寄付の文化がまるで違うアメリカ
アメリカは様々な場面で、寄付を求められたり、集めたりする機会がとても多いです。アメリカの特に私たちが住んでいたカリフォルニアでは、子どもの頃から道端で手作りのレモネードやクッキーを売ったり、寄付金集め(ファンドレイジング)を経験します。
特にこのクッキーやカップケーキ等の焼き菓子系を寄付金込みの値段で売ることを『ベイクセール』と呼び、とてもメジャーな寄付金集めの方法です。
寄付の目的は様々ですが、
「恵まれない子どものために」
「動物の殺処分を無くすため」
といった社会的なものだけでなく
「僕の学校の先生がクビにならないように」
「私の学校の設備が壊れたのを直すため」等比較的個人的に困っている案件でもOKなんです。
ピンクの紙のイメージに驚き
娘がアメリカの公立小学校に通っていた時に日本で大震災が起こったため、学校付近に住む日本人の方々と協力して寄付金集めをすることになりました。
全校生徒にお手紙を配らせてほしいと校長先生にお願いに伺う際に、私は柔らかい雰囲気が出るようにとピンクのコピー用紙に印刷しようと考えていたのですが、アメリカに長く住んでいる方から「ピンクはレイオフを連想させるから絶対にダメよ!!」と注意を受けました。
ピンクの紙(ピンクスリップ)の意味とは?
実は、アメリカではピンクの紙は「Pink Slip(ピンクスリップ)」と呼ばれていて、『解雇通知』のことを意味するのです!(Slipは紙切れ、伝票という意味)
これは昔お給料を給料袋でもらっていた時代に、封筒の中にピンクの複写式用紙が入っていた人は「もう来なくていいよ(レイオフ=解雇)」という風習があったことからと言われています。(諸説あり)
ですので、もし誰かが“I got a pink slip.” (ピンクスリップもらった)と言ったとしたら、それはつまり「クビになっちゃった。。。」という意味になりますので、勘違いして「良かったね。」などと口を滑らせてしまわないように気を付けてくださいね。
ちなみに古い言い方ですが、日本でも「赤紙をもらった」=「戦争に行かなくてはならない」という表現がありますよね。年配の方の中には「会社で左遷させられた」という意味でこの言葉を使ったりする人もいますので、それに近いものを感じます。
無難に配布のお便りは白がベスト
当時カリフォルニア州では大幅な教育業界に対する予算削減が行われており、公立の小学校の先生もいつクビになってもおかしくないといった状況でした。そんな繊細な時期に、いくら日本人からとはいえピンク色の用紙でお手紙を配ったりしたら先生方もいい気分はしないですよね?
日本の国旗が赤と白なので、ピンクがいいかな?優しい感じがするし、と軽い気持ちでピンク色の用紙を選ぼうとしていた自分を反省しました。教えてくださった日本人のママ友に感謝です。結局他の色付ペーパーにしても、何か意味があったら困るので、無難に配布のお便りは白にしました。
いつも「ピンクスリップ=解雇通知」というわけでは無い
また、これはアメリカでもカリフォルニア州の話ですが、自動車運転免許の仮免許のこともピンクスリップと呼ぶようです。そしてオーストラリアでのピンクスリップとは車検終了証のことを意味するらしいです。ややこしいですね。
まあ本来の単語の意味としては『ピンクの紙』ですので、間違いではないのですが、それぞれの国や地域でピンクスリップの意味するところが違うので注意が必要です。