イタリアの国民食といえば、パスタやピザが思い浮かびますか?もちろん本場のピザ・パスタも美味しいのですが、日本ではあまり知られていないイタリアの国民食「ピアディーナ」というフラットブレッドを紹介したいと思います。
ピアディーナとは?
ピアディーナ(Piadina)とは、小麦粉、ラード、水、オリーブオイル、塩から作られるイタリア発祥のフラットブレットで、エミリアロマーニャ地方などのイタリア北部で食べられています。日本でいうとお米のような国民食と言ってもいいでしょう。ピアディーナは酵母を使わないので膨らむことはなく、平らに焼きあがります。
ピアディーナにルッコラやスピナッチなどの葉系の野菜やソーセージなどの具を乗せ、ふたつ折にして食べます。ふたつ折りにはせず、丸めたものはロトリーノ、具をとじ込んで端をくっつけたものをクレショーネまたはカショーネ呼びます。
ピザを売っているお店がピッツェリアと呼ばれるように、ピアディーナを売っているお店はピアディネリアと呼ばれます。また、軽い食事としてピアディーナを食べることも多く、キオスコと呼ばれる売店や移動式の露店などでもよく売られています。
イタリアにはカレーなどを扱うインド料理店などが少ないのですが、ケバブ屋はやたらとたくさんあります。ケバブを挟むフラットブレッドにもイタリアではピアディーナが使われています。
家庭でピアディーナを焼くイタリア人や、家庭用にパック詰めされてあものがスーパーマーケットなどで売られています。家庭では食事の付け合せや、生ハムなどを挟んで食べます。ピアディーナ用の平たい専用フライパンを持っている家庭が多いです。さすが、国民食なだけあります。
店で注文するとき
お店で頼むときには具の種類はたくさんあります。基本は肉系の具材、チーズ、野菜となっており、サーモンなどの魚が具のピアディーナはあまり見かけないです。生ハムやサラミ、ソーセージなどの肉系の具材が多く、チーズにはモッツァレラやストラッキーノと呼ばれる柔らかく、伸びるチーズが好まれます。
また、動物の油であるラードを材料として使っているピアディーナが多いですが、お店によってはラードや具材にお肉を使っていないベジタリアンのものや、グルテンフリーのものもあります。
地域によって違う
イタリアの北部エミリアロマーニャ地方(ボローニャ、パルマ、ピアチェンツァ、リミニ、ラヴェンナなど)が発祥のピアディーナですが、マルケ地方( アンコーナ、フェルモなど)でもピアディーナは食べられています。
地区によってピアディーナの作り方や材料が違っています。北部に行くと比較的分厚く小さめなピアディーナが多く、マルケ地方では大きく薄いものが多いです。また地方によっては卵を入れたピアディーナがクレーシャという名前で親しまれています。イタリア内陸に位置するウルビーノのピアディーナはラードをふんだんに使っており、プライパンで温めると油が溶け出ます。ピザといい、ピアディーナといい、イタリアの食事はカロリーが気になります。
私の住んでいるマルケ地方の港町ペーザロには、ラウンタ(油っぽいという意味)と呼ばれる有名なピアディネリアがあります。このお店で売られている具材がこれでもかと詰められた油のしたたるピアディーナから名付けられました。夜のビーチでラウンタのピアディーナを食べることが地元の人々の代表的な夏の過ごし方です。
[参考記事]
「イタリアのレストランで提供されたメニューを写真で紹介」