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グアム島で受けられる義務教育の特徴や日本人学校を紹介

グアム島で受けられる義務教育の特徴や日本人学校を紹介

 

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■グアム島で受けられる教育

 マリアナ諸島の最南端にある、日本の淡路島よりも少し小さい島、グアム島。この島で生まれ、この島を一歩も出ずに、幼稚園から大学までの教育を受けることが出来ます。

 ただ一方で、島民にとっては、アメリカ本土の大学への進学は、大きな目標であり、よりよい生活をするための希望です。小学校前の壁に書かれた文字「Education is the key to many doors.」は、学ぶことにより子供たちの未来が大きく開かれる、つまり、未来は教育次第だと訴えています。

■アメリカの教育に準じた制度

 グアムは、アメリカの教育制度に基づき、K5と呼ばれる幼稚園(5歳児の1年間)から、高校(17歳)までが義務教育となっています。義務教育は、公立の場合は全額無料で、全て税金で賄われています。

■新学期は8月。

 日本では夏休み真っ只中の8月に、グアムの新学期は始まります。2学期制で、1学期は、8月から12月まで、2学期が、1月から5月までです。6月、7月の2か月間は、長い夏休みです。この間は、オフアイランドと言って、アメリカ本土やフィリピン、韓国、日本など、祖父母や親戚、知人のいる場所を訪れる人が多いです。

■必要不可欠な予防接種

 学校に入学する際は、滞在ビザや出生証明書、グアム島内の医師の健康診断、成績証明書、予防接種記録の提出が必要です。

 特に、予防接種については、日本で受ける予防接種よりもかなり多くの予防接種が義務となっています。日本から来た場合は、足りない分を全て入学までに接種することになります。

■ツベルクリン反応テストに注意

 入学の際にツベルクリン反応テストを受けます。日本人の場合、1歳未満でBCGの接種を受けているので、多くの場合は陽性の反応が出てしまいます。その場合は、病院で胸のレントゲンを撮り、医師が書いた結核患者ではないことを証明する書類を学校へ提出する必要があります。

■幼稚園


 公立の幼稚園は、5歳児の1年間となります。私立の幼稚園は、3歳児から受け入れています。幼稚園の敷地には、日本と同じようなブランコや滑り台などの小さな遊具が設置されており、一日の内容もお絵かきや歌、外遊びなど日本とさほど変わりません。

 ただ、日本と異なることは、グアムの歴史などを教えることが法律に定められており、公立の幼稚園から小学校までは、グアムの先住民であるチャモロ民族の伝統的なダンスや歌、チャモロ語を教えています。

■5年間の小学校(6歳~10歳)


 公立の小学校は、島内に27校あります。ほとんどが、7時45分開始で2時半に終了します。12歳以下の子を一人にしてはいけないというアメリカの法律に基づいて、通学は、無料のスクールバスか保護者の車での送迎になります。ただ実際は、アメリカ本土よりかなり緩く、必ずしも親がバス停に迎えに来ていないとバスから降りられないということはありません。治安が良いということもあってか、バス停から小さい子供だけで歩いて家に帰る姿をよく目にします。

 貧困家庭の子も多く通う公立学校においては、朝7時から朝食の提供もあります。貧困から逃れてミクロネシアの小さな島からこのグアム島にやってきた人々の子供達が、朝食と昼食が得られるという理由で学校に来ていることが現実にはあります。たとえ、学校へ行く理由が食事であっても、そこで十分な栄養を得て、何かを学び、将来の希望を持ち、立派に成長してくれたら、グアムの将来は明るいのではないでしょうか。

 公立小学校では、家庭でそれぞれの島の民族言語を話す為、英語が苦手な子、話せない子がいます。そのような子供には、第二言語としして、英語を学ぶことに力を入れています。小学校は1クラス20人以下の少人数クラスで、子供達の能力に合わせて無理なく学習できるように、努力しています。学年はとても柔軟で、出来なければ下の学年で学習し、出来る子は飛び級して上の学年で学習することができます。

■3年間の中学校(11歳~13歳)


 公立中学校は8校あります。小学校より学区が広がるため、広い敷地に大きな建物と体育館が備わっています。朝7時過ぎと午後2時頃には、何台ものスクールバスが列をなして学校の周辺に止まります。同時に保護者の送迎のための車も列をなすので、学校周辺はちょっとした交通渋滞になってしまいます。

 公立の場合、財政難の続くグアムでは、授業に必要な備品が十分に準備できない状況が続いています。学校のコンピュータが壊れたままになっていたり、プリンターのインクがなかったりということが普通です。また、正規の資格をもつ教師の不足、専門的知識のある教師の確保が出来ないという問題も抱えています。

 そんな中でも、明るく意欲的に学んでいる生徒も多く、学ぶ環境が十分ではないとしても、学びたいという意思を持続することで、将来の夢をつかんでくれることを願わずにはいられません。

■4年間の高校(14歳~17歳)


