日本のアニメ漫画は、ここフランスにおいても人気があり、本屋や図書館には日本の漫画をフランス語訳したものがずらりと並んでいます。今回は、フランスにおける日本のアニメ漫画文化について綴ってみたいと思います。
日本のアニメ
私が幼い頃に観た日本のアニメ「キャンディキャンディ」「キャプテン翼」「聖闘士星矢」など、実は私と同世代であるフランス人の主人もテレビで観ていたとか。ただ、やはり数年のずれはあるようですが、それでも国境を越えて、子供時代の日本のアニメの話ができるのはちょっと凄いと思います。
フランスにおいて70年代後半80年代は輸入された日本アニメの全盛期であり、80年代後半辺りから、フランス文化が日本のアニメ文化に押されたのを懸念してか、一部政治家から「日本のアニメは暴力的なシーンが多いから放送中止すべし」との声が上がり、日本アニメは一時期バッシングの対象となりました。
しかし既にフランスの若者間に広がっていた日本のアニメへの愛情は消えることなく、アニメファン達の活動に支えられ、今また日の目を見ているのです。
ちなみに一部の日本のアニメのタイトルはなぜかフランスに入るとタイトルががらりと変わってしまうのも面白いです。例えば、「キャプテン翼」はOlive et Tom(オリーブとトム)、Oliveと略されたOlivierは翼、Tomは若林君になります。さらに「めぞん一刻」はJuliette Je t’aime(ジュリエット愛している)とがらりと変わるので要注意です。
現行のTVアニメだと、チーズスイートホーム(仏語タイトル Chi)や妖怪ウォッチ(仏語タイトル変わらず)、One Piece(仏語タイトル同じ)、ポケモン(仏語タイトル同じ)あたりが子供達に人気のようです。我が家の階下に住む小学一年生の子がChiの漫画を歩きながら夢中になって読んでいる姿を見て、思わず意味もなく声をかけたくなりました。私達が子供だった時代よりも速いスピードで日本のアニメは輸入され放映されているようです。
日本の漫画
フランス語で、漫画はMANGAとそのままのアルファベット表記で呼ばれています。漫画は日本で一番読まれているといわれていますが、その次に漫画が一番読まれている国はフランスです。
フランスでは元々日本の漫画以外にBDと呼ばれるBande Dessinee、意訳すれば「続き漫画」と呼ばれる漫画がベルギーと共に浸透しており、日本の漫画文化がスムーズに受け入れられる素地は揃っていたと思います。
メトロの車内で、大人が絵本サイズのこのBDやフランス語訳された日本の漫画を読んでいる姿を見かけることも決して珍しくはありません。ちなみに日本の漫画は日本のそれとほぼ同じサイズで発行されています。本屋はもちろん、図書館にもBDや日本の漫画はたくさん並んでいます。
2016年のフランスにおける日本の漫画ベストには東京喰種 トーキョーグールReや、銃夢火星戦記、ワンピース、ブリーチ、ドラゴンボールSDなどがあります。
イベント
日本の漫画アニメに関連したフランス最大のイベントと言えば、毎年7月にパリ郊外のイベント会場で開催されるJapan Expoではないでしょうか。
1999年から毎年開催されているこのイベントでは、アニメ漫画の紹介だけでなく、ゲーム関連のブース、日本の伝統文化のデモンストレーション、たこ焼きや寿司などの和食、和雑貨の販売などその分野は多岐にわたります。漫画関連の出版社及びライセンス会社、ゲーム会社にとってはビジネスの場としても重要なイベントとなっています。
Japan Expoには毎年日本から有名ゲストが呼ばれることでも有名で、2017年はAKB487の柏木由紀さんが招待され、ミニライブを開催し、会場はファンの熱気に包まれたようです。
来場客達はコスプレ参加者が多いことでも有名なこのイベント、実際現地に行くと、コスプレしたフランス人だらけで、普通の恰好で歩いている方が不自然なほどに感じてしまいます。コスプレのレベルもかなり高い人が多いです。
もう一つ有名なBD漫画イベントと言えば、シャラント県アングレーム市で毎年開かれるアングレーム国際漫画祭です。こちらはフランスで最も歴史ある漫画関連のイベントであり、元々はBDのみ扱っていましたが、2000年あたりから日本の漫画も紹介され始めました。以来、度々フランス語訳された日本の漫画もノミネートされています。2007年には水木しげるが最優秀作品賞を受賞、2015年には大友克洋が最優秀賞を受賞しています。
パリ市内、特に5区辺りには、アニメグッズやフィギュアを揃えた店も沢山あり、アニメファンならパリに旅行に来た際、そんなお店を覗いてみるのも楽しいかもしれません。またはお気に入りの漫画のフランス語訳を購入し、日本のそれと見比べながらフランス語を勉強するのも良いと思います。
フランスの日本アニメファンは、日本のアニメから自然と日本語を覚え、多少の日本語ができる人も決して少なくはありません。私の義弟もそんな一人で、日本語の勉強はちゃんとしたことがないのに、ちょっとした会話なら日本語可能なので面白いです。
このように、日本のアニメ漫画文化は、日仏文化交流の立派な架け橋としての一役を担っていると言えると思います。
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