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お隣のドラッグ常習者が我が家のWiFiを不正利用してポルノを購入(笑)

お隣のドラッグ常習者が我が家のWiFiを不正利用してポルノを購入(笑)

 

 2003年の初夏のことです。

 夫が大学院を卒業し、いよいよ就職するということになり(アメリカでは既婚でも子持ちでも社会人でも大学院へ行くのは普通です)、西海岸のとある街に引っ越すことになったのですが、当時は不動産バブル崩壊の数年前で、住宅価格がまだまだ上昇している最中。

 一軒家となると古くて小さな家でも日本円で平均4千万はくだらないのです。そんな家とても買えないと思い、アパートやコンドミニアムなども検討しましたが、私たち一家のニーズにぴったり合うということで最終的に選んだのがなんとモービルホームパーク(キャンピングカーを元に作られる住宅)に住むことでした。それでもモーという当時の私たちにしては高級物件だったのです(笑)

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お隣夫婦の奇行の数々

 実際引っ越してみればパークの住人の多くはリタイヤしたご老人でした。我が家のお隣は90歳を超えるというのに記憶力のいい、教養あるおばあさんで良かったなと思っていたのですが、彼女も寄る年波には勝てず、娘さんと同居するため2年ほどで引っ越していきました。

 その後にやってきたのが若い夫婦と幼い娘という3人家族でした。その娘と我が家の末っ子の娘が同い年ということもあり、なんとなく近所づきあいが始まりました。夫婦は、身なりはちょっとみすぼらしいけれど気のいい人たちでした。

 娘同士は行ったり来たりして仲良く遊び、奥さんは時々「これもらったんだけどお子さんにどうぞ」などと言って新品のTシャツを子供たちの人数分くれたり、他にもちょっとした物をくれたりしていました。

 旦那さんは奥さんほど口数は多くなかったけれど感じは悪くない人でした。モービルホームは庭も狭く、お隣さんとの距離がとても近いので、夏の夜寝室の窓を網戸にして寝ていると旦那さんがお隣の庭で何か作業している様子がうかがえました。たまに夜中に起きたときにも彼の気配がするのでずいぶん夜更かしなんだな~とは思いましたがそれ以上考えることもありませんでした。

 そんなある日奥さんが我が家にやってきて、ちょっと照れた表情で「恥ずかしいんだけど今月家計がとっても苦しいの。それでもし良かったらこのギフトカードを現金で買ってもらえないかしら?」と言ってきたのです。

 「クリスマスに母にもらったの。$20入っているはずなんだけど、現金が必要だから買ってくれるなら$5でも$10でもいいわ」と。それはオールドネイビー(という服屋)のカードでした。私も、オールドネイビーだったらうちも使うし、$20のギフトカードなんだからその値段で買いますよと申し出て、$20で買い取りました。

 後日そのカードで買い物したのですが実際使ってみるとそれは$20ではなくて$25のギフトカードだということがわかりました。その時も彼女は$20と言っていたけれど記憶違いだったんだろう、得したな~くらいにしか思いませんでした。まったく世間知らずで鈍い私たち夫婦だったのです。

私服警察官が我が家へやってきた

 事態が急転直下するのは2008年の春でした。私服警察官が2人、我が家へやってきたのです。家族全員が家にいるときでした。

 「盗難されたクレジットカードを使ってポルノ映画を購入した者がいるが、調べたところお宅のパソコンだった」と言うではありませんか。心臓が止まるかと思いました。警官は「子供たちがいるけど大丈夫ですか?」と訊いてくれました。まだ幼い年齢でもあったので、他の部屋でテレビを見させておき、「大丈夫です」と答えました。

 もちろん私も夫も身に覚えのないことです。100歩譲って夫がポルノ映画を購入したとしても盗難されたカードで買うなど考えられないことです。目の前が真っ暗になったのは、夫は5年間の研修期間を経て数か月後には違う場所で勤務することが決まっておりその職場と契約を交わしたばかりだったのと、夫は国家資格を要する仕事なのでそれをはく奪されるのではないかという恐れが心を過ぎったからです。

