所変われば文化も風習もさまざまなもの。筆者がイタリアで暮らし始めて一番驚いたものの一つが「イタリア式誕生日の祝い方・祝われ方」でした。
◇誕生日当日朝、期待に胸を膨らませつつの登校・・・
日本にいた頃は、誕生日当日はもちろん、少し前から「もうすぐ誕生日だね!」だなんて言ってもらえることも多かった私。イタリアに渡ったばかりの年も、時差の関係で一足お先に0時を迎えた日本から、7時間の時差を飛び越え何通も「お誕生日おめでとう!」とメールが届き、とても幸せな気持ちでベッドに入りました。
イタリアでは事情が違う。もともと学校でイタリア人の友人たちに「もうすぐ誕生日なのー!」と大々的にアピールはしていませんでしたが、それでも今はFacebookなどで簡単に誕生日が検索できる時代ですし、メールアドレスも誕生日入り、さらに聞かれた時は、都度誕生日を答えていたので「まさか、一人くらいはイタリア人も“お誕生日おめでとう”と声をかけてくれるだろう」と、わくわくしながら登校しました。
◇予想に反してクールな反応・・・
いつも通り学校に行くと、イタリア人からは、誕生日に関するコメント一切なし!昼頃、Facebookなどで私が誕生日だと知った人たちからは、ぽつぽつ「今日誕生日だったんだね、おめでとう!」といった連絡をもらいましたが、例えば日本にいた頃のように「今日誕生日なんだね!だったら夜ご飯行こうよ!」なんてお誘いの言葉は、誰からもかけてもらえませんでした。
「イタリア人で案外誕生日には興味ないんだな・・・」
寂しい気持ちと「もしかしたらサプライズが待っているのかも」という少しだけ期待する気持ちの入り混じった複雑な日中を過ごし、時刻はあっという間に下校時刻となっていました。
◇帰り際「誕生日だからご飯に行こう!」・・・じゃなかった!
帰り際まで一向にお誘いのないまま授業は終了。しょんぼりしながら帰り支度をしていると、一人の友人から「今晩はどうするの?」とついに聞かれました!
ドキドキ高鳴る鼓動を抑え、何食わぬ顔で「ううん、特になにもないよ!(だからご飯誘って!お願い!)」と言うと、友人から一言
「あ、そうなんだ。お誕生日おめでとう。じゃあね!」
・・・え!?結局その日はひとりぼっちの悲しい誕生日となってしまいました。
◇翌日、衝撃の事実が発覚
そして翌日。1歳だけ年を取ったこと以外は昨日と何も変わらない一日のスタート。普段通り学校へと向かいました。すると、席について早々、友人から一言
友人「秘密のボーイフレンドでもできた?」
私「・・・え!?」
友人「いや、昨日は彼とデートだったのかなぁ?なんて。私たち誰も誕生日会呼ばれなかったしさ!」
私「誕生日会!?なにそれ。昨日はさびしく一人で家にいたよ?」
友人「・・・マンマ・ミーア!!!!!!」
そう、友人曰く、イタリアでは「誕生日会は自分で企画するもの」であり、友人たちが企画するものではないのです。
簡単にいうと日本の結婚式と同じスタイルで、誕生日が近くなると、自らがお店の予約や飲み物や食べ物の用意、ケーキが食べたい場合はそれも店に買いに行くなどして、準備をします。
そして支度が整ったら「×月×日、私の誕生日会するの、来ない?」と友人を誘って、当日皆に祝ってもらうのだそうです。
確かに冷静になって周囲を見渡すと、レストランに行けば、幹事自らが誕生日ケーキを「じゃじゃーん!」と言いながら持って来ている人がいたり、雑貨屋さんでも「お誕生日おめでとう」のポストカードの横には「私の誕生日パーティに招待するね」と書かれた誕生日会用招待カードが沢山売られていました。
イタリア人は友達の誕生日を覚えてないの?
イタリア人は日本人ほど友達の誕生日を覚えていないような気がします。イタリア人が友達の誕生日を覚えてない理由は「本人から誕生日であることを事前にパーティの告知で知らされるから、いちいち友人全員の誕生日を覚えていなくてもいいや!」と思っているから。
そして「聖人誕生日」という別の誕生日を祝う風習もあるため(カトリックによる風習)「2個も誕生日を覚えていられない・・・」という理由で日本人ほど、しっかり誕生日を覚えていない印象があります。
「聖人誕生日」とは例えば9月5日は聖女ライッサの誕生日ですが、このように365日すべての日で聖人の誕生日が決められています。ですので、ライッサという名の人がいるとすると9月5日は聖女ライッサの誕生日ですので、この日も誕生日を祝うことになります。
おわりに
ちなみに友人たちは私の誕生日当日「とうとう誕生日会に誘ってもらえなかったね」と、それはそれで少しさびしく思っていたそうです。イタリアの誕生日会事情。是非みなさんも頭の片隅に入れておいてください。
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