フランス人と結婚し、フランスに住んでいると、家族を始め、身の回りのフランス人達の生活習慣やその言動に驚かされることもしばしば。今回は、私が感じたカルチャーギャップをもとに、フランス人達の生活習慣(生活実態)について4つの点に絞って綴っていたいと思います。
①パリジャン、パリジェンヌはお洒落の象徴?
日本に一時帰国した際、本屋の店頭にあるファッション誌を手に取ってみると、「フレンチシックなおしゃれ」「パリジェンヌみたいに可愛い無造作ヘアにするには」など、フランス=おしゃれなイメージで捉えがちな日本。そんな記事を読むたびに、「なるほど、視点を変えればそう見えるのか?」と逆に感心してしまうこともあります。
実際、フランス人はおしゃれなのでしょうか?答えは、日本にいる日本人と同じく【人によりけり】です。フレンチシックなファッションによく登場するボーダー柄。まあこれは着ている人は日常的に見ます。お店にも一年を通してボーダー柄は何かしら売っているので、きっとフランス人なら誰でも一枚は持っているアイテムかもしれません。60代後半の私の義母もボーダーのTシャツはよく着ています。義父の後妻である継母も、インナーがボーダー柄のウィンドブレーカーを愛用しています。
しかし、日本のファッション誌のフレンチシックに登場するようなベレー帽をかぶっているフランス人は、日常生活ではあまり見かけません。パリで、ベレー帽をおしゃれに被って闊歩している人がいたら、観光客の可能性大です。大抵通りすがりにみると、英語話していたりします。特にパリの中心街を歩いている観光客の方々、その辺のパリジェンヌよりおしゃれがばっちり決まっているパターンが多いです。
このフランス=おしゃれなイメージは、パリコレクションなどの影響が大きいのだと思います。確かにパリコレクションの時期は世界各国からおしゃれな人達やモデルが集まるので、パリ全体のおしゃれ人口は急増しますが、現地のフランス人はいたって普通のファッションです。
娘の幼稚園送迎で、色々なフランス人ママさんとすれ違いますが、みんな、我流のおしゃれを楽しんでいる感じです。自分の好きな色やアイテムを徹底して纏っている感じと言えばいいのでしょうか。万遍なく楽しむというより、どちらかというと自分の好きなものに固執しているパターンが多いので、はたから見ていると、毎日同じパターンで代り映えがしていないように見える人が多いです。
たまに私の母が来仏すると、「冬のパリジャン、パリジェンヌはみんな黒いコートに黒いブーツで代り映えしないから、見ていて飽きる」とコメントしていました。実際、冬、メトロのホームで電車待ちのフランス人を見渡せば、みんな真っ黒パターン。
先日、初めて日本旅行をした義父の後妻さんは「日本人は色使いがうまい。フランス人みたいに黒一辺倒じゃないから、電車でファッション観察していると面白い」と言っていました。確かに私もそうだと思います。フレンチシックもよいけれど、日本流のおしゃれも私は好きです。
②可愛くて無造作なパリジェンヌヘアの実態
雑誌でもネットでも見るのがこの手のタイトル「こうすれば、あなたもパリジェンヌ風可愛い無造作ヘアに」。確かに可愛いです。実際メトロで見かけるパリジェンヌの、くせ毛の髪を無造作にアップしている髪型は可愛くておしゃれに見えます。
しかし、実際は、髪を毎日洗わない人が多いので髪についた皮脂でベトベトなこと、そしてきちんと梳かさずに絡んだ髪をそのまま面倒くさくてアップしているだけのパターンも多いです。実際、見た目が抜群に可愛い義弟の彼女(フランス人)も例に漏れず、「髪を毎日洗うのは面倒だし」といいながら、ゴムも使わずにアップにし、そのまま髪が落ちてこないのにはびっくりしました(笑)フランス人である主人も、髪は毎日洗わないので、正直頭が皮脂臭いです。
髪を毎日洗わないせいか、保育園、幼稚園、小学校などの学校機関において、シラミが子供たちの間でよく大流行します。その度に、教室の窓に「クラスでシラミ感染が確認されたので、お子さんが頭をかいていないかよくご注意ください」との張り紙が出るので、親としてはひやひや。
