
近年、パリの空気が濁ってきており、私自身日本にいた時よりもすっかり喉が弱くなり、天気の良い日に外出すると、咳き込むこともしばしば。
さらに娘もとうとう喘息持ちになってしまいました。掛かりつけの小児科医によると、ここ数年、喘息持ちの幼児が圧倒的に増えているとのことで、パリの空気汚染の影響を指摘していました。
そこで今回は、パリの空気汚染問題について語ってみたいと思います。
空気汚染の影響
パリ市のサイトを見ると、自動車渋滞の排気ガスによる空気汚染の影響で多くのパリ市民が呼吸器疾患を抱え、一般的にパリジャンの寿命は他の地方よりも2年短いと記載されています。実際、娘の幼稚園でも、娘を含め喘息持ちの園児はクラスの三分の一を占め、彼らは万が一のために担任に気管支拡張剤を預けている状態です。
フランスの新聞ル・モンド紙によると、2013年末の段階で「パリの空気の汚さは、20平米の部屋に8人の喫煙者がいる状態に匹敵する」との見出しも見られます。想像するだけでもぞっとする例えです。確かに、天気の良い日にエッフェル塔を遠くから眺めようと高台に上っても、ぼやけてすっきりと見えない日も少なくありません。空気が濁りすぎて遠くの景色まで見えないのです。
パリ市の対策
●【ナンバープレートで規制】
空気汚染の数値が高くなると、定期的にパリ市内を走る車の台数が制限されます。例えば今週木曜日は車のナンバープレートの数字が偶数の車のみ、翌日金曜日は奇数の車のみ、といった具合です。
一見グッドアイデアのようですが、仕事で車が必要な職種の場合、これが悩みの種になります。どうしても工具を積んで走らなければならない職種や、早朝や深夜で公共交通機関が動いていない時間の出勤のために車が欠かせない人はどうしたらよいのでしょう。
一応、どうしても車必須の職種の場合、職場の証明書があれば走行可能とありますが、車の制限が発表されるのは大抵実施日二日前などで実施日が迫った状態。小さな会社なら融通が利くかもしれませんが、大きな会社の場合、証明書申請から発行まで時間が足りず、その当日までに証明書が手に入らない場合も多いのです。
私の友人もその例に漏れず、規制が発表されてから証明書を申請しても間に合わないので、毎回罰金覚悟の証明書なしで運転しているようです。
●【市内の設備】
パリ市の空気汚染に対する具体的な対策として、パリ市のサイトによると、
① 自転車走行レーンを充実させる(自転車通勤を促進させるため)
パリでは自転車は車道を走らなければならないのですが、自動車と自転車の接触事故も多く、安心して自転車に乗るのは難しい状態です。
② 時速30キロゾーンを増やす
フランスの交通ルールでは、街中は特に表記がない場合、制限時速50キロとなっています。通常、30キロと50キロとでは50キロの方が燃費が良いので、この策の理由は分かりません。
③ 歩行者天国を増やす
今は1カ月に一度、シャンゼリゼ通りが歩行者天国になる程度で東京ほど定着していない印象です。
④ 通行車両を制限する道を増やす
例えば配達のトラックや、あたりの住人のみ車両通行可能にし、それ以外の車は通行禁止にします。去年あたりから制限のある道が増えており、迂回しなければならないルートもあります。
このように、少しでも車の排気ガスを減らすために色々な対策を打ち立ててきています。
●【パリ市民への補助】
2018年1月より、パリ在住者で車の所有を諦めた場合、以下の補助が受けられます。
① 一年間につき定期券400ユーロまでの補助+一年間のヴェリブ(パリ市内に点在する貸出自転車)利用料金を無料
パリ市内の公共交通機関、一年の定期券代は市内一律料金827,40ユーロなので、約半額負担と考えるとお得な補助です。交通費は年々上がっているので、補助があればマイカーを諦めてメトロやバスにする人も増えると思います。さらに、2007年の開始より大好評の市内貸出自転車が無料で利用できれば、ちょっとした移動にも困りません。
② 自転車、電気自転車、三輪自転車、三輪電気自動車、電気スクーターを購入の際、400ユーロの補助 (電気自転車の場合に限り、条件によってはさらに400ユーロの補助あり)
交通公共機関以外に他の交通手段が必要な市民には、自転車等購入の際、金銭的補助があると買いやすくなり、パーキング場所やその料金に悩まされるマイカーよりこちらを選ぶ人もいるでしょう。
③ オートリブ(パリ市内に点在する貸出電気自動車)の年会費一年分50ユーロ分割引+前払いの利用料金50ユーロ分プレゼント
ヴェリブ同様、市内に設置されている電気自動車オートリブは2011年より開始され、どうしても車が必要な場面の移動手段の一つとして定着しています。他にも事業用トラックを使う職人向けなどにも様々な金銭的補助があるようです。
まとめ
パリ市のこれらの取り組みにより、ピーク時よりは空気汚染は少しマシにはなってきているようです。パリをより住みやすい空気の街にするためには、これらの対策の継続及びパリ市民一人一人の空気汚染に対する意識改革が一番のカギだと思います。
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