全世界共通で人生の一大イベントである、結婚式。日本では、日中に披露宴を行い、場合によっては夜に二次会を行うというのが多いパターンですよね。披露宴も二次会もそれぞれ2~3時間、半日あれば完了する日本の結婚式が、海外から見るとかなり短いものなのというのはご存知でしたでしょうか。
今回は私がフランスで体験した、なんと朝9時集合、翌朝14時解散で行われた結婚式のスケジュールをご紹介します。
①準備開始!【朝9時~】
フランスで行われる結婚式は、過去の伝統の名残で新婦側の地元で行われることが多いそう。私が参加をした結婚式も、パリ郊外にある新婦の地元で行われました。
結婚式当日の朝9時頃、新婦のご両親宅に新郎新婦、親戚、新郎新婦の付添い人であるブライズメイドとアッシャーたちが集合し、それぞれの着付けやお化粧が始まります。プロのヘアメイクを雇うこともあるそうですが、今回の結婚式は「すべて自分たちで」がテーマだったため、プロにはお願いしなかったそうです。身支度にかかった時間は1時間半ほど。
新婦の育った家のリビングで、ばっちりスーツで決めた新郎が、そわそわと新婦を待つ姿がほほえましくも印象的でした。
②市役所へ【朝10時半~】
新婦の準備がすんだ10時半ごろ、新郎新婦がタキシードとウェディングドレスで対面。お互いをうれしそうに見つめる二人に、早くも回りは感動モードです。感動のひと時をすごした後、このまま新郎新婦はオープンカーに乗って市役所へ向かいます。オープンカーの後ろに空き缶をつけ、音が鳴らしながら走るその絵は、まさに「海外」!
見知らぬ人でも、すれ違い様にクラクションを鳴らしたり、道から手を振ったり、通りすがりの見知らぬ新婚夫婦を祝福します。朝11時ごろ市役所に到着し、まずはこちらで一回目の結婚式。ホールに出席者、市長が集まり、新郎新婦、ブライズメイド、アッシャーのそれぞれが結婚証明書にサインを入れます。
③結婚式2回目!教会へ【午後12時~】
市役所を出てからは、それぞれの車に乗り込み、新婦の地元にある教会へ。ここは日本でもおなじみの形式でセレモニーが進みます。出席者全員が席についた後、後方のドアからブライズメイドとアッシャーたち、新郎新婦の家族、新郎が順に入場し、新婦の入場を待ちます。最後に新婦とその父親が入場し、教会の祭壇の前で、新婦を父親から新郎へ引き渡します。
神父様から祝福をいただいたセレモニー終了後には、出席者は教会の外で新郎新婦を待ち、フラワーシャワーならぬ、バブルシャワー!たくさんのシャボン玉で新郎新婦の新しい門出を飾りました。
④思い出を形に…写真撮影会!【13時半~】
教会での結婚式が終了したところで、場所を再度移動。プロのカメラマンを雇い、新郎新婦と出席者の写真を撮るべく、川のほとりにある小さなレストランへ。家族や友達、親戚たちと人を変え、ポーズを変え、写真を撮る、撮る、撮る…。
フランス人には恥ずかしがり屋さんが少ないのか、カメラマンの指示を元に、かなり張り切って皆さんポーズをとっていました。室内にはフィンガーフードが用意されていたので、自分の出番でないときは、軽食をとったり、コーヒーを飲んだり、のんびりすごします。
ここで撮影された写真は、後日きれいにアルバムにされ、新郎新婦宅に保管されていました。
⑤ここがメイン!?老若男女飲む!食べる!踊る!【16時~】
撮影が終わったところで、最後の移動。みんなでディナーを食べるために食事の会場へ移動します。16時頃、参加者が会場に到着し始めると、すでにフィンガーフードなどが用意されており、シャンパンを飲んだり、軽食を取ったりして、しばしおしゃべりに花を咲かせます。
