世界の謎発見

ニュージーランドには一人暮らしという概念がない

 

 海外で暮らすということは、衣食住を全てその国で行うということです。しかし幸いこのご時世、日本でしか手に入らないブランドの服を家族や友人を通して送ってもらうこともできれば、自らオンラインショップで入手することもできます。

 さらに、筆者が暮らすここニュージーランドは、さまざまな人種が集まる移民国家であるがゆえに、ニュージーランド国内にいながら大抵のアジア系食材は手に入れることができます。

 衣食に関しては、こうして海外で暮らしながらも日本と変わらない生活を送ることができますが、住居に関してはそうはいきません。

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 一人で暮らさないニュージーランド人

 日本では親元から独立したら、結婚または同棲するまでの間は一人暮らしをするのが一般的ですよね。私の場合は大学生になるタイミングで、親元を離れ一人暮らしをはじめました。その後就職活動のタイミングで一度数カ月ほど実家に戻りましたが、就職が決まり、社会人スタートと同時にまた一人暮らしをはじめました。周りの友人や会社の同僚もみんな、実家が大学や会社のよほど近くにない限りは一人暮らしをしていました。

 では、ニュージーランドではどうなのでしょうか?実はニュージーランドには、一人暮らしという概念がほとんどありません。学生から20代、30代の独身であっても、基本的に”誰か”と一緒に住んでいます。“誰か”が誰かというと、友人だったり、他人だったり様々です。

 例えばこれから大学に進学するとして、どこに住むかというと大学の寮で暮らしたり、誰かとフラッティング(ルームシェア)するのが一般的です。ニュージーランドのほぼ全ての大学には学生寮または学校が推奨する学生用アパートメントがあります。というのも、ニュージーランドには全国で8つしか大学がありません。日本には800校近くの大学があることを考えるとその差は歴然で、その数の少なさゆえ、全国から大学に通うため生徒たちが集まります。そのため学生用のアパートメントが必須なのです。

 フラッティングとは、誰かと一軒家またはアパートをシェアをして一緒に暮らすことを差します。キッチンやバスルームのみのシェアで各自個室がある場合や、1部屋を2人でシェアする場合、はたまた1つのベッドを2人でシェアする場合もあり、さまざまです。大学を卒業した後も、誰かとフラッティングするのが一般的です。

ニュージーランドで家探し

 ニュージーランドで賃貸の家を探す際は、インターネットが主流です。日本では不動産屋に行ったり、またはまずインターネットで物件を探してその不動産屋に問い合わせて、不動産屋の立会いのもと内見をするのが一般的だと思います。ニュージーランドでは、家を買うくらいの大きな取引でない限り、不動産屋を使うことはありません。賃貸の場合はほとんどが個人間でやり取りして、家を借ります。

 Trade Meというニュージーランドで一番有名なウェブサイトには、フラットメイト募集のカテゴリーがあり、そこに全国の賃貸物件の情報が掲載されています。フラットメイトを募集しているオーナーはそのウェブサイトに情報を載せます。住む場所を探している人は、ウェブサイトの情報の中から気になる物件のオーナーにコンタクトを取ることができます。

 私はニュージーランドで4回ほど引っ越しをしていますが、いずれの場合も、こうしてウェブサイトを通して直接その家のオーナーもしくは住人とメールでやり取りして、一度見学をしてから決めました。この見学が非常に大事です。なぜなら、これから一緒に暮らすことになるであろうフラットメイト達を確認することができるからです。全くの他人と暮らすことになるので、後々のトラブルを防ぐためにもどんな人が住んでいるのかある程度知っておく必要があります。

「外国人」と暮らすことの大変さ

 一人暮らしが一般的な日本人の感覚だと、他人と一緒に住むという感覚は理解しがたいかもしれません。筆者はこちらに来て4年も経つので慣れましたが、渡航当初は他人、しかも育ってきた環境が全く違う外国人と一緒に暮らすのは、大変なことだらけでした。

 私が当初住んでいたオークランドは移民が多く集まる都市だったため、家にも世界各国の人種がいました。特に「清潔さ」は国によってかなり感覚が違うため、例えば机の上に落ちた食べこぼしをゴミ箱に捨てるのではなく、そのままカーペットに落とす人種を見た時は驚愕してしまいました。悪気があるわけではなく、そういう文化で育っているのです。

 家の中で靴を脱ぐ文化も日本人ならではなので、土足で家の中を歩き回るフラットメイト達に嫌気がさしたこともあります。時とともに慣れていき、今ではすっかりこちらの生活に馴染んでいますが、こういった文化の違いに耐えられない日本人も多いのか、日本人オーナーが運営する日本人専用のアパートなどもあります。日本人同士でももちろん感覚の違いはあると思いますが、日本人の常識からかけ離れた事態はきっと起きないだろうと思います。

最後に

 いくら日本人同士といえども他人と暮らすなんて抵抗がある、という場合、もちろんアパートを1人で借りて住むことは可能ですが、ニュージーランドでは一人暮らしをする前提で家が作られていないので、大抵1人で暮らすには無駄に広く、また非常に割高になります。

 たくさんの物件情報を見てきましたが、一人暮らし用のアパートをこれまで見たことが一度もありません。一人暮らし用アパートの需要がないので、わざわざ狭い一人用のアパートを建てても空室になるリスクがあるのでしょう。

 ニュージーランドは、基本的にフレンドリーな人が多い国です。コンビニの店員とおしゃべりしたり、散歩中にすれ違った人と雑談をすることも普通にあります。他人とおしゃべりをすることに対してのハードルが低い国なので、他人と暮らすことに対しても日本人ほど抵抗がないと思われます。

 せっかくニュージーランドに住んでいるのだから、異文化に囲まれて暮らす醍醐味を味わいつつ、日本人としての常識を忘れないように(笑)、楽しみたいと思います。

[参考記事]
「ニュージーランド在住日本人がよく行くスーパーとアジアンマート」

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