 警察は、誰か客人などで我が家のパソコンにアクセスした者はいないか、子供たちの仕業ではないかなど色々尋問し、我が家のパソコンも調べ、その後夫のみを外に連れ出し「奥さんに内緒でポルノを買ったということはないですか?」とまで訊いたそうです。

 とにかく、証拠が見つからないので警察官は1時間ほどで帰っていきました。でも最後まで、「お宅のパソコンでやられたことで間違いない」と言っていたので怖くて仕方ありませんでした。

 警察が帰った後、珍しくお隣の旦那さんが話しかけてきました。警察が来ていたみたいだけど、どうしたの・・・?私たちは無実の罪を着せられそうになった感情の昂ぶりから彼に経緯を話し、彼も「それは大変だったね」とかなんとか言っていたような気がします。

 それから10日ほどしたある日、外出先から帰宅すると近所の人が「あんた達見たかい?お隣の旦那がサツにしょっぴかれて行ったよ!自転車盗難したってことだけど、かなりのドラッグ常習者だったらしいよ!」と報告してくれました。

ドラッグユーザーは嘘をつく。これ基本!

 ネットで色々調べてみると、ドラッグにハマるとお金がいるので盗難に走る人間が多く、それを隠すのにものすごい嘘つきになるのが常だということでした。あまりにこの夫婦にピッタリなので笑ってしまいました。

 その後聞いたところでは、この夫婦の家は盗難品で一杯だったとか。車上荒らしの常連で、たぶん私たちにプレゼントしてくれたTシャツやら何やらもすべて盗難品だったと思われます。貧乏なのに色々くれて心が広い人たちだな~と思っていたおめでたい私。

 更に判明したのは、このお隣の旦那さんが我が家のWiFi(セキュリティをかけていませんでした、汗)を使って自分のパソコンをネットにつなぎ、盗難したカードでポルノを買っていたということ。また夜な夜な外で作業していたのは盗んできた自転車を改造したり解体したり・・・ということだったみたいです。

 ちなみに奥さんは逮捕されなかったので「うちの旦那がドラッグやってたなんて全然知らなかったのよ」と私たちの前で号泣していましたが、少し後にこれも真っ赤な大嘘だったと分かることになります。一緒に住んでいて夫がドラッグの常習者だったり盗品をどんどん家に持ち帰るのを知らないはずがないですものね!

 本当に冷や汗が出そうな経験でしたが無事濡れ衣も晴れ、Wi-Fiにはしっかりパスワードを設定しなければいけないことを学びました。

引っ越し先にまで電話してきて嘘をつくお隣

 この話には続きがあり、この数か月後私たちは無事引っ越すのですがモービルホームは売れないままでした。空き家のまま残していくので何かと不安もありましたが仕方ありません。

 そんな不安を煽るように、引っ越して1週間も経たないときにこの奥さんから電話がかかってきて、「昨日あなたの家に泥棒が入るのを見たのよ。物音がするからゴルフクラブを持って外に出てみたら、ゴミ箱とかベンチとかをピックアップトラックに乗せて運び去るところだったわ。ランニングを着て野球帽をかぶっていたけど顔はよく見えなかった」などと言うので本当に怖くなり、やはり空き家にしたまま越してきたのは間違いだったと後悔しました。そして報告してくれた彼女に感謝の意を述べ電話を切ったのですが・・・

 後日、家の手入れを兼ねて様子を見に行ったところ、盗まれたはずの我が家のベンチはペンキで違う色に塗られてお隣の庭に。ゴミ箱のほうは目撃者がいて報告をしてくれたのですが、こちらはお隣の友人宅にありました。

 嘘・嘘・嘘に塗り固められたお隣さんでしたが、まだ幼かったお隣さんの娘はどうなったかと時折思い出しています。

[参考記事]
「アメリカ式ハロウィンを楽しむための5つの方法。真っ暗な家は邪魔しない」

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