陸続きで国々が隣接し、車や電車で簡単に国境を越えて移動できるヨーロッパでも、各国の食文化は大きく異なります。それは食材や名産品の違いに留まらず、食事のスタイルや食事習慣にも及びます。
この記事ではそんな各国独自の朝食のスタイルに焦点を当てて、おすすめの食べ物も交えつつご紹介します。
イタリア編
イタリアの朝食はとてもシンプルでスピーディーです。イタリア人曰く、目覚めて最初の食事に必要なのは速攻エネルギーに変わる糖分と、寝ぼけた身体をシャキッとさせてくれるカフェインなのだそう。
自宅ではなく近所の行きつけのバール(お食事処)で毎日朝食を摂る人も数多くいます。そのためバールやパティスリー(ベーカリー)は早朝6時、7時から営業しています。定番はクロワッサンやブリオッシュ(下の写真)と呼ばれる甘いパンひとつに、イタリアンコーヒーもしくはカプチーノの組み合わせです。
「郷に入っては郷に従え」、イタリアに行ったらイタリアの伝統に倣いましょう。バールではなくパティスリーで朝食を摂る場合におすすめしたいのが、イタリアでしか味わえないスイーツの数々です。下の写真はアラゴスタと呼ばれる定番スイーツでパリパリのパイ生地の中にたっぷりカスタードクリームが入っています。
もう2つ紹介します。
手前のお菓子はスフォリアテッラ・ナポレターナ。幾重にも重なったパリパリの生地の中にオレンジピール入りのリコッタチーズがたっぷり入っています。
奥のお菓子はカンノーネ・シチリアーノ。チョコチップの入ったリコッタチーズとクッキー生地の食感が絶妙です。シチリアを代表するスイーツですが、人気が高いためイタリア全土でお目にかかれます。
フランス編
フランスの朝食もイタリア同様甘いパンとコーヒーです。大きな違いはその量。
フランスのカフェで一般的な朝食セットは、
・クロワッサン等の菓子パン1つ
・フランスパン2切れほど
・ジャムとバター
・フルーツジュース
・コーヒー類
と食べごたえとカロリーたっぷりの量が提供されます。
その分料金も高くなりますが、朝に必要な糖分をしっかり摂って一日に備えるのがフランス流です。朝からそんなに食べられないという人はクロワッサンに狙いを絞り単品注文しましょう。クロワッサンはフランスから始まり、世界中に定着したものです。本場の焼きたては一味も二味も違います。
フランスではエスプレッソとアメリカンの両方のコーヒーが愛飲されています。コーヒーをオーダーすると必ず大小を問われるのでエスプレッソの場合は小、アメリカンの場合は大と答えましょう。
ドイツ編
日本人が最もなじみ深いのがドイツ流の朝ごはんです。ドイツのホテルに宿泊すれば日本国内のホテルとほぼ同じような内容の朝食が提供されます。ビュッフェ形式でハムやチーズ、簡単な卵料理にサラダ、シリアルやヨーグルト、ドリンクバーで好きなものを好きなだけいただけます。イタリアやフランスの糖分メインの朝食はドイツ人には合いません。そのためイタリアやフランスの人はドイツでの朝ごはんに窮することも。
ドイツのコーヒーは基本アメリカスタイルです。薄味のものをたっぷり飲むのがドイツ流です。エスプレッソも頼めば出てきますが、酸味の強いものが多く、地中海風のコーヒーに巡り合える可能性は極めて低くなります。
ドイツ人は基本朝食を自宅で取る人が大半を占めるため、カフェなどの開店時間もイタリアやフランスに比べてずっと遅くなっています。ホテルに宿泊する場合には朝食付きで予約することをおすすめします。