世界の謎発見

韓国人と結婚した日本人女性の現実。日韓問題が夫婦生活に影響?

 

 2012年の春、私(日本人女性)は結婚して韓国に来ました。儒教の教えによる「年上を敬う、年上の立場が強い」という文化が残っている上、田舎のしきたりが強い家に嫁ぎました。

 結婚前から韓国留学の経験があり、韓国語はある程度は話せていたので、生活での言葉の不都合はそんなにはありませんでした。しかし、ここは韓国の第二の都市、釜山。日本でいう大阪のように、とにかく方言が強い地域です。標準語で韓国を習得していた私は、義父母との会話に苦戦しました。これは、結婚してから4年半経った今でも、悩みの1つです。

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現実は想像をはるかに超える

 事前に、韓国に嫁いだ日本人妻のドキュメンタリー番組を見ていたので、日韓の国際結婚がどれだけ大変かは理解していた…つもりでした。現実は厳しいものです、予想をはるかに超えました。

 結婚後は、主人の実家の真横にある家に住み、義父母と敷地内同居が始まりました。同居ではなく棟が違えばそこまでの干渉もなく上手くやっていけるだろう、と思ったのが大間違いでした。独身時代に、日本の実家の敷地内に兄夫婦が住んでいたのを見て、それが基準となっていました。程よい距離感を保っていたので、それなら平気だと過信していました。

 しかし、ここは韓国。日本の常識が通用するはずもなく、想像以上の出来事が頻繁に起きました。韓国では、敷地内同居=ほぼ同居です。
●義父母が帰ってきたら、出迎えて『おかえりなさい』を言わなければならない。
●外で義父母が作業をしていたら、出て行って手伝う。
●外出する時は、『行ってきます』と『ただいま』を言うために、 主人の実家に顔を出さなければならない。
●突然の合同の外食や、急な外出は当たり前。
『前もって』『事前に』約束をするというのが存在しない。

●我が家と主人の実家、2軒分の掃除、皿洗いをする。
●家に勝手に入られて、冷蔵庫の物がなくなっている。
もちろん、鍵の暗証番号も教えなければならない。等

 特に最初の2点の任務遂行のために、常に横の家に耳を澄ませ、神経遣うことが一番疲れました。すぐそばに住んでいるのだからとにかく交流を多く持ち、且つ嫁の仕事を進んでやるようにという暗黙の了解がありました。嫁の仕事といっても日本人である私には、何をすべきで、何が正しいのか、最初は全く分かりませんでした。

 更に、韓国人は「家族とはたとえ会話がなくても、同じ空間を共有することが大事」という考えが強いです。当時日本の感覚でいた私は、その沈黙に耐えきれずに無理矢理話題を探して話したり、「避難所」である自分の家に逃げたりもしました。

義姉の存在も大変でした

 嫁いだ時期がちょうど、義姉の産後鬱に当たってしまい、韓国文化に必死に慣れようとしている中、義姉のきつい態度に精神的ダメージを受けました。義姉といっても、年下です。それでも尊敬の念を持ち、接しなければなりません。

 義姉が2週間近く里帰りしていましたが、義姉と赤ん坊の姪っ子が寝る場所はなぜか我が家。核家族の1人1部屋、テレビは各部屋1台の家で30年以上生きてきた私は、主人以外の人間と毎日同じ空間で寝ることに耐えられませんでした。姪っ子の世話も、嫁の仕事の1つです。

家族会議

 その他様々な事件が起こり、家出もしましたし、『この家を出る』というのを条件に、立てこもりもしました。そのぐらいの行動をしないと、本気度が伝わらないためです。そして、もう耐えられなくなった結婚3年目に、義父母を含めた家族会議を開きました。お互いに気を遣っていたことが空回りし、誤解をしていた部分もありました。初めて嫁である私が泣いて訴えたので、義父母はとても驚いていましたが、本音をぶつけて心を開いたことにより、かえって関係が深くなりました。それからは、何でも思ったことを言うようにし、徐々に日本の家族の存在と同じように考えられるようになり、今でも関係は順調です。義姉との関係も良好です。

