世界の謎発見

中国で長距離移動するにはパスポートが必要

 

 旅をするのは楽しいですよね。国内でも海外でも、乗り物に乗って、知らない街を訪ね、土地の美味しい物を食べて、歴史や人を知るという事は、人生を豊かにしてくれます。海外に行く事は異文化体験そのものですから、国内旅行とは違う意義があります。

 そして、海外で一つの都市に留まるだけでなく、いくつかの都市に脚を運ぶと更に楽しさが広がります。中国の様な広大な国の場合、旅の醍醐味も格別です。中国内で長距離移動する場合、日本とは違ってある物が必要になるのを御存じでしょうか?

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空港、鉄道の移動には身分証明書が必要

 日本国内で、長距離の移動をしても、乗り物の切符さえあればどこにでも自由に行く事ができます。自分の身分を証明しない限り移動ができないという事はありませんよね。

 しかし、中国で長距離移動をしようとした場合は身分証明書を提示する事が求められます。交通機関によって違いはありますが、飛行機と鉄道の場合です。搭乗・乗車する前に、身分証明書の提示を求められます。

 イメージは、国際線のイミグレーション前の検査だと思って下さい。身の回りの持ち物や身体のX線検査をした後に、パスポートで本人確認をされた後に搭乗口に向かう事ができますよね。中国では、国際線だけではなく、国内線に搭乗する時も同様の手続きをします。

 鉄道に乗車する場合も同じです。最近は、切符を購入する時にも身分証明書の提示が必要で、切符に身分証明書の番号が記載されます。乗車する前に、切符に記載されている身分証明書の番号を実際の身分証明書で確認します。この様に、国内移動するだけなのに、あたかも海外に行く様に検査されるのです。

 いかにも共産主義的な人民に対する行動監視のシステムだと思います。中国の皆さんは全員各自の身分証明書を持っています。日本人が運転免許証を携帯しているのに似ています。

 外国人の場合は、パスポートを提示する事になります。ですから、飛行機や鉄道で長距離移動する際は、パスポートの持参を忘れてしまうと、切符を持っていたとしても搭乗・乗車ができなくなりますから、ご注意が必要です。

宿泊するにもパスポートは必須

 日本ではホテルにチェックインする際には、カウンターで宿帳に必要事項を記入するだけで宿泊する事ができます。身分を証明する必要は無いので、悪く言えば偽名でも宿泊できてしまいます。

 中国でホテルにチェックインする際には、必ず身分証明書の提示が必要です。外国人である我々はパスポートの提示が必要になります。(駐在員の場合は居留証でも構いません。)

 ですから、日本の様に、気が向いたらチェックインするとか、ラブホテルみたいに男女で自由に宿泊する事ができません。必ず身分証明書が必要で、原則的には結婚している男女以外は同部屋に宿泊する事も禁止されています(昨今、星の多いホテルでは緩和されている様ですが、原則禁止です。)

 パスポートさえ持っていれば何も問題はありませんが、ちょっと面倒臭いシステムなんです。

笑い話の様な本当の話し

 実は筆者にはパスポートにまつわる笑い話があります。出張で数百キロ離れたある都市に向かった時の事です。飛行機での移動でしたから、パスポートを持参して、空港では航空券と共にパスポートを提示して搭乗し、目的地に到着しました。ホテルでチェックインをすると、受付の担当者がパスポートが違うのでチェックインできないと言うのです。

 そんな筈はありません。パスポートは自宅から持参し、空港でチェックも受けて飛行機に搭乗したからこのホテルにいるのですから。受付の担当者に抗議すると、パスポートの写真を指されて唖然としてしまいました。何と私の家内の写真ではないですか!そりゃー担当者も了解できない筈です。

 私も家内のパスポートを見せられて苦笑してしまいました。どうして家内のパスポートがここにあり、何故飛行機に搭乗できたの?
理解できませんでしたが、私が間違えて家内のパスポートを持って来てしまったのです。

 ホテルの担当者は宿泊者とパスポートが違うので、チェックインさせられないと頑として聞き入れてくれません。仕方なく、アポイントを取っていた商談の相手先には事情を説明して仕事をキャンセルしました。夜遅かったので、致し方なく夜行列車で帰る事にすると商談相手に伝えると、心配だからと一緒に駅に行って切符を購入してくれました(この当時は切符の購入時に身分証明書の提示が必要なかった時代でした。)

 しかし、再び問題が発生します。改札で切符とパスポートの提示を求められたからです。私のパスポートは家内のパスポート。つまり、帰ろうにも夜行列車に乗る事もできない状態だったのです。その事を事前に想定していた商談相手が駅員に必死に説明してくれて、何とか夜行列車に乗る事ができて、帰宅する事ができました。

 この様に、身分証明書が無いと、中国内で長距離移動する事はできないのです。それにしても、家内のパスポートなのに空港の係官は何もチェックしていなかったという事です。そういう事もあるのです(笑)

地下鉄や路線バスは身分証明書は不要

 大都市の地下鉄などでは、パスポートの提示を求められる事はありません。地下鉄の場合は、日本の地下鉄と同様に、自動券売機で切符を買うか、ICカードで改札を通り乗車することができるので、日本と変わりません。

 但し、駅によっては、改札の前に空港でよくある様なX線検査機があって、手荷物検査を受けさせられる事があります。係官が横にいて、無作為に呼びとめられて荷物をベルトコンベアに乗せる様に言われます。危険物の無作為検査なので、検査を受けさせられても一般人なら何も問題無く終わります。

 筆者も数回だけ検査を受けた経験があります。混雑している地下改札前で自分だけ指名されるのは気分が良いものではありませんが、ご指名ですので、仕方がありません。

まとめ

 中国は日本と違って自由主義国家ではありませんから、移動するにも一定の制約があります。特に、地方から沿岸部の大都市への人口流入を食い止めたり、人民の行動監視という側面が強いと思います。

 中国で長距離移動される方は、パスポートをお忘れ無き様。くれぐれも配偶者のパスポートを持参しない様に!(笑)

[参考記事]
「中国国民は本当に反日なのか。中国在住10年の著者から見た中国」

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