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治安が良い国トップ10:世界平和度指数に基づくランキング

治安が良い国トップ10:世界平和度指数に基づくランキング

「治安が良い」とは何を意味するのか。一般的には、犯罪発生率の低さ、警察・法制度の信頼性、社会の安定、テロや暴力の少なさなどが総合的に考慮される。これらを定量的に示す指標としては、世界平和度指数(Global Peace Index, GPI)が代表的である。

GPIは、シドニーの経済平和研究所(IEP)が発表しており、163か国を対象に、国内外の紛争、社会の安全性、軍事化など23項目のデータをもとに総合スコアを算出している。

本稿では、GPIを主な指標としつつ、国際犯罪統計(UNODCやOECDなど)のデータ、さらには各国の犯罪傾向や社会構造も合わせて検証し、「治安が良い国トップ10」を紹介し、そのエビデンスを掘り下げる。


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1. アイスランド

評価の根拠: アイスランドは15年連続でGPI1位を維持している。殺人事件は年間0〜1件程度で、警察官が拳銃を携帯していないことでも知られる。市民の信頼度が極めて高く、社会格差が小さい。難民や移民も一定数いるが、社会との摩擦はほとんど見られない。

エビデンス: UNODC(国連薬物犯罪事務所)の2023年の統計では、アイスランドの殺人発生率は10万人あたり0.3人と世界でも最も低い部類に入る。


2. デンマーク

評価の根拠: 北欧らしく、社会保障が行き届き、貧困層の犯罪が非常に少ない。コペンハーゲンは「世界で最も安全な都市」としても名を上げる。市民の法遵守意識も高く、監視社会というよりも「信頼の文化」が根付いている。

エビデンス: 2022年OECDレポートでは、「公共空間での犯罪被害に遭う可能性が最も低い国」の一つに挙げられており、自転車の盗難やスリといった軽犯罪すらも極めてまれである。


3. アイルランド

評価の根拠: EU圏の中でも犯罪率が低く、近年は政治的安定も高まりつつある。ベルファストなどの過去に紛争を抱えた地域でも治安は劇的に改善している。

エビデンス: GPIでは2023年に3位にランクイン。警察制度の近代化と、市民参加型の治安政策(コミュニティ・ポリシング)が成果を上げている。


4. ニュージーランド

評価の根拠: 移民国家でありながら、文化的多様性が社会の不安定要因になっていない。警察との信頼関係も厚く、自然災害時の治安維持にも定評がある。

エビデンス: 2022年のニュージーランド統計局によると、暴力犯罪の発生率は徐々に低下しており、都市部でも夜間の一人歩きが比較的安全とされる。


5. オーストリア

評価の根拠: 中欧の中では犯罪発生率が圧倒的に低く、特にウィーンは「世界で最も住みやすい都市」にたびたび選ばれている。観光客が多いにも関わらず、旅行者を狙った犯罪が少ない。

エビデンス: 2023年のGPIで4位。UNODCのデータでも殺人発生率は0.6人/10万人以下と非常に低い水準を維持している。


6. ポルトガル

評価の根拠: 経済的にはそれほど豊かとは言えないが、犯罪発生率はEU内で最も低水準。警察官の腐敗や過剰な武力行使の事例も少ない。

エビデンス: ヨーロッパ刑事警察機構(Europol)の統計では、重大犯罪(殺人、強盗、テロ)の件数がEU平均よりも3割以上低い。


7. シンガポール

評価の根拠: アジアで唯一のトップ10入り。厳格な法制度と効率的な司法運営により、窃盗や詐欺などの日常的な犯罪が極めて少ない。街中の監視カメラや厳罰主義に対しては賛否あるが、治安維持には確実に寄与している。

エビデンス: シンガポール警察の2023年統計によれば、刑法犯罪全体の発生件数は人口10万人あたり約600件程度で、日本の3分の1以下の水準。


8. スロベニア

評価の根拠: 東欧の中でも際立って治安が良く、観光地としても人気が高い。政治的安定とEU加盟国としての制度整備が奏功している。

エビデンス: 2023年GPIで7位。EU諸国平均と比較して暴力犯罪発生率が40%程度低く、テロの発生件数も皆無。


9. スイス

評価の根拠: 中立国としての政治姿勢もあり、国内での暴力事件がほとんどない。市民の銃所持は合法だが、法的な規制が厳格で、乱用例は少ない。治安に関する市民の自己評価も高い。

エビデンス: スイス内務省の2022年統計によると、銃器を使った殺人事件は年間で5件未満。大都市チューリッヒやジュネーブでも、夜間外出が安全とされる。


10. チェコ

評価の根拠: EU新興国の中では社会的安定度が高く、特に首都プラハは安全な観光都市として評価が高い。過去10年間で警察制度が近代化され、腐敗が減少傾向にある。

エビデンス: 2023年のGPIで9位にランクイン。OECDの治安指標でも、重大犯罪の報告件数が継続的に低下しており、EU平均を大きく下回っている。


エビデンスの妥当性と限界

以上の評価は、多くが統計的エビデンスに基づいているが、治安に関する評価はあくまで相対的であり、国民の主観的安全感、文化的背景、報告制度の違いなども加味する必要がある。例えば、軽犯罪が「通報されない」文化がある国では統計上の犯罪率が低く出ることもありうる。

また、移民や貧困問題が急激に進行すれば、過去のデータが将来の治安を正確に示すとは限らない。したがって、単にランキングを見るだけでなく、その背後にある社会構造、文化、制度を理解することが重要である。


結論

「治安が良い国」の共通点としては、法制度の安定、市民の高い倫理観、信頼に基づく社会関係、そして貧富の格差が小さいことなどが挙げられる。これらの要素が複合的に作用することで、社会全体の安全性が高まるという傾向が見て取れる。ランキングは参考指標にすぎないが、各国の取り組みや文化を知ることで、治安の本質についてより深い理解が得られるだろう。

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