 外国人だから免除されている部分も大きいです。義父母は決して性格が悪いわけではなく、単純に文化の違いによる価値観の違いで、ぶつかった面が多かったです。今は、私が韓国人ではないからと理解してくれているので、とても感謝しています。時に、外国人免除権を使い、年上を敬う概念を気にせずに、意見をはっきり言う事もあります。

日韓問題は夫婦生活に影響するのか

 韓国文化にも慣れ、気づかないうちに考え方が韓国人寄りになっている部分もあります。私自身の性格が、韓国に合った点がとても大きいです。とにかく色んな日韓夫婦がいて、 日本人の奥さんが韓国になじめずに離婚した夫婦もいますし、言葉の面で意志の疎通がまともに取れないことによるケンカが多い夫婦もいます。

 韓国では男尊女卑的な習慣が残っているため、一部の韓国男性による暴力が問題になることもあります(結婚するまでは優しいが、結婚後は変わってしまうということも聞いたことがあります)。

 日韓夫婦で懸念される点の1つに日韓の歴史問題がありますが、それが直接、夫婦関係の悪化に結びつくことはありません。ただ、反日感情を幼い頃から教育されている主人は、日本に対しての良くない感情も併せ持っています。そこは、『私も韓国に生まれ育っていたら、同じように思っていたであろう』と考えたら納得できました(悪いのはそういう教育をしている韓国の政府ですので)。授業では、日本が韓国に行ってきた1兆円近い道路などのインフラ整備や5000校以上の学校の建設などの「良い面」は一切教えていないそうです。ある程度、年を取っている人たちはこの時代の日本のしてきた良い面を評価しているようですが、若い人はこういうことは一切知らないと主人は言っていました。ですので、親戚の集まりで、日本のマナーやモラルを褒めてくれたり、先進国である日本には韓国は追いつくことはできないと認めている人は主に年配者です。

 日本に対していい感情を持っている人は少ないですので、自分から韓国の地で竹島問題を取り上げるのは止めた方がいいです。もちろん、夫婦間でもです。その他にも日韓合意を破って慰安婦像を建てた現状を考えると韓国人の日本人への感情は一筋縄ではいきません。

 ある本に書いてあったのですが、韓国では儒教の教えにより、一回上下関係が出来てしまうと「下の者は上の者に何かをしてあげるのは当然」という感覚があるそうです。日本は政治的な妥協で韓国に謝ってきた歴史的な経緯があるので、「日本は謝ったのだから韓国より下の立場。だから何をくれてもそんなの当然。感謝はしない」と思いがあるそうです。これは「現実は想像をはるかに超える」の章で話した姑との関係を読めば納得がいくのではないでしょうか。外国に嫁ぐということはこういう苦労があることは忘れてはいけません。

後悔している点

 韓国生活がとても快適と思えてる今、それでも国際結婚を後悔している点を挙げるとしたら、居住地に関してです。日本の家族と離れて住んでいる点です。年を取れば取る程、高齢の親のそばにいたいという気持ちが大きくなりました。現在、主人の仕事の都合もあり(単身赴任でニュージーランド在住)、将来的に韓国or日本or第3国のどこに住むかの選択肢があります。どちらかの母国に住めば、どちらかが不利になる国際夫婦の場合、第3国に住むことが一番平和に暮らせると言いますが、主人が長男ということもあり、どの国に住むことになるかは、まだまだ未定です。国際夫婦にとっては贅沢な悩みで、とてもありがたいです。

 郷に入り郷に従え、住めば都とはよく言ったもので、最初の頃に嫌がっていたことが、今は驚くほどに全く気になりません。韓国に適応して快適に住み、逞しくなったと思います。しかし、もし周りで韓国人の彼氏がいて、浮かれて現実が見えてない人がいたら、韓国人との結婚を勧めはしません。なんだかんだで、母国同士が一番だと諭します。日本人としての誇りを忘れずに、 これからも主人と手を取り生きて行きます。

[参考記事]
「国際結婚の良いところ、悪いところ」

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