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スウェーデンでの就職活動の現実。なかなか就職できない

スウェーデンでの就職活動の現実。なかなか就職できない

 

 「北欧の労働環境はホワイトである(ブラック企業は少ない)」
 スウェーデンの労働環境は確かにすばらしいですが、就職するまでが一苦労。

 ここではスウェーデン在住歴3年の筆者が実際に体験した、採用されれば天国・採用されるまでは地獄なスウェーデンでの就職活動について紹介致します。

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どんなことをするの?求人探しから採用まで

 スウェーデンの雇用形態は大きく分けて3つあります。
・フルタイム(正規雇用)
・パートタイム(正規雇用)
・その他短期のアルバイト等(正規雇用から派遣まで様々)

 求人探しは主にスウェーデン版のハローワークである「Arbetsförmedlingen」で行います。フルタイムから夏休みの間だけの短期アルバイトまで、実に様々な求人が集まっています。求人はArbetsförmedlingen施設内の他、インターネットからも閲覧が可能です。その中から希望の求人を選び応募をします。

 スウェーデンには日本のような「新卒採用枠」や「既卒採用枠」といった枠組みがありません。いつでも、何歳からでも応募ができるのは良いところです。

応募前から立ちはだかる言葉の壁

 スウェーデンは英語がどこでも通じる国として有名です。そのためか、移民の中には「英語は得意だからスウェーデンでも簡単に就職できるに違いない!」と思っている人が少なからずいるようです。

 しかしここには落とし穴が。英語がどこでも通じるということは、裏を返せばスウェーデンでは英語ができて当たり前とみなされてしまう、ということなのです。これは日本人にとって非常に手痛いハンデとなります。英語ができるだけでは就職活動における長所として活かせないのです!

 英語の他にIT関連のお仕事(プログラマー、システムエンジニア等)や日本食料理人としての職業経験を持っていればハードルは多少下がるものの、スウェーデンで就職活動をする場合、スウェーデン語に関する知識がなければ基本的に門前払いされてしまいます。

 実際求人には「スウェーデン語での会話・読み書きが堪能であること」と条件がついているものが大半です。ライバルのスウェーデン人と比べて、英語にもスウェーデン語にも遥かに馴染みのない私たち日本人にとっては大きな壁となります。

 スウェーデンのハローワーク「Arbetsförmedlingen」に実際に掲載されていた求人例。たった2つの応募条件の中には「スウェーデン語が会話・読み書き共に堪能であること」が含まれています。

 では、就職活動に苦しんでいるのは日本人を含む移民たちだけなのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。現地のスウェーデン人ですら、次のステップである「書類選考」に苦しめられているのです!

アルバイトすら高倍率!応募と書類選考

 お気に入りの求人を見つけ、応募条件を満たしていれば応募段階に入ります。最近スウェーデンではデジタル化が進んでおり、企業の自社ホームページの専用フォームやArbetsförmedlingenの求人ページに掲載されているメールアドレスへ履歴書(CVと呼ばれています)と送り状を送信するのが基本です。

 手書きの履歴書は使いません。その代わり自分で一からWord等のソフトを駆使し、手作りする必要があります。初めは面倒なものの、一度完成させてしまえば何度も使いまわせますから、この点は日本より楽と言えます。

 応募が終われば企業は送られた書類を元に書類選考を始めます。これが非常に曲者です。たとえ短期のアルバイト募集であろうとも、なんと10社応募して1社お返事が来れば良い方、といった高倍率なのです。

 その上お返事が選考通過のお知らせとは限りません。やっと返事が来たと思ったら不採用通知だった、という悲しい事態も起きうるのです。正規雇用の募集であれば言わずもがな、専門的な資格のいる職種(医者・看護師など)でない限り更に高い競争率に。

 「書類選考すら通過できない!」スウェーデンに住む人々はこの問題に国籍関係なく悩まされることになります。対策としては応募できる求人に手当たりしだい応募する、スウェーデンの大学に通って専門的なスキルを身につける、ぐらいでしょうか。運良く書類選考を通過できたら面接へ進めます

日本での就職活動経験が活かせる 面接編

 企業によっては、面接へ進む前に適性テストを受ける必要があります。しっかりした企業ほど適性テストが存在する確率が高いです。内容はスウェーデン語についてのテスト、職務内容についてのテストなど多岐にわたります。面接は日本と同じように一対一形式やグループ面接形式が主流です。面接の回数も企業や雇用形態によって異なります。

 全てに共通する良い点は、圧迫面接が存在しないこと!面接官は皆さん基本的に気さくです。たまに不機嫌そうな人に当たることもあるでしょうが、暴言などで威圧してくる人は全くいません。質問の内容も日本とさほど変わらないため、日本での就職活動経験が活かせます。

 反対に日本人にとって不利な点もあります。面接がごく一部の企業を除き、スウェーデン語で行われるところです。ただでさえ緊張していると言葉がでなくなるもの。スウェーデン語での安定した会話力が求められます。

 また、日本の面接と大きく違う点が一つあります。ほとんどの求人には給与があらかじめ設定されておらず、面接で給与交渉を行うところです。企業によっては採用後に話し合う場合もあります。

 大事な点は、ここで「いくらでも構いません。」「安い給料でも精進して参ります」等の返事をしてはいけないこと!「給与はその人に応じて適切な額を支払う」ことが求められているスウェーデンでは、上記のように答えてしまうと「御社は給与をまともに支払うことすらできないのですよね」と侮蔑したように聞こえてしまうのです。ホワイトな労働環境ならではの違いですね。

 面接が終わり、採用を貰えば晴れて就職活動終了になります。スウェーデン人でも通常早ければ3ヶ月、数年間就職活動を行っても未だに採用が貰えないなんて人もいます。

終わりに

 労働環境と比べて、就職活動事情はシビアなスウェーデン。その代わり一度職を得れば、再就職が難しいこととあまりの働きやすさに辞めたくなくなります。スウェーデンでの就職活動は素晴らしい労働ライフを送る前の、一種の試練と言えるかもしれませんね。

[参考記事]
「スウェーデン人はセックスに寛容だけど浮気や不倫はしない」

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