毎年恒例のDubai International Film Festival、通称『ドバイ国際映画祭』が、2016年12月7日に開幕しました。日本からは、興行収入200億円を突破した今年の大ヒットアニメーション映画「君の名は。」と、是枝監督・阿部寛主演の「海よりもまだ深く」が上映されました。
■ ドバイ国際映画祭とは
ドバイ政府の支援の元、2004年に始まったこの祭典は、以後毎年12月に開催されています。期間中、マディナ・ジュメイラという海沿いのラグジュアリーホテルには、世界中からハリウッドやボリウッド(インドの映画)の俳優・女優ほか業界関係者が結集し、レッドカーペットを歩きます。
また、ビーチには無料屋外上映と出演者によるパフォーマンスが行われる会場が設営されるなど、映画に関連したイベントが数多く開催されます。
■ ドバイの映画館はどんなところ?
「君の名は。」など出展作品の上映館となったのは、ドバイが誇る巨大ショッピングモール「Mall of the Emirates」内にある映画館「VOX Cinemas」です。ここは20以上のシアターを擁する大型シネマコンプレックスで、3Dはもちろんのこと、4DXデジタルシアターも完備しています。昨年2015年秋にオープンしました。
また、VIP席を完備しているのがドバイ流の映画館。「Exclusive Lounge」と呼ばれるVIP席は、家族や仲間内だけで貸切ることができ、ウエイターの担当がつく、特別個室です。
入口は一般客とは別れており、座席はゆったりとしたレザーシート。その特徴は1席1席がゆったりとした幅でとられていることです。イメージとしては、飛行機のエコノミークラスとファーストクラスの座席の違いに似ています。これは富裕層向けビジネスであるだけでなく「家族以外の男女が席を共にするのは好ましくない」とするイスラームの教えにも適っています。
そのお値段は、160AED、日本円で約4900円となります(今現在のレートで)。通常の席は35〜45AED、日本円で約1000円〜1300円程度で販売されていますので、約4倍の価格ということになります。
チケット売り場はタッチパネル方式。この画面上で、カードでの支払いまで済ませることができます。
「映画館の楽しみのひとつであるポップコーンも、もちろん売られています。ただし売店は、イスラームの断食月「ラマダーン」の期間中は、パーテーションで隠され、ひっそりとした営業になります。地元の宗教であるイスラームと、ラマダーンに関係のない異教徒たちの、両方に配慮した運営をしていることが分かりますね。
■ 日本アニメとドバイ
日本のアニメは、ここドバイでも大変な人気があります。特に有名なのはNARUTOで、テレビを点けるとナルトやさくらがアラビア語を喋っています。紀伊国屋書店のDubai Mall店には、翻訳されたコミックスがズラリ。
世界のOTAKUの祭典として名高い「コミコン」や、アブダビで今年初めて開催された日本のポップカルチャー特化祭典「ANI:ME」においては、クオリティの高い日本アニメのコスプレをした人に何十人、いや百人くらいお会いすることができました。日本のコミケと違うのは、参加する年齢層の広さです。大人から子供まで、幅広い参加者に出会うことができます。
■ まとめ
ドバイと日本は飛行機でおよそ10時間も離れています。そして、宗教も異なります。それでも日本の作品たちが高評価を受けていることはとても嬉しいですね。日本の誇れる輸出産業として、今後も日本経済を牽引してくれるのではないでしょうか。