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イリノイ州シカゴでの日本人の子供への教育について

イリノイ州シカゴでの日本人の子供への教育について

 

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イリノイ州での教育

 私の移り住んだところはイリノイ州、シカゴですが、ダウンタウンには日本人の銀行関係の駐在員が多く、反対にオヘア空港辺りにはメーカーが多かったため、その辺りにもかなりの日本人が在住しております。必然的に子供たちも多く、現地校以外に日本語学校が存在していました。

 親の方針で、日本人学校を選ばず、現地校を選んだ場合は、土曜日は日本人学校が「補習校」という名目になり、子供たちは土曜日だけ日本語の授業を受けることになります。一日だけの日本語の授業ですから、ほとんど国語と算数。社会や理科は時間が取れない状態でした。

 反対に日本語学校では基本は日本の授業(日本のカリキュラム)ですが、補修学科として英語や米社会を学習しますので、どうしても授業数が日本の子供たちよりも少なくなります。その上、土曜日が休みだから授業時間が足りず、教科書を完全に習得出来ないという現実でした。

 親たちはそういった子供たちに対して、帰国後の学力を危惧し、日本人向け塾に通わせるようになります。日本人学校は公立ではありませんので、授業料は馬鹿にならない上に塾もかなりの高額で、そこそこの養育費が必要です。

 もちろん会社の福利厚生がしっかりしていれば、教育費の補助に限らず、医療費も全額会社負担などの優遇がある場合もあり、私はこの制度でかなり助かりました。ただし会社からの支給が無い場合は現地校を選べば、補習校の費用以外は無料となります。ただ、費用だけの問題ではなく、あえて現地に馴染ませ、ネイティブな英語を身につけさせようとする親も現地校に子供を通わせています。

義務教育以外の教育

 日本人学校に通わせる親たちは、義務教育の他、現地校の生徒に負けない語学力をつけさせるために、プライベートで現地の先生に英語の授業をお願いすることが普通で、チューターと呼ばれるアメリカ人の先生が自宅に来てくれたり、また先生のお宅にお邪魔したりして英語の学習をさせていました。

 スポーツも充実していましたので、テニスの個人コーチを頼んだり、地元のサッカーチームに入ったりする子が多くみられました。だいたい、アメリカの家のガレージにはお決まりのようにバスケットゴールが備え付けられているわけで、うちの子も喜々として買いに行き、設置しましたが、あっという間に飽きてしまい、お飾りになってしまったというあるある話もあります。

 一番驚いたのは日本から新たにやってくる子供たちのスイミングのレベルが高いこと。日本人学校にはスイミングプールは無くて、体育の授業でスイミングさせるときはスクールバスで近くのYMCAにわざわざ出かけなくてはならず、現地生まれで泳いだこともない我が子の実力は惨憺たるものでした。

日本人の子供同士の交流

 子供たちは親の転勤に伴って入学してくるわけですから、短い子は2年弱。長い子はうちのように6年以上というスパンで入れ替わるわけです。
「こんにちは」をしたら、あっという間に「さようなら」。次々と同級生が変わるので、子供たちの感情も希薄になり、特に別れに対する悲しみも薄れていくような気がしました。

 反対に日本中各地の子供たちが集まってくるわけですから、転校生が来るたびに、方言を吸収し、子供の言葉遣いに変化がみられたら、新しい友達が出来たという現象も如実に現れます。

大型バケーションでの過ごし方

 親たちはせっかくの海外経験だからと言うことで、年に二回の大型バケーションには結構大掛かりな旅行をすることが多く、「誰々君はカナディアンロッキー、誰々ちゃんはカンクーン。」なんて当たり前。アメリカ各地から、隣国のカナダ、メキシコに出かけることも多くて、一週間から10日は旅行に出かけます。それどころかバケーション期間が足りなくて、新学期にまたがってしまったなどという話も良く聞くことです。

 旅行に出かける際に、空港までタクシーを頼んでも、リムジンを頼んでも値段的にはさほどの差が無かったため、うちではリムジンを頼むことが多かったように思います。日本ではリムジンでお出迎えなんて考えられない話かもしれませんが、そういった事が当たり前になっています。

