中国というと、オリンピックで金メダルをたくさん獲得する国というイメージがありませんか。何せ人口16億人以上と言われる国ですから、運動に秀いでる人たちもたくさんいると想像できます。様々な種類のスポーツで、金メダルをたくさん獲得しているイメージがありますから、水泳も今までにたくさんメダルを獲得しています。
ですから、中国の人達は水泳が上手いのだと思っていませんか?これが意外にも苦手なんです。何故でしょうか?
<クラブ活動が無い中国の学校>
日本よりもオリンピックでメダル獲得数が多い国なので、さぞかしスポーツのレベルが高い国なんだろうと思われている方が多いと思いますが、実はそんな事はありません。運動音痴が多いですよと申し上げるつもりはありませんが、一般国民の運動レベルは総じて日本の方が上だと筆者は感じています。
その最大の原因は学校の放課後にあります。これは日本の学校の放課後が世界的にみてイレギュラーな事なので、何も中国に限った事ではありません。日本の学校では小学校を卒業すると、中学校からクラブ活動に参加します。文化系クラブと体育系クラブに分かれますから、全員が体育系のクラブに入る訳ではありませんし、そもそもクラブに入部しない人もいますが、概ね体育系のクラブに入部する比率が高いと言えると思います。
上下関係が厳しく、強豪校になればなるだけ、練習密度や時間が多くなり、数年間のうちに極めて高いレベルで技術力や忍耐力が備わって行きます。一長一短もありますが、日本の学校で一般的な放課後にクラブ活動を行う事で、体育系クラブに入部した生徒の運動レベルは総じて高く維持されていると言えると思います。これは日本独特の仕組みです。勿論中国にはありません。授業が終わって放課後になれば、生徒は帰宅するか、寮に戻ります。日本と中国の学生の放課後は決定的に違いがあるのです。
<貧富だけではなくスポーツの世界の格差も激しい国>
授業が終わると帰宅する中国の生徒達は、勉強に追われています。日本以上に学習熱が高く、学生は必至で勉強に勤しんでいます。地域でスポーツのクラブがある場所もありますが、お金がかかる事でもあり、スポーツよりも圧倒的に勉学に重点が置かれています。ですから、オリンピックでのメダル獲得数から比較すると、とても意外な事なのですが、中国の一般国民の運動熱は高くありません。
オリンピックで活躍する様な選手は、国家が特別に養成しているスポーツエリートであり、16億人以上の人口の中のほんの一握りの人達なのです。一党独裁の中国共産党らしいやり方です。外から想像するイメージとは違って、中国のスポーツエリートと一般国民のスポーツレベルの差は甚だ広がっているのです。
<学校にはプールがありません>
日本の学校には必ず校舎と校庭とプールがありますよね。ところが中国の学校にはプールはありません。日本では小学校から、夏になれば当たり前にプールで水泳の授業がありますが、中国にはプールが無いので、水泳の授業はできません。意外じゃないですか?体操も、陸上も、水泳も、小学校の時から厳しく授業で鍛えて、結果オリンピックでメダルを獲得していると多くの皆さんが想像しておられる事だと思うのです。意外や意外、プールが無いのですから水泳は基本的に習っていないのです。
しかも、中国では海水浴場が極めて少ないのです。広大な国家ですから海に面している海岸線も長いのに、海辺が汚いという事もありますが、海水浴場がほとんどありません。そもそも海で泳ぐという発想をしていないのかもしれません。
学校にプールが無くて、海岸線に海水浴場が少なく、多くの国民にとって海は遠い場所にありますので、日頃から泳ぐという事に慣れていないのです。結果、殆どの人達は水泳が苦手ですし、夏に水着を買って海に行くとか、プールに行くという事は一般的ではありません。
大連や青島、海南島などの限られた地域だけ海水浴場が有名で、観光客が海水浴する場所はありますが、多くの中国の人達は海で泳いでいません。これが中国における水泳の実態です。
<まとめ>
オリンピックでのメダル獲得のイメージが強いだけに、一般の中国の皆さんの多くも運動に精通していると思いがちですが、意外な事にそうではありません。水泳ともなると、本当に泳げる人が少ないというのが現状です。そもそもプールに入った事が無い人たちがたくさんおられる筈です。本当に意外ですよね。