読者の皆様の中に、二か国以上での留学を経験された方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
筆者はニュージーランドで1か月、ドイツで2か月ほど短期での語学留学を行ないましたが、その双方での経験は全く異なるものであったように感じます。
というのも、在籍していた生徒たちの国籍の違いによるものなのか、とにかく授業の雰囲気が全く異なっていた上、そもそも教師の態度が全く違うんです。
15分経過も姿を見せないドイツ人の先生
ドイツ人は時間に厳しい、というイメージをお持ちの方も多いかと思います。私も初めはそうでした。
語学学校初日、悪い印象を与えないようにと慌てて準備し、なんとか授業開始時刻5分前には教室までたどり着きました。
しかし私の予想とは裏腹に、教室内にいた生徒は約一名(笑)
その後5分以上遅れて続々と生徒たちがやってきましたが、まだ先生の姿は見えません。
授業開始予定時刻の午前9時を15分以上過ぎた頃、ようやく一人の先生が颯爽と現れましたが、先生自身の遅刻に関しての言及は特にありませんでした。
その時には「まあ初日だしそんなこともあるか」と思ったのですが、先生の遅刻はその日だけではありませんでした。ほぼ全ての先生が毎回10分以上遅刻してくるんです。
こんなことはニュージーランドに留学していた時には一度もありませんでした。
遅刻した生徒には厳しい
ドイツ人の先生方、これだけ時間に緩いのであれば、当然生徒の遅刻に対しても緩いのかと思いきや、生徒に対しては容赦なしでした(笑)
とあるドイツ人の先生は毎回10分~15分ほど遅刻しているのですが、その方が15分以上遅刻してきた生徒に対する言葉は耳を疑うものでした。
生徒「Morgen!(おはよう!)」
先生「おはようだって? もう15分以上も過ぎてるじゃないか! 休み時間まで外で待ってなさい! Aufwiedersehen!(さよなら!) 」
実はこの生徒、毎回遅刻してくる遅刻常習犯。20分以上の遅刻はほぼ毎回でしたが、この日はいつもよりは早めの15分遅刻。それでもこのぞんざいな対応に、ついに彼がブチ切れました。
「たった15分くらいの遅刻じゃないか! 遅刻するななんて言われたって俺はアラビア人だ! アラビア人にそんなことは通用しない!」
扉を勢いよく閉めて憤然と出ていった彼の姿に教室の皆は唖然。
しかし私は彼の言ったことを心の中で反芻していました。
確かに、アラビア系の学生には遅刻者が目立って多く、それも30分以上も当たり前。ニュージーランドの語学学校で、他の生徒も先生も皆時間通りに来ていた時でさえ、毎回15分以上遅刻してくる学生はアラビア人でした。
相手の遅刻を見越して遅刻している?
それではなぜドイツ人の先生たちはこんなに遅刻してくるのでしょうか。
その理由を考えるにあたって、こんなこともありました。
とあるドイツ人と親しくなり、たびたび一緒に遊びに出かけていたのですが、たまたま私の方が数回ほど遅刻を繰り返してしまう、ということがありました。
するとその次の待ち合わせの際、彼が30分ほど遅刻してきたんです。遅刻の理由を尋ねると、ドイツ人は待たされるのが大嫌いとのこと。そのため遅刻してくる相手に対しては、自分自身も遅刻していく、と言いのけたのです。
このことを通して私が感じたのは、ドイツ人の先生も遅刻者があまりにも多いため、それを見越して遅刻してきていたのではないか、ということです。先生自身が15分も遅刻してくるのに、それ以上遅刻してきた生徒を責める権利なんてないじゃないか、と最初は思ったのですが、先生の遅刻の理由も生徒の方にあったわけです。
皆さんもドイツ人と約束する際には遅刻だけはしないようにこころがけましょう。そうでないと、あなた自身が延々と待たされることになるかもしれません。