 また夏のバケーションの期間には自治会(アメリカではパークディストリクトと言います)が開催するサマースクールに参加することも出来ます。ランチを持参して、朝からスポーツ三昧だとか、動物園に連れて行ってもらったり、盛りだくさんのイベントに参加でき、また現地の子供たちとの交流もできるのです。夏休み、子供たちの居場所が少ない日本に比べて、親にとってはありがたいシステムだったと思います。

 日本人学校でも現地校との交流イベントを行いますが、その時は母親たちが日本料理をふるまって歓迎します。お好み焼きを作ったり、おにぎり、巻きずし、から揚げ、サラダなど、それはそれは手の込んだものを作りますが、反対に日本人の子供たちが現地校に呼ばれたときは、宅配ピザや市販のマフィンなどが並ぶわけで、お国柄が良く分かる気がしました。ちなみに日本料理がアメリカの子供にうけたのかは疑問ですが、日本の子供たちはピザでも大喜びでした。

子供たちの学校でのランチ

 普段の子供たちのランチは、給食室が無いためお弁当が中心になります。ただ、親が学校に出かける予定があれば、あえてマクドナルドなどで熱々のハンバーガーを買って持って行ってあげる。これが案外、大うけで、ハンバーガーを親に持って来てもらった子供は、多めに買ってきてもらったフライドポテトを友達にふるまって、一躍ヒーローになったりします。

 そういうわけで、親たちは学校に行くすがら、マクドナルドに行くのですが、通常はドライブスルーを使います。マイクを通しての注文が日本人英語ではなかなか通じないという人もいて、わざわざ駐車場に止めて店に出向いて注文されます(笑)マイクだと、コーラと言っているのにコーヒーが来る。変な話ですが、ドライブスルーで買ってきた親は英語の発音も良いに違いないという話が笑い話になっていたりしました。

 ランチについて加えますと、頑張って日本式のお弁当が作れなかったときのために、どこのスーパーでも売っているランチセットなるものを冷蔵庫に常備している家庭が多いです。中身はニンジンスティック、セロリスティック、ディップソース、クラッカー、チーズなどなど 99セントくらいで購入出来ます。

アメリカならではのバースデーパーティ

 最後にアメリカならではのバースデーパーティのお話をしたいと思いますが、お誕生日を家族でお祝いする以外に、クラスの同級生やチューターの先生などをご招待して大掛かりなバースデーパーティを開くこともしばしばありました。

 バースデーパーティを専門に受ける会社があり、パックで申し込みます。パックの中身には招待客のゲーム代、ケーキやスナック、ピザ、風船、イベント(ピエロのショー)などが含まれています。

 招待された子供たちは、それぞれ配られたゲームチケット分だけゲームをして景品を貰い、ピザを食べてイベントを楽しみます。近くの施設のプールを貸し切って子供たちを招待することもあります。

 帰りはバースデーを迎えた子供の家に集合して、寝袋持参でお泊りさせることもあります。アメリカの家には大きなベースメント(地下室)があることが多いので、一クラス、だいたい20人くらいまでの子供なら楽々お泊りすることが可能なのです。夜には肝試しをやったりして、とにかくバースデーを開催する親は大変で本当に疲れます。そんなに頑張るのも、もとはと言えば見知らぬ国に子供を連れてきたという罪悪感でしょうか。

親の都合でアメリカに連れて行かれた子供たち

 それぞれの子供たちにとって、海外生活は様々な影響を与えたかと思いますが、日本ではできなかった有意義な経験、アメリカという国の文化の中で気づいた日本人としての自覚など。生きていくうえで何かを得たように私は感じました。

 アメリカで育ったから国際人だと、英語が出来るのは当たり前だと、そういう簡単なものではありませんが、反対に思いもよらない実力を本人さえ気づかない間に身につけていることもあり、子供が大きくなってから結果が出てくるのではないかと期待しています。

[参考記事]
「グアム島で受けられる義務教育の特徴や日本人学校を紹介」

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