2017年秋、私のフランス人義家族(義父、主人の継母、義弟)が初めて日本に上陸しました。約2週間に渡る滞在の間、彼らは日本の色々なものにカルチャーギャップを感じたようです。
そこで今回はそんな彼らの行動をもとに、フランス人が感じる日本のカルチャーギャップについて語ってみたいと思います。
日本の電車
11月、羽田空港に到着し、滞在先まで移動する電車に乗った義家族は、まず電車内の清潔さに驚いていました。そして、車内ではほとんど会話をせず、静かに座っている日本人にも違和感を感じたようです。確かにみんなスマホをいじったり、音楽をイヤホンで聞いたりして、あまり会話をしている人は見かけません。
対してパリでは、車内なのに電話でおしゃべりしている人や物乞いの「私はこれだけ苦労しているからお金ください」のスピーチなど、ちょっと騒がしいかもしれません。新幹線に乗った時も、義家族はその車内の快適さ、清潔さに感動していました。
そして何よりびっくりしていたのは、電車に乗るために整然と並ぶ乗客の列です。フランス人は公共の乗り物に乗るために並びません。列なんてないも同然、無茶苦茶でそのせいで押し合いへしあいになることもしばしば。さらに「降りる人が先、乗る人は後」という日本なら当然の暗黙の了解がフランス人にはあまり定着していないので、パリのメトロにおいては、降りる人と乗る人がぶつかり、口論もよく耳にします。
ごみ
毎日彼らが頭を悩ませたのは、滞在先アパートでのごみの分別です。これは日本でも地域によって異なりますが、生ごみ、燃えるゴミ、燃えないゴミ、ビン、アルミ缶等の区別がやや面倒だったようで、義父が時間をかけて袋に分別していました。フランスも紙ごみ、ガラス瓶、電池類、燃えるごみなど分別はあるものの、日本のそれよりはかなり緩い気がします。
パリ市内と違い、日本は道端すら清潔だと言っていました。確かにパリのそれと違い、犬の糞も飼い主がきちんと持ち帰りますし、ごみのポイ捨てもゼロではないものの、パリのそれよりはるかに少ないです。
散歩中の犬がマーキングをしても、飼い主がさっと手持ちのペットボトルの水で洗い流す行為を見て、公共の場をきれいに保とうとする日本人の美意識にもギャップを感じたようです。対してフランスは、公共の場は掃除夫がいるから汚しても気にしないという意識が強いと思います。
食生活
お昼に定食レストランや既製のお弁当を食べ、夜は滞在先で自炊のパターンが多かったのですが、昼も夜もうっかり続けて白いご飯が続くと「米が胃に重たい」と言われてしまいました。確かにフランス人がお米を食べるのは週に数回、毎日は食べないうえに、食べる米は主にタイ米のようなさらっとした米ばかり。日本米は彼らの胃には負担だったようです。
以後、義父と継母は、パン屋でウィンナーロールのようなお総菜パンを買い、夕食代わりにしていました。フランスのパン屋には、日本のそれのようなお惣菜系のパンがほとんどないので、初めて食べてみて美味しかったようです。
他には、継母いわく、日本はフランスよりもアペリティフ(食前酒)のおつまみにぴったりのスナック類の種類が豊富で美味しいとのこと。慣れるまでは、私についてコンビニに来たものの何を買っていいかわからなかった継母も、そのうち夕方のお酒のおつまみにとスナック菓子等をかご一杯に買っていました。確かに、スーパーで買えるお酒のあての種類は日本の方が豊富です。
ファミリーレストランのセルフドリンクシステム
休憩に入ったファミリーレストランで、セルフドリンクコーナーを初めて見た義父。グラスを空っぽにしては、自らドリンクコーナーであれやこれや試し、まるで子供のように楽しんでいました。
日本ほど飲食産業が発達していないフランスにおいて、ファミリーレストランでのセルフドリンクコーナーはほとんど見かけません。あるとしても、個人経営の小さなレストランがたまにしている程度です。目で見て自分で好きなものを入れられるのは、日本語を話さない外国人には便利かもしれません。
電子マネーにもなる便利な交通ICカード
今回は二週間、電車に乗る回数も多かったので、各自交通ICカードを駅の券売機で作りました。いちいち切符を買わずとも、ICカードをかざすだけで電車に乗ることができ、さらに一部買い物にも使えるので、日本円に慣れていない彼らにも大変便利だったようです。
フランスでは銀行が発行するカードにデビットカードの機能があり、レジ機械にて暗証番号による支払いが可能なほか、カードによって20ユーロ以下は店内レジの機械にカードをかざすだけで買い物ができます。しかしまだ日本の交通ICカードのように電子マネーにもなるカードは普及していません。交通機関の場合、券売機でチケットを買うか、ICカード入り定期券を指定区間において週ごと、月ごと、もしくは一年ごとにチャージするようになっています。
まとめ
日本とフランス、全く文化の違う二カ国ですが、義家族もカルチャーギャップを感じつつもそれなりに居心地よく感じてくれたようです。二週間の義家族専任通訳ガイドは大変でしたが、縁あって「家族」となった彼らに日本を気に入ってもらえて一安心しました。
2020年には東京オリンピックがあり、このような外国人観光客も増えることでしょう。そんな方たちに少しでも日本の良さを実感していただけるよう、私も一日本人として何かできることがないか探してみたいと思っています。
[参考記事]
「フランスに住んでみて改めて感じる日本の良さ」
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