フランスに住んで14年になりますが、フランスに来て改めて日本の良さを見つけた気がします。学生時代は、日本を窮屈に感じフランスへ飛び出した私ですが、10年以上たった今、一時帰国のたびに日本の素敵な部分をひしひしと実感しています。
そこで今回は、日本の外にいるからこそ実感した日本の良さについて綴ってみたいと思います。
バランスの良い和食
海外に住む日本人にとってまず一番恋しくなるのが和食と言っても過言ではないでしょう。パリで通訳ガイドをしていると、日本からいらっしゃるお客様がよくインスタントのお味噌汁を持参しているのも見かけます。日本人は、味噌や納豆などの発酵食品をよく摂取しますよね。
日本はお弁当ひとつとっても、野菜、たんぱく質、炭水化物がバランスよく揃っていて、肉と炭水化物に偏りがちな家庭的フランス料理よりも栄養バランスがとれている気がします。少しずつ色々なものが食べられる和食を食べ慣れた日本人にとって、フランスでの食事はひとつの品目にたっぷり量があるので食べきれない、というお客様の嘆きもよく耳にします。
実際、フランス料理は飽きるのです。私は家庭内ではできるだけ品目の多い料理をしたいのですが、フランス人の主人は肉と炭水化物だけといったシンプルなものを好むので、なかなか毎日とはいかないのが実情です。
便利な小物がたくさん揃う
日本に帰ると、必ず何度かは100円ショップに足を運びます。フランスはちょっとした雑貨が高く、日本のように便利雑貨もあまりありません。じゃがいもの皮をむく手袋やスポンジ、簡単に茹で卵の殻が割れる道具など、見ていて飽きず、毎回あっという間に100円ショップでの時間が過ぎていきます。
生活を少しでも便利にしよう、こんなものがあったら便利だなという想いを形にする力は、日本人はとても優れているような気がします。できたら100円ショップがフランスにも進出してほしいです。例え全て200円になっても、きっと在仏日本人は通うことでしょう。日本に帰るたびに、パリの日本人友達にあれやこれや100円ショップでのグッズを頼まれることもしょっちゅうです。
「お客様は神様」の精神
一流ブランド店を除き、パリの普通のお店で買い物をしていると、よく店内を掃除している掃除夫や入荷している商品を並べている店員に「ちょっとどいて!」と邪魔者扱いされることもしばしば。私がアジア人だからということでもなく、他のフランス人に対しても同じ態度です。彼らにとっては、お客さんは邪魔者という方程式が出来上がっているのかと思うほどです。
日本では、普通の小売店、スーパーですら店員は笑顔で礼儀正しく対応し、商品について質問してもすぐにきちんと対応してくれます。もちろん、お客さんを押しのけて商品を並べるなんてことは決してありません。スーパーのレジですら、丁寧すぎるほどにお辞儀して挨拶してくれるので、普段フランス流の荒い客対応に慣れている私には、その礼儀正しさが日本らしく気持ちの良いものに感じます。
清潔な街中
日本の街は、どこにいってもフランスよりもはるかに清潔感にあふれています。パリみたいに道端に犬の糞が落ちて誰かが踏んだ跡もないですし、ポイ捨てされたごみもあまり見かけません。それは住んでいる日本人の意識の高さからくるものだと思います。公共の場を汚すと、他の人に迷惑がかかるから気を付けなければいけない、という意識は、完全個人主義のフランス人には見当たりません。
もちろん、この他人を気にする習慣を窮屈に感じる日本人も多いと思いますが、そのおかげで保たれている街の「美」もあると思うのです。自分が住む街を綺麗に保とうとする意識は、是非フランス人にも見習ってほしいと思います。
公衆トイレ
パリを散策していて、一番困るのがトイレです。路上に一人用公衆トイレボックスがあるものの、壊れていることが多いのが実情で、メトロの駅にも公衆トイレはありません。トイレに行きたくなったら近くのカフェで飲み物を頼み、トイレを借りるなどします。
それに比べ、例えば東京都内を散策していてトイレに困ることは滅多にありません。駅には必ず公衆トイレがありますし、スーパーにもコンビニにもトイレがあります。さらに小さな子供が出入りするようなところには、子供用便座までついているところも沢山あり、子連れには助かります。実際、私の母がパリに来て初めて、日本のトイレ事情のありがたみを感じたと言っていました。
まとめ
日本国内で生活していると、日本ならではの良さや便利さを実感することは難しいと思います。時には日本人ならではの価値観を窮屈に感じてしまうこともあるかもしれません。
メディアを見ていても、どうしても欧米文化に目が向いてしまいがちのようですが、日本には欧米にはない良さが沢山あります。それを改めて実感するために、たまに海外旅行へ出て、日本を外から眺めてみるのも悪くないかもしれません。