現在、世界人口は約83億人(2026年推計)に達しており、数字だけを見れば「減少」はしていません。しかし、その内側では、人類史上かつてないほどの劇的な変化が起きています。
1. 人口は「増えている」が「ブレーキ」がかかっている
国連(UN)の2024年〜2026年の報告書によると、世界全体の人口は2080年代半ばに約103億人でピークに達し、その後減少に転じると予測されています。
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増加の継続: 2026年現在も、世界では年間約7,000万人近く人口が増え続けています。
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成長率の低下: 1960年代には年率2%を超えていた人口増加率は、現在1%を割り込んでいます。つまり、人口は増えているものの、その勢いはかつての半分以下にまで落ち込んでいるのです。
2. 世界を二分する「少子化」と「多産」のエビデンス
「人口減少」という言葉が真実味を帯びるのは、地域による格差が極端だからです。
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減少局面の国々: 日本、韓国、中国、そして欧州の多くの国々では、すでに人口がピークを過ぎ、実質的な減少が始まっています。特に韓国の合計特殊出生率は0.7台(2024-25年)と、医学的に人口を維持できる「置換水準 2.1」を大幅に下回る衝撃的な数字を更新し続けています。
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爆発的増加の国々: 一方で、サハラ以南のアフリカ諸国(ナイジェリア、コンゴ民主共和国など)やパキスタンでは、現在も高い出生率を維持しています。2050年までに増える人口の半分以上は、これら数カ国に集中するというエビデンスがあります。
3. 「合計特殊出生率 2.1」の壁
医学的・統計的に、人口を維持するために必要な出生率は2.1とされています。 2026年現在のエビデンスでは、世界の3分の2以上の国や地域で、すでに出生率が2.1を下回っています。 つまり、世界全体で見れば「将来の人口減少」へのカウントダウンはすでに始まっており、アフリカなどの一部地域の高い出生率が、世界全体の減少を辛うじて先送りしている状態なのです。
4. 医学と公衆衛生が生んだ「長寿化」の影響
人口がすぐに減らないもう一つの理由は、医学の進歩による**「平均寿命の延び」**です。
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死亡率の低下: 乳幼児死亡率が劇的に下がり、高齢者の寿命が延びたことで、生まれてくる子供が減っても、全体の人口が維持される「人口慣性」が働いています。
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高齢化の加速: 2100年には世界の平均年齢は42歳(1950年は22歳)に達すると予測されています。人口が減る前に、まず世界は「超高齢化社会」という未曾有の事態に直面することになります。
結論:私たちが直面しているのは「減少への序曲」
「世界は人口減少している」という問いへの答えは、**「今はまだ増えているが、人類の再生産能力はすでに減少フェーズに入っている」**というのが科学的な正解です。
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短期的(〜2080年): 人口は増え続け、資源や環境への負荷が課題となる。
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長期的(2080年〜): 人類史上初めて、地球規模での本格的な人口減少が始まる。
2026年の今、私たちは「爆発的な人口増加」への対策と、「避けられない人口減少・高齢化」への備えを同時に行わなければならない、歴史的な転換点に立っています。
