アメリカの小学校の様子を、1日のスケジュールを追いながら見てみましょう。地域や学校にもよりますが、朝は8時10分頃が始業時間です。児童のほとんどは親の車で、一部はスクールバス、そして少数が徒歩で学校にやってきます。
小学校は校庭も含めすべてフェンスで囲まれているので開門しないと校内には入れません。日本だと週末など学校のグランドで遊べたりしますが、アメリカは「監視の目がない時間帯」には遊べないようになっています。
開門するのが7時45分くらいです。ここからどんどん子供たちが登校し、親は車から降ろすとすぐ仕事に向かう人も多いですが校庭で立ち話などしながら始業時間まで子供を見ている親も、低学年には多いです。
始業時間5分くらい前になるとベルが鳴り、子供たちは指定の場所にクラスごとに列を作って並びます。ここで担任の先生が出てきて列を率いて教室に入っていきます。ここまでは勝手に教室に入ることも許されません。日本と違って職員室のないアメリカでは授業の準備などは先生がそれぞれの教室でするので、休み時間も教室から出ないといけないなどのルールがあります。
ボランティアが採点をする?
ここで親は帰宅しますが、ボランティア(お手伝い)の親はそのまま残り、我が子のクラスでお手伝いをするのです。アメリカの、特に低学年の先生は自分1人でクラス全員を見る気がないらしく(?)、父兄のお手伝いが毎日数時間ずつ来るようスケジュールを組んでいます。
もちろん強制ではないのですが、我が子のクラスでお手伝いをしたいという親がアメリカにはたくさんいるのでローテーションを組むのには困りません。逆に、新学期すぐにボランティアの申し込みをしないと、「もうボランティア枠は一杯になってしまいました」とお断りされたこともあります。
どんな手伝いをするかというと、コピー取りや工作などの授業で使う人数分の紙を切り抜いたり、配布するプリントを児童1人1人のロッカーに入れたり、児童と直接関わるお手伝いだと一緒に本を読んだり少人数のグループに分かれて算数を指導したりもします。日本の感覚で一番驚くのは宿題や小テストの採点をも任されること。
日本で父兄が我が子のクラスのテストの採点をするなど、考えられませんよね。でも採点をしているといつもしっかり綺麗な字で宿題をしてくる子や、ヨレヨレになった宿題の紙に食べ物のシミまでつけてたまにしか提出しない子、またそういうクラスメートに混じって我が子がどのくらいの位置にいるのかなどもわかるようになり、興味深いといえば興味深いです。
ちなみに遠足にももれなくお手伝いの親がついてきます。そして我が子を含む4,5人のグループを任されます。
休み時間は教室にいられない?
話しは戻り、朝から2時間ほど授業をすると20分程度の中休みの時間です。この時間は基本的に教室に残ることは許されず(雨の日などは大丈夫)、子供たちは外でバスケをしたりお喋りしたり遊具で遊んだりと思い思いに過ごします。持参したおやつを食べるのもこの時間。そう、アメリカでは学校側からおやつを持ってくるように言われるんです。空腹になると集中できなくなるからでしょうか、学校から新学期に「チーズや果物やクラッカーなどヘルシーなおやつを持たせてください」と。
うちは子供が「おやつは要らない」と言っていたので持たせてなかったのですが、ある日よくよく聞くと先生が買い置きしているクラッカーをもらって食べていたということだったので慌てて持たせるようにしたことがありました。これも低学年のうちでしたが・・・ここからまた2時間の授業を経てランチタイムです。
ランチタイムはカフェに移動?
日本のように教室では食べず、カフェテリアに移動して食べます。カフェテリアで給食のようなランチを買うこともできるし、家から持参することもできます。
うちは基本的に持参していましたが、ピザの日とかになると「今日はランチを買ってもいい?」と訊かれるのでその日だけはお金を渡してランチを買わせたりしました。1人分2ドル程度です。そのランチの内容はというと、ホットドッグやマカロニチーズやチーズバーガー、チキンナゲットなどに混じり、たまに照り焼きチキンとご飯なども出るようです。
ちなみに担任の先生と一緒に食べるということもなく、子供たちは昼休みや中休み専用に雇われた監視係の人たちに見守られながら食事です。こうして考えてみると日本の先生って朝から下校まで子供たちとずっと一緒で、アメリカの先生に比べると大変だなと感じます。
アメリカの小学校の科目
アメリカの小学校の授業内容ですが、国語(英語ですが)、算数、理科、社会が基本であとは体育や美術や音楽など。なのですが、これも学校によりますが深刻な予算不足で音楽も定期的ではなく小学校4年生から週に1回だけとか(それ以前は無い)、美術も1年のうち2カ月間だけ先生がやってきて作品を1つか2つ仕上げるだけとか・・・
日本みたいに音楽も美術も水泳を含む体育や書道までも満遍なく教えてくれるなんて考えられません。
帰宅の時には
学校が終わる時間帯になると校門の外には迎えの車がズラッと並びます。下校時間を過ぎると児童が校内に残ることは許されません。親の迎えが遅れている子は事務員が親に電話したり、子供に電話をさせたりして事務室で待たせます。
これが親にとっては結構プレッシャーで、アメリカで子供を通学させているとどこで何をしていても常に「2時には学校」ということが頭にあって落ち着かないんです・・・汗。子供が中学校に入ると携帯で連絡を取り合って近くの公園で待つように指示したりできるのでかなり楽になるのですが。
アメリカの小学校は運動会や学芸会もないし、入学式も修学旅行もありません。アメリカの教育のほうが個性に合わせてくれるので素晴らしいという説を時々耳にしますが、基礎的な教育ならば日本の方がずっと充実しているというのが私の感想です。
[参考記事]
「イタリアの小学校の特徴を紹介。夏休みは3か月半」