イスラム教の国チュニジア。チュニジアは日本にいる皆さんにとってあまり馴染みの無い国かもしれませんが、イスラム教を信仰する中東/アフリカの国の中では地政学的にも文化的にも、かなりヨーロッパに近い国であります。元フランスの植民地だったこともあり、イスラムと自由な西洋文化が融合している事から、「ソフトイスラム教の国」と言われます。
イスラム教は何かと制約の多い宗教と言うのは皆さんの知るところかと思います。大まかな禁止事項は豚を食べてはいけない、アルコールを飲んではいけない、婚前交渉禁止。当然、同性愛もまだまだ自由はありません。今回は、イスラム教の国、チュニジアでの同性愛事情に焦点を当ててみた。
イスラム教で同性愛はハラーム(禁止事項)なのか
「それはハラーム(宗教的禁止事項)だ」「あれはハラール(許可された事)だ」とイスラム教信者は教典コーランに書いた内容を忠実に守り生活をします。
同性愛者についての一般的な解釈はやはりハラーム(宗教的禁止事項)です。4年程前にそう思わせる事件がありました。首都チュニスのアパートで、2人で同棲していた男子学生2人。あまりにも仲が良い姿に同性愛を怪しみ、付近住民が警察へ通報。警察が駆けつけ、部屋に侵入しました。住んでいた片方の男性がいきなりの警察の侵入に驚いて、3階の窓をつたって逃げようとしたところ、足を踏み外し落下。幸い死には至らなかったものの大怪我をおったという事件がありました。報道や周りのチュニジア人の友達の意見の大半は2人に同情するものはありませんでした。西洋の自由な空気が流れるソフトイスラムの国でも同性愛者に対する目は厳しい。
同性愛者の多い通りがある
チュニジア国内の正確な統計での同性愛者の数は不明だが、個人的な見解と周りの外国人の見解を総合すると他国(日本、または友人のヨーロッパの国々)と比べて、決して少ないわけではないと思われる。
時々一人で飲みたくなった時に行くバーの帰り道、私は頭を冷やすためにあえて通る、お決まりの細い通りがあります。人の気配がなくシラフの状態だと危険を感じそうな通りなのですが、酔っている時に頭を冷やすためにはちょうど良い通りなのです。
友人にその道を夜に通る事を話すと、「あそこは、夜同性愛者の溜まり場になっているんだよ」と言う。次に通る時に確かめる事にしました。良い感じでビールを何本かとワインのミニボトルを空けた後に、いつもの通りを通りました。23時過ぎくらいだろうか、街頭は薄暗く、海が近いので、時々貨物船の煙突の「ボー」という音が聞こえます。いつもの様に人気はない。いや、ある!ビルのエントランスの奥の方を見ると2つの影が何グループかいる事に気が付きました。さすがに近くまで行く勇気はなかったので、性別は確認出来なかったがシルエットと背丈を見るに男性同士という事がはっきりと分かる。
その後も歩きながら、通りを確認してみたが、やはりよく見ると、たくさん同性愛者がいるのです。柱の影に隠れる2人の男性、奥の階段に腰をおろす2人の男性。よくよく聞くとこの通りは現地の人の中では有名らしく。やはり彼らはそうなのだろう。恐怖も嫌な感じもしなかったが、むしろ邪魔をするのはよくないと思い、以後、通る道を1つ横の通りに変えた。現地の人も知っているという事は、もちろん警察もこの通りの存在は知っているはずで取り締まりを行う日も近いのかもしれない。付近住民の総意であればやむを得ないのかもしれない。チュニジアで同性愛者が認められる日は永遠に来ないかもしれません。
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