公立幼稚園は無料!
日本では待機児童が大きな問題で、特に働くお母さんたちには切実な問題です。しかしこれは日本に限った事ではなく、フランスも同様に問題を抱えています。
ですが、フランスの場合、子供の年齢が2歳半から3歳になると事情が変わってきます。フランスの公立幼稚園はオムツが取れてさえいれば希望する子供全員が無料で通う事が出来ます。これはフランスの公立幼稚園が初等教育の一環とされているからです。その為ほとんどの子供が2歳半、もしくは3歳から幼稚園に通い始めます。
「無料で3歳から幼稚園に入園できる!!」こんな制度が日本にもあればいいのに!!と当初は思っていました。しかし、現実は…..。
1日2往復!
フランスの幼稚園は公立だけではありません。有料ですがカトリック系の私立幼稚園もあります。
私の子供も2歳を過ぎ、幼稚園をどうするかとフランス人の主人と相談したところ、「僕も幼少期は公立の幼稚園だったし、うちの周辺はそれ程治安も悪くないし、幼稚園は公立で十分だよ。無料だしね。」と言うので、その言葉を信じ公立の幼稚園に申し込む事にしました。
どの公立幼稚園に通うかは住んでいる学区により自動的に決まってしまいます。その為住んでいる地域により、幼稚園の質が異なるのが公立幼稚園の特徴でもあります。例えば移民が多い地域だと、教育熱心な親も少なく、両親がフランス語を話せないという家庭の子が多いです。また幼稚園の園長先生、担任の先生によっても方針は異なってきます。
公立幼稚園は週5日、水曜と金曜は午前中のみ。金曜は希望すれば午後も預かってもらえます。幼稚園にもよりますが朝は8時20分から午後は4時20分までです。
昼休みは11時半から13時半までの2時間で、給食は有料です。家庭の収入に応じて金額は変わりますが、フランスの一般的な収入の家庭は1食500円程度になり、日本の給食費と比べると高いです。しかも昼休みに預かって貰えるのは共働きの家庭優先で、空きが無ければ自宅で昼食を食べ、昼休み終わりの13時半にまた幼稚園に送って行かなければなりません。
その為主婦の私は1日2往復することとなります。学区内とはいえ、徒歩15分の距離。往復30分×2回で、1日1時間送り迎えに費やします。朝の送り、昼のお迎え、昼食後の送り、そして帰りのお迎え。はっきり言って疲れます。
先生が来ないんです!
幼稚園は1クラス30人とびっしり、先生は一人、先生を補佐するアシスタントが1人です。手が足りないのはよくわかります。その為オムツが取れてないと、受け入れて貰えません。
うちの子供はお昼寝の時間におねしょを数回してしまい、早速先生から「数か月学校を休んでもいいわよ。もう少しお漏らししないようになったら来たら?」と言われました。先生としては何としてでも手をかかる子を減らしたい、自分の仕事を減らしたいといった所です。日本の保育園や幼稚園では考えられませんよね。うちの子供と同じクラスの子、数人にも言っていました。
もう一つ困ったのは先生の病欠とスト。うちの子供の担任の先生は年に3回ある2週間のバカンス後、さらに1週間来ませんでした。バカンスの最終日、「明日から幼稚園。しっかり朝起きて幼稚園に行くのよ。」と子供に良く言い聞かせて、翌日幼稚園に連れて行くと「担任の先生が不在なので自宅に帰ってくれと・・・。」と。こっちは「えー!」ですよ。
冬のバカンスの後には校長先生から「先生がスキーで足を骨折したから、1週間幼稚園に来ないで欲しい。代わりの先生を探します。」と。1週間後の月曜日には骨折したはずの担任の先生がピンピンして立っていました。おいおい、嘘までついて休むのかい。日本なら親や子供、同僚に合わす顔がないと思いますが、全く動じない様子。もう最後の方は「100歩譲って休んでいいから、事前にバカンス後さらに1週間休むとクラスの親にも伝えておいてくれないかな~」と思ってました。
そんなんこんなで、公立の幼稚園は無料とは言え1日に4度の送り迎え、先生の病欠とストに振り回され専業主婦の私でも疲れ果て、次年度入園出来る私立幼稚園を探すことになったのです。
まとめ
フランスの公立幼稚園は確かに無料ですが、学校の方針、先生に依る部分が大きく、「無料だから質、内容はこれでも良い」と思う人でなくと無理。また私の子供が通っていた幼稚園のおもちゃはぼろぼろのものも多く、日本の幼稚園との差にショックを受けました。田舎や都市、また地域によっても学校の雰囲気が違うので、勿論公立の幼稚園でも素晴らしいところは沢山あります。
私の子供は無事私立幼稚園に入園でき、先生が不在な事もなく日本の幼稚園の様な雰囲気で安心です。実際子供を公立の幼稚園に入れてみて、どうしてこんなにも有料の私立幼稚園が人気なのかがよくわかりました。
[参考記事]
「イギリスの義務教育と保育園事情。待機児童問題も」