いくら、うに、さば、とろ。日本であれば一年中どこでも食べられる寿司。世界各国でも寿司の魅力は日本人の寿司職人などによって広められ、箸を一生懸命使って寿司を堪能する外国人の姿もめずらしくなくなっている。
アメリカ全土でも日本食レストランが展開しており、寿司専門の日本食レストランも少なくない。20年前であれば生の魚を食べるなんて、恐ろしいだの、気持ち悪いだの、寿司がここまで世界中に広まることが想像できないほどのゲテモノ扱いだった。しかし、生魚をよく食べる文化の日本とは違って、質のよい新鮮な魚の寿司を提供する店は極めて少ない。おまけに料金も高い。日本人が少し奮発してステーキやフレンチに行くような感覚でアメリカ人は寿司レストランに行く。
日本から友人や親戚が遊びに来たときは、ステーキやピザなどのザ・アメリカンフードを食べさせる。ただ、2,3日の滞在であればそれで満足してもらえるのだが、1週間も経てば日本食が恋しくなるのがよくあるパターン。そうした場合、一番美味しい日本のシェフがやっている店に連れて行く。温かいお茶と味噌汁でだいたい喜ぶ。そして寿司メニューを見てびっくりするのが「寿司ロール」というアメリカ人の味覚に合わせた巻き寿司。
例えば、一番よく見かけるのがこれ、カリフォルニアロール。
カニカマ、アボカド、きゅうり、マヨネーズ、白ゴマなどを、外側から酢飯、海苔、具の順になるように巻いたもので、日本人の思う巻き寿司とは違って酢飯が外側にきている。これは、海苔を食する日本人や韓国人以外が真っ黒な海苔を見て、食べるのを怖がるからだそうだ。
地名にちなんでアラスカロールやフィラデルフィアロールなんかも存在する。アラスカロールはカリフォルニアロールに似たタイプで、鮭で有名なアラスカにちなんでスモークサーモン(またはサーモン)とアボカドである。どのロールもレストランによって多少の違いはあるが、イクラが入ることもある。フィラデルフィアロールはそこに寿司とは相反すると思われるクリームチーズが加えられ、完全に日本人の想像している寿司から遠ざかっていく。
その他には、アボカド、サーモン、マグロ、はまちなどの具が寿司ロールの上に虹のようにカラフルに乗せられているレインボーロール。
日本人としてのプライドで、これは寿司ではないといいたくなるが、上記すべてが意外と美味しい。
オムライスやナポリタンが日本人向けに作られた洋食であるように、海外で広まる外国人好みの日本食。それがきっかけで日本に興味を持つ人も少なくない。少し前に「おにぎらず」が流行ったが、意外と逆輸入の巻き寿司が流行るかもしれないし、実際そういった店も日本にでてきているようだ。
これを「寿司です」というと日本人のプライドに火がつくので、「酢飯で作った前菜です」というとすんなり口にしやすい。ぜひグローバルな寿司をパーティーやおもてなしの一品として出してみてはいかがだろうか。
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