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海外の妊婦は日本で感じる妊婦特有の差別を感じない

海外の妊婦は日本で感じる妊婦特有の差別を感じない

 

 「日本人は世界一礼儀正しい国民と言われているだろ?マナーや規則を重んじる日本人が、どうして電車の中で妊婦さんに席を譲らないんだ ??赤ちゃんが泣くたびに日本のお母さんは申し訳なさそうな顔をして周りに頭を下げている。赤ちゃんは泣くのが仕事だよ !!」

 国際結婚をして現在EU圏内(フランス)で生活している筆者には、日本で生活した経験のある海外国籍の友人も多い。上記の言葉は、そんな彼らが皆同じように口をそろえて言う言葉だ。確かに私自身、海外で初めての妊娠・出産を経験し改めて気づいた日本との違いが沢山ある。

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■働く女性のたいへんさ

 妊娠が発覚した当時、私は海外企業で仕事をしていた。つわりや妊娠中特有の体調不良のため何度も仕事を休んだ。しかも会社が一番忙しいビジーシーズンであったにも関わらず、上司も同僚も一度だって嫌な顔をしたことはなかった。

 職場では妊婦さん用の座り心地のいい椅子を用意してもらったし、具合が悪い時にはいつでも休憩をとっても良かった。毎週総務の担当者と面談があり、体調や働き方の相談に乗ってくれた。一度もストレスを感じることなく、お腹の中の赤ちゃんだけに集中できた。

 日本の職場でも様々な仕事を経験してきたが、働く日本の妊婦は同じようにはいかないだろう。日本の職場では誰かが妊娠すると、「妊娠は病気じゃないんだから」という目に見えない空気がいつも漂っていたように思う。集団社会の日本では「周りに迷惑をかけないこと」が何より重要視される為、休むことに後ろめたさを感じ、妊娠を機に辞めていった同僚も多い。これは妊婦差別と差し使いないと感じる。

■海外の妊婦さんに対する接し方

 冒頭に揚げた、外国人の反応も正しいと思う。EU圏で生活していると、皆当たり前に妊婦さんや子育て中の女性を気遣っている。公共の乗り物でサッと席を譲るのはもちろん、段差の前でベビーカーを片手に立ち往生している母親には必ず周りの誰かが手を差し伸べてくれる。

 スーパーのレジの人だってお釣りを手渡しながら「元気な赤ちゃんを産んでね !!」と笑顔で声をかけてくれる。泣き叫ぶ子供がいても「元気な子だ !!」とみんな笑っているし、一緒にあやしてくれる人もいる。

 通常、病院に予約をとる場合「何か月待ち」ということも珍しくないヨーロッパだが、妊婦さんはいつでも優先的に診てもらえる。困ったことがある度、誰かに助けを求めれば皆すぐに対応してくれた。例え面識のない人であっても…。それは表面上の礼儀正しさではないし、ルールや規則でもない。当たり前のこととして人々の生活の中に根付いている習慣だ。海外では妊婦差別どころか妊婦を優先する社会なのだ。

 きっと、日本人は礼儀正しくマナーや規則を重んじるというのは本当だ。「公共の乗り物の中では静かにする。」「周りに迷惑をかけてはならない。」…これは集団社会の日本において守るべき大切なルールだ。しかし、時には状況を見て判断する心のゆとりが必要だと思う。優しさや愛情は規則で縛ることはできないのだから…。

 小さな小さなこの世にやってきたばかりの命を皆で見守り育てていける社会になれば、日本の少子化問題の解決にもつながるかもしれない。つぶらな瞳で見上げる可愛らしい赤ちゃんの笑い顔に目を向ける余裕が日本の社会にもあれば、誰だって自然に優しくしてしまうだろうから。

[参考記事]
「イギリスでの出産費用は検診や水中分娩、無痛分娩含め0円」

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