ちなみに日本で言うところの「ご祝儀」ですが、フランスでもその文化はあるものの、完全に「任意」です。私が参加をした結婚式は、この食事会場に専用のボックスを設置し、「ご祝儀」を用意した方はメッセージとともにこちらへ投函することになっていました。
カップルによっては、デパートなどで自分たちがほしいプレゼントのリストをあらかじめ登録し、出席者にチップイン(皆でお金を出す)してもらう形式をとっている場合もあるようです。その場合には、招待状に小さくデパートの名前や、リストを閲覧できるURLなどが記載されていることもあります。
新郎新婦が会場に到着し、全員がテーブルに着いたのが17時頃。ここからコースで料理が始まります。料理の合間に、新郎新婦が挨拶をしたり、親戚がスピーチをしたり、お友達が出し物をしたりとにぎやかに時間が進みます。
デザートが出るころにはすっかり夜もくれ、気がつけば23時近い時間に。デザートを食べ終え辺りを見回すと、このタイミングでなぜか会場ではディスコタイム!新郎新婦の思い出の曲や、フランスのパーティで定番の曲など、さまざまな音楽が流れ続け、老若男女輪になって、踊る、踊る、踊る!深夜0時を過ぎた頃から、ちらほらと帰る人も出始めますが、結局は朝4時ごろに最後の一人になるまで、会場のディスコタイムは続きました。
⑥昨日の思い出を胸に…朝ごはん【朝7時~】
昨晩の結婚式に出席したメンバーが宿泊先のホテルや自宅から再度会場に集合し、朝ごはんを一緒にとります。場合によってはブランチになることもあるようですが、今回は遠方からの出席者も多かったため、朝食の時間帯から会場に戻ってくる方が多かったよう。のんびりゆっくり食事をし、コーヒーを飲み、最後のおしゃべりに花を咲かせた10時頃から一人、また一人と新郎新婦に挨拶をし、帰路に着き始めます。
お昼近くなり、出席者が全員帰路に着いたタイミングで、新郎新婦やブライズメイド、アッシャー、家族のみんなで会場の片付け。テーブルや椅子をしまい、飾り付けを取り、ごみをまとめ終えた午後14時頃、ようやく、新郎新婦を含む最後のメンバーたちが解散したのでした。通常の参加者でも朝10時半から夜の4時まで、長い人では朝の9時から翌日の14時まで、これが私の体験した最長の結婚式のタイムスケジュールです。
フランスでも、こういった手作りの結婚式でなく、もっと伝統や形式を遵守したクラシカルな結婚式ももちろんあるようです。その場合にはお招きされる時間や、会のルール、マナーなどに違いはあるようですが、共通して言えるのは、その長さ。朝から深夜までの丸一日かかる結婚式が普通で、日本のように日中の2~3時間で終了、なんて話は、まだ聞いたことがありません。
そして何より驚き、賞賛を送りたいのがフランス人のタフさ!新婦もウェディングドレスにハイヒールのまま、朝から晩まで歩き回り、ブライズメイドやアッシャーは準備や会のフォローに奔走。それでもその合間に、飲み、食べ、踊る。出席者にも疲れた顔を見せている人などいない上に、本当に老若男女、楽しそうに夜中まで騒ぎ続けていたのです。
翌日の朝食にも二日酔いの人は皆無で、みんなけろっしている上に、新郎新婦のおばあ様まで、昨日は楽しかったわ~なんて爽やかにコーヒーを飲む始末で、前日12時過ぎにギブアップしてしまった日本チームは、大敗を喫してしまいました。
食べることにも、楽しむことにも、何でも本気で全力のフランス人。美しい町並みや、ワインや食事もさることながら、フランスが多くの人をひきつけてやまないのは、フランス人のこのパワフルさが一役買っていることは間違いない、と確信した一晩でした。
[参考記事]
「中国の結婚式は適当に始まり適当に終わる」
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