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イギリスでの出産費用は検診や水中分娩、無痛分娩含め0円

イギリスでの出産費用は検診や水中分娩、無痛分娩含め0円

 

 最近では、国際結婚や海外駐在など、海外で出産を余儀なくされる日本人女性が増えてきました。妊娠・出産もお国が違えば、その事情も異なるもの。

 そんなわけで、今回は、イギリスでの妊娠・出産に関して、日本との違いも交えながらご紹介します。

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妊娠が分かっても12週までは何の検診もないイギリス

 イギリスでは、国民、及び長期滞在(生活)者は、GP(General Practitioner)と呼ばれる診療所に登録することになっています。なん時も、いきなり病院にいって診察を受けるということは、救急のケースを除いてありません。

 まず、自分の登録しているGPにいき、診察を受け、GPが病院や専門医を紹介してくれることとなっており、紹介状をもって病院または専門医のところに行きます。もちろん、妊娠の場合も同様です。ただ、妊娠の場合、病院によっては「セルフ・レファラル」といって、自分で妊娠したことを申請し、病院に直接予約取らせてくれるところもあるようです。

 しかし、GPにいっても、驚くほど何もしてくれないのが現実です。妊娠検査薬で陽性がでたと告げても、GPでもう一度検査薬なんてこともなければ、体重、血圧測定など全くなし。最近の妊娠検査薬はとても優れているからだそう。

 聞かれるのは、大まかに2つだけ。
1. 最後の生理が始まった日
2. どこの病院で検診・出産を希望するか

 この2つをもとに、GPのドクターが、コンピューターで希望の病院に予約の依頼を出すのみです。最初の身体的検診は、12週目あたりにするとのことで、GPに行ってから10日程で、病院から12週に当たるころの検診の予約の手紙が届くので、妊婦はそれを待つしかありません。日本のように、妊娠初期は、流産の危険も高いからといって、1~2週に1回の検診なんてしてくれません。

 12週の検診はいきなりエコー(こちらではスキャン)です。ただ、そのエコーの1,2週前に、GPで助産婦さんと1時間ほどの問診の予約が入り、A4サイズの大きな妊娠検診ファイルを受け取ります。自分や家族の病気に関してなどを聞かれ、ここで初めて、血圧測定と、血液検査です。日本の妊娠・出産を経験している人や、日本の事情を知っている人からしたら、あまりにも、病院との接触がなさ過ぎて、不安になります。

エコーは妊娠期間中2~3回のみ、基本の健診トータルは11回

 イギリスでは、エコー検診は妊娠40週でたったの2,3回だけです。病院によって、2回か3回か異なります。そして、このエコー検診や前述の助産婦さんとの最初の問診も含めて、基本的な検診として、誰もが等しく受けることになっている検診の回数は11回です。日本と比べたら、その少なさにびっくりしますよね。

 エコー検診ではない検診は、助産婦さんとの問診を15分くらいで、何か気になることはないかと聞かれたり、インフルエンザや百日咳の予防接種の説明やバースプラン(出産計画)の説明など、妊娠週ごとにトピックが異なりますが、ごく簡単なもの。検診の際に、小さな機械をお腹に当てて、赤ちゃんの心音を一瞬聞かせてもらえるのが、唯一の赤ちゃんとの接触です。

 こちらの人はみんなこの少ない検診回数でも出産しているわけなので、まあ、大丈夫なのでしょうと思わざるを得ません。

気になる検診・出産費用は、なんと0円!?

 さて、この少ない、且つ短い検診にいくらかかるの?って思っている人も多いのでは?実は、イギリスでは、検診も出産も費用はタダ0円なのです。と、きくと、この検診の少なさも納得できますか?(笑)

 国が提供しているNHS (National Health Service) の機関を利用に限っての話ですが、ほとんどの人がこのNHSを利用します。税金を払っているので、出産にかかる費用、さらには妊娠に関わらず、病院での治療はお金を払いません。

 計11回の基本健診の他に、家族に糖尿病歴がある妊婦さんや、アジア系、アフリカ系の妊婦さんは、妊娠性糖尿病の検査をすることになっていたり、日本では追加検査として扱われるダウン症などの出生前診断なども希望があれば、もちろん無料です。インフルエンザ、百日咳の予防接種も無料で提供してくれます。

 さらに妊婦に優しいこの国では、妊娠発覚から産後1年間、歯医者さんと処方箋による薬代が無料になるカードがもらえます。ちなみに、歯に関しては、NHSが提供する歯医者さんでも、一般の人の診察は無料ではありません。なぜ歯は無料じゃないの?ってちょっと疑問はありますが、、。この妊婦さんの歯医者無料のカードは、NHSの歯医者のみで、プライベートの歯医者さんは対象外です。

 検診は少ないものの、無料なのに、意外と色々としてくれるのです。妊娠初期のうちはかなり心配だったりしますが、中期に入ってくると、胎動で赤ちゃんが元気そうなことも日々確認でき、案外、大丈夫な気がしてくるものです。

色々選べるバースプラン

 なんでもかんでも無料(0円)なら、出産の方法に選択があまりないんじゃ?という声も聞こえてきそうですが、実は、バースプランはかなり充実していて、日本より選択の余地がたくさんあるくらいです。

 日本だとあまりメジャーではなかったり、分娩費用が高額になるということから、一部のセレブのみがしているような無痛分娩、水中分娩など、ちゃんと妊婦がチョイスできるようになっており、別途費用がかかるなんてことはありません。

 もちろん、どこのNHSの病院でも水中分娩ができるというわけではないですが、けっこうな数の施設で水中分娩を提供しています。無痛分娩に関しては、ほぼどこの病院でもできるようです。

 無料の施設だから設備は大丈夫?っていう不安もあるかもしれませんが、それは出産前に色々な施設のツアーに参加し、自分の目で確認できます。NHSの施設でも、まるでプライベートじゃない?と思うようなところがあるのには、びっくりします。分娩に付き添う家族のためのコーヒーマシーンや、分娩中に好きな音楽をかけられるようにプレーヤーを用意してくれているところもあるくらいです。

産後は、6時間で退院

 最後に、日本と大きく違う点は、分娩後です。日本だと、出産後、5日~1週間くらい病院に入院するのが一般的ですが、イギリスでは、分娩後、母子ともに健康であれば、6時間後には、退院するのが普通です。

 夜8時以降に出産した場合は、1泊するというところや、水中分娩施設の場合は、1泊することがあるようですが、5日や1週間も入院なんてことは、元気な妊婦さんであれば、イギリスではあり得ません。

 このあたりは、親元離れた海外出産の日本人妊婦さんには、生まれたばかりの赤ちゃんといきなり家で二人きりになるわけですから、不安ですよね。最近は、日本からお母さんがお手伝いにきてくれる人が多いようです。

 いかがでしかた?日本とイギリスの妊娠・出産の違い、どちらにもプラスとマイナスがありますが、やはり出産費用がかからないというのは、ありがたいですよね。

 最近では、歌手の宇多田ヒカルが、イギリスの方が子育てをしやすいと発言したことが、日本にて多くの共感を得たようですが、イギリスは妊婦に優しい国、出産・子育てをしやすい国という印象を持っている人は少なくないでしょう。

[参考記事]
「海外の妊婦は日本で感じる妊婦特有の差別を感じない」

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