欧米の男性は結婚しても「釣った魚に餌はやらない」的な考えをする人は少ないと言われていますがそれは本当でしょうか?
長年アメリカで生活している私からすると、離婚率が5割以上といわれるこの国において、残りの(離婚しなかった)5割弱の夫婦はそれなりの努力をしている人が多いように思います。もともと、記念日のお祝い事や愛情を言葉や行動に出すのが好きで得意なアメリカ人。また、「言葉にしないのは存在しないことと同じ」という文化があるアメリカ人。
我が家でも、バレンタインデー、母の日、誕生日、そして結婚記念日はずいぶん手厚く(?)お祝いしてくれます。バレンタインデーは日本ではどちらかというと恋人同士のイベントだったり、片思いの女の子が男の子に告白する日みたいな風潮ですがアメリカでは誰が誰に何をしても良いのです。母が子にチョコを贈ったり、友達同士、上司、叔父さんや叔母さん・・・そして当然、夫婦間でも。
そしてどちらかというと日本とは反対で男性から女性に何かをする日という感じになっています。うちの夫も赤いバラの花束とチョコレート、それに愛情表現を書き連ねたカードを贈ってくれます。バレンタインデーが平日だと難しいのですが、週末だと夫婦でディナーに出かけたりも。
そして母の日ですが、日本だと「自分の親である母」へ感謝を示す日となっていますが、これまたアメリカでは「母のような女性」とか「誰かの母親である女性」全体が対象です。また夫も私を「自分の子供の母親」として私を対象に(笑)お祝いしてくれるのです。母の日は朝から夫が頑張って朝ごはんを用意してくれて、ベッドに居る私のところまで運んでくれます。Breakfast in Bedというやつです。ここでも母の日用のカードに普段の感謝を書き連ねて贈ってくれます。
イベント以外での愛情表現
夫は普段でもこれがまたマメなのです。我が家では毎週金曜日は夫婦2人でディナーへ出かけます。子供たちが小さかった頃はベビーシッターを雇わなければいけなかったので毎週は難しかったのですが今はもう子供たちもある程度大きいので彼らも「行ってらっしゃ~い」という感じ。子供たち抜きでゆっくり語れるこの時間はとても貴重なもので、たまには良いレストランにも行きますがファストフードで済ませることも。2人で過ごせれば場所はどこでもいいのです。
ちなみに今年で結婚24年周年になり、夫は努力で体型は維持しているものの髪の毛はめっきりボリュームがなくなり白髪も増え、私も結婚当時より体重は10kg以上増え、輪郭もぼんやりしてきている今日この頃なのですが…。それでも私が外出用の洋服を着ている時や化粧を済ませた後はもちろん、朝起きがけのシミ皺たるみがはっきりわかる素顔でも夫は感に堪えぬように「ハニー、とっても綺麗だよ」と言ってくれるのです。「こんなに綺麗な人を妻にできた自分はとてもラッキーだ」とも。愛情表現がすごく手厚いのです。
これは決して私に美貌があるとかではなく、夫の心がけから出てくる言葉なのだと実感しています。アメリカではよく「親友と結婚した」というような言い方をするのですが、配偶者が親友。悩みも相談できて、一緒に遊べて、一緒に成長していく。日本だと一定以上の年齢になると妻が夫を置いて友達同士で旅行に出たりということはよくありますよね?アメリカもそういうことをする女性はいるにはいるのですが、やはり夫婦で出かける人が多い印象です。
私も若い頃は、常に夫婦でいるなんて息が詰まりそうと思っていました。けれどもこういう密な時間を通して夫婦の絆が段々強まってくるというのも事実なのだと近年は思うようになりました。そして夫も、そういう密な関係の相手である私を見て、欠点もあるし嫌なところもあるし造作的には美人とは言えないけれども長年一緒に生きてきた妻を愛おしく労わる気持ちから「綺麗だよ」という言葉が出てくるんじゃないかなと思っています。
毎朝仕事に出て行く時、そして夜一緒のベッドで「おやすみ」と言った後にほとんど毎日I love youが続きます。もしかしたらもう口癖になっているのかもしれませんが、毎晩眠りに落ちる前に「愛してるよ」とささやかれるのは考えてみればとても幸福なことなのかもしれません。
夫はよく結婚生活を畑仕事にたとえます。結婚生活においても畑を耕し、雑草を抜き、栄養を与えなければならない。つまり、関係性を良くする努力を怠らず、問題があれば2人で乗り越え、一緒に成長していこうというスタンスです。「日本で生まれ育ったから愛情表現は得意ではない」という以上に感情を出すのが苦手な私としては栄養を与えられるばかりであまりお返しは出来ていないかもしれません。結婚は片一方の努力だけでは成り立ちませんから私自身ももっとストレートな愛情表現をしないといけませんね!
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