよう、常に気を張っています。それでも、最近は姑一人で買い出しに行ってくれるので、ありがたいです。


(上:野菜市場 下:魚市場)

チェサの後にはお墓参り

 お正月とお盆のチェサの儀式後には、男性のみお墓参りに行きます。韓国も最近では火葬も増え、墓石もありますが、昔は山に埋葬し、日本の古墳のような山なりになった「サンソ」というお墓が一般的です。

 私も、結婚1年目だけは韓服(チマチョゴリ)を来て、裏山の雑草が生い茂った道なき道をぜぇぜぇ言いながら登って、サンソでの儀式に参加しました。ここでは、韓国焼酎のソジュやマッコリを山なりのお墓サンソに直接掛けたり、最敬礼をしたり、簡単に儀式を行います。

 雑草が生い茂った道と言いましたが、1年に一度だけお盆前に刈る「ボルチョ」というものがあります。これも男性陣の仕事で、この時の人との挨拶は「ボルチョやった?」に変わります。(他にキムチ漬けやった?という挨拶をする時期もあります。)

最近のチェサ事情

 基本的に、キリスト教徒はチェサはやらない家が多いです。正直羨ましいです。

 それでも、うちは親戚が少ないので自分の仕事の分担が毎回決まっており、他の嫁と比べられることもなく、そこまでの苦痛は伴いません。

 何よりも、『避難所』の我が家がすぐ隣にあります。ちょっと洗濯物を干してくるという理由で我が家に行き、旦那とビールで乾杯して一息つき、また作業に戻るということもしたことがあります。敷地内同居ならではの、大きなメリットですね。

 また、近年は、昔に比べてチェサを簡素化している家庭が多いです。従来は5代前からの先祖の命日の午前0時からチェサを行いますが、今は命日が近い先祖を合わせて行ったり、翌日の仕事に響くので早い時間にやります。遠い先祖や、重要ではない先祖の場合、料理の数を減らしたり簡単に行う場合もあります。仕事を理由に参加しない人も、たくさんいます。

 ここ最近で大きく変わったと感じたことは、お盆やお正月の時です。日本のように盆正月に連休はありますが、親戚みんなで集まり、家族一緒に過ごさなければなりません。それが、最近では日本のように海外旅行をする人が増えたのです。

 もちろん儀式はしなければなりません。そのからくりは、1.2週間前倒しでチェサを行い、連休には海外というパターンです。韓国には日本のような連休が、1年を通してもほぼありません。世界的にも日本の連休の頻度の高さは珍しい方かと思います。

 うちの親戚も1組、お盆のチェサには参加せずに中国旅行に行きました。保守的だと思っていた舅が、快く許していたので驚きました。時代はどんどん変わっていきますね。

まとめ

 女性陣だけが前日からせっせとチェサの準備をし、男性は何も手伝わないことから、男尊女卑と思われがちですが、「料理→女性」、「儀式と墓参り→男性」という役割分担があります。

 女性は、儀式に参加『しなくてもいい』ですし、サンソに行くという大変な仕事は男性のみなので、とてもラッキーとさえ思います。

 よくネットでは、<男性は料理は一切手伝わずに台所にすら入らない。儀式の部屋には、女性は入れてもらわない>などと悪いように書かれますが、儀式の最中はうちの姑は、別の部屋で昼寝しています。叔母は台所で儀式のサポートをしつつ、座ってお茶を飲んでいます。料理という大きな仕事が終わったので、あとは自由時間です。私は後ろで座って眺めています。

 もちろん、部屋に入れないなんてこともありません。男尊女卑など、私は微塵も感じません。

 会った事のない先祖への儀式なので、嫁の義務としてやっていますが、もし世代が代わり義父母のためのチェサをやる場合は、簡素化するにしても今より気持ちを込めてやると思います。以前よりも家族として思えるようになった証です。家族との関係が蜜で情が深い韓国、日本とはまた違った形の情です。

 いつかは、長男の嫁である私が全て準備して、チェサを行わなければなりません(中には、嫁いで数回目に嫁の仕事となり、買出しから全て1人で行っている日本人の友人もいます)。

 それまでは姑に甘えさせてもらって、適度にお手伝いをさせてもらい、少しずつ覚えていこうと思います。甘えられる家庭に嫁いで、私に良くしてくれる義父母にとても感謝しています。

[参考記事]
「韓国人と結婚した日本人女性の現実。日韓問題が夫婦生活に影響?」

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