我が家はまだ未体験なのですが、友達の話によると、感染するとかなり面倒らしいです。薬局でシラミ対策のシャンプーを買い、毎日それでシャンプーし、櫛で梳かしながらシラミの卵を見つけたら摘み取る、気の遠くなるような作業だと話していました。シラミがでると、子供部屋にある縫いぐるみも洗濯、消毒しないといけないので、一気に家事も増えます。
フランス人の友達から聞いたのですが、飛行機で旅行に行った際、エコノミークラスの枕からシラミに感染した例もあるようです。以来、私は機内の枕を使うのが怖くなりました。
③シンプルな食生活
大抵のフランス人家庭、食事は洗い物が少ないようワンプレート料理が基本です。お肉などのメインに、パスタやジャガイモ、お米などの炭水化物を添えるだけ。実際私の周りのフランス人を見渡すと、日本人ほどは野菜を食べません。友人の家に呼ばれて食事にいっても、サラダ、メイン、炭水化物、最後にチーズ、デザートのパターン。野菜は前菜の葉っぱのサラダだけです。
ある日、友達のうちに呼ばれ、うちの娘も含め子供達四人だけで夕飯を食べているテーブルを見て絶句したことがあります。なんと、食べ物はオーブンで温めた冷凍のチキンナゲットだけ。普段品目数の多い和食をよく食べるうちの娘には厳しかったようで、あとで私達大人が食事をするテーブルに来てこっそりとつまみ食いしていました。ちなみに大人向けメニューはチキンのクリーム煮、じゃがいも、サラダ、チーズ、デザートと、普通のフランス人の食事でした。
フランス人も最近の日本と同様、共働き家庭が多いため、子供の食事に手間をかけない母親が多いのを感じます。主人の実母である義母も、義父の後妻である継母も仕事で忙しいのを理由に食事を滅多に作らず、家政婦さんを頼んでいたので、仕事をリタイアした義母は、今は料理本を片手に料理を楽しんでいるようです。義父の家では、義父がすでにリタイアし、継母はまだ仕事で忙しい日々なので、主に義父が料理担当です。
④路上駐車
フランス人の路上駐車の仕方はとてもダイナミックです。前後の車にがつんがつんとぶつかることも恐れず、果敢にアクセルを踏み、ハンドルを大きく切り、車をねじ込むように駐車するのです。フランスの都市では路上に縦列駐車が定番で、パリだけでなく地方都市でも同じ光景をよく見かけます。
ぶつかられた方の車はバンパーがへこんでいることもしばしば。でもそんなのお構いなしのフランス人の神経の太さには舌を巻くばかりです。基本的に、日本ほどきれいな車が走っていないフランス、車の掃除もほどほどに、あとは動けばよいと思っている人が多いように思います。
私はパリで車の免許を取ったのですが、学科をパスし、実技に入った途端パリ市内をいきなり走らされ、はらはらした記憶があります。もちろん助手席の教官にもペダルが付いているタイプの車ですが、パリは路上駐車された車の隙間から突然歩行者が飛び出してきたりするので、一瞬も気が抜けません。車道を走る自転車も突然ハンドルを切ってきたりするので、一気に自転車が怖くなりました。
実技ではもちろん、縦列駐車も練習しました。そこで知ったのは、教習所ではきちんと前後の車に触れないように駐車することを学びます。試験で触れたら最後、免許は取れません。では、なぜそれを学んできたはずのフランス人は前後にぶつけながら駐車するのでしょうか。慣れからくる油断が、国民レベルで蔓延しているとしか思えません。
以上、私の周りにいるフランス人から学んだ、フランス人の生活習慣(生活実態)です。フランスに来て、こんなカルチャーギャップを楽しみながら滞在されると、旅の面白みが増すかもしれません。
[参考記事]
「荷物が届かない!評判の良くないパリの郵便配達」
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