 公立高校は5校あります。16歳になると、多くの学生が運転免許をとります。島には電車やバスなどの公共の交通機関が発達しておらず、移動は車に頼るしかないため、運転免許の取得は必須なのです。そして、免許をとると通学も自分の車で通うようになります。学校内の駐車場には、来客用、スタッフ用の他、学生用の駐車場が用意されています。

 高校生になると、進学するのか、就職するのか、日本の高校生と同様に進路について悩み考えます。進学先の一つは、グアム島内にある大学への進学。そして、もう一つは、アメリカ本土の大学への進学があります。

 就職の場合は、空軍か海軍への希望が多いです。グアムには、海軍と空軍の両方の基地があり、グアムで育ってきた子供達にとっては、親や親戚などの身近な人が基地で働いていることが多く、軍はとても身近な存在なのです。グアムは観光産業が7割、基地関連産業が3割なので、島で就職する場合の就職先として空軍、海軍は、とても魅力的な存在なのです。

■スクールのバス停

 スクールバスのバス停は、急なスコールで濡れないように、また、暑い日差しを遮ることが出来るように、頑丈なコンクリートで作られています。時々、子供たちがボランティアで絵を書き、バス停を綺麗に保つようにしています。面白い絵柄のカラフルなバス停を見つけるのも楽しいです。

 2時半ごろ、バスから降りた子供たちが、それぞれのバス停で集まって遊んでいる姿は、なんとも微笑ましいものです。

■学校にはプールがない

 グアムでは、幼稚園から小学校、中学校、高校、全ての学校においてプールがないため、日本のような水泳の授業がありません。美しい海に囲まれた島の子供たちは、当然全員泳げると思いがちですが、水泳の授業を受けたことがなく、大人になっても泳げない人も多いそうです。

■4年間の大学(18歳~21歳)


 グアム大学には、教育・社会科学部、自然科学学部、ビジネス・公共行政学部、教育学部、看護・社会福祉・健康科学学部があります。そのまま4年間この大学で学び、島内で就職する場合もありますが、教養課程の2年間を過ごし、本土の大学へ単位を移して、本土の大学を卒業する場合も多いそうです。

 グアムコミュニティーカレッジは2年生の大学です。高校を卒後したけれど、もう少し専門的に学んでから就職したいという場合、職業に直結した授業内容が充実しています。また、英語圏以外の国から来た移民に向けて、無料で受けられるESLクラスがあります。

■私立学校(3歳~17歳)


 グアムにある私立学校は、全て宗教系の学校です。敷地には、教会があり、聖書の授業もあります。国語はもちろん、生物や化学の教科書さえ、聖書の教えが色濃く表現されています。

 私立学校の良い所は、授業内容が充実していること、熱心な先生が多いこと、コンピュータなどの最新の設備が整っていることなど、教育環境が整っていることでしょうか。

 また、それぞれ学校ごとに独自の個性があり、音楽やスポーツにも力を入れて指導している点もまた良い所です。更に、日本や韓国など近隣諸国の学生との異文化交流も盛んに行われています。

■日本人学校(幼稚園~中学部)


 グアムには、1988年に開校した全日制の日本人学校がありますが、日本の文部科学省やグアム政府から承認を受けている学校です。幼稚園(年中)から中等部(中学3年)まで、日本の文部科学省の学習指導要領に沿って、授業が行われています。現在、1学年1クラス、全生徒数は70名弱の少人数ですが、運動会や遠足などの学校行事も日本と同じようにあります。クラブ活動やアフタースクールプログラムも充実しています。

 また、全日制の日本人学校とは別に、土曜日と平日の夕方に開校している、補習授業校があります。こちらは、普段は公立又は私立の小学校・中学校に通う子供達が、国語と算数を日本語で学べる場となっています。

 日本人学校では、英語検定、日本語検定、漢字検定を日本と同じタイミングで受けることが出来ます。更に、日本語会話クラスも開設され、中学部を卒業後に引き続き日本語学習を続けたい人や、日本語会話に興味のある方が学べる場となっています。

 観光産業が7割を占めるグアムでは、観光業に携わる際、日本語が出来ると採用、給与、共に有利であり、日本語を学びたいと思う人が多いです。

 いくつかの高校では、第二外国語に日本語が選択でき、毎年4月に、「グアム日本語チャレンジボウル」が開催されています。これは、各高校から代表者が出て、学校別対抗でゲームに挑戦し、学習成果を競うというイベントです。今年も4月29日にファーザーデュエナスメモリアルスクールにて、8校が参加して行われました。これからも、引き続き日本語と日本文化を積極的に学んでほしいと思います。そして、いずれその先に、アメリカ本土への進学と同じように、日本の大学への進学が彼らの目標となり、夢を開く希望となれたら素晴らしいことではないでしょうか。

[参考記事]
「飛行機を近くで見られるグアムでの待機スポットと時間帯を紹介」

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