ついこの前、カナダは誕生150年を祝ったばかりの国ですので、まだまだ歴史も浅い。日本は生誕2677年ですので、その差は歴然だ。誕生から150年しか経っていないので、カナダ国は移民で成り立っている。というか移民を入れないと成り立たないのだ。イギリスからの移民を筆頭にこの国はここまで成長してきた。
古くからそして今なお移民、難民を受け入れているカナダ国は様々な問題を抱えながらもアメリカよりも人種差別の問題は少ないように思われるがそれはカナダ人の気質とこの国の気風である。
中国人は共産国家の息苦しさ、環境の悪さから世界中のいたるところに移民をしてきた。もっと言えば中華思想が根底にあるだろう。つまり、世界を中国化するということだ。今回は議題から外れるから、この議論はしない。人工の絶対数が多いため、中国はやはりカナダでも目立つ存在であるし、目立つがゆえに共感、批判、反感がある。
今回、賛否両論があるなかで中国人移民へのカナダ市民や政府の考えや心証を少し書いてみたい。
カナダに中国人が多い訳
19世紀半ばから中国人の移民が始まった。特に鉄道開発とゴールドラッシュで中国人がカナダへ入った。
1987年にこれに拍車をかけたのが香港中国返還である。それを嫌った香港人は海外に移住を希望し、カナダは英語を話せる数少ない先進国の一つであることから彼らの移住の的になった。またアメリカよりも移住の手続きが簡単だったこともこれを後押しする結果になった。
カナダのなかでも特にバンクーバーに集中したのは気候が一定して温暖だったこと、港があり経済発展が見込めたことである。今ではバンクーバーとホンコンを掛けてホンクーバーとも呼ばれることもある。
衰えない中国人の経済進出
最近でも中国の中国海洋石油がカナダの石油会社ネクセンを買い取ったり、バンクーバーでの不動産売買や住宅建築ラッシュに火をつけたりと紙面をにぎわす。その煽りをくって中国への厳しい目は向けられたままだ。
経済で頭角を現した中国への反響は妬みや羨望もあるのか、上手くいっている時はいいが、少しでもやりすぎや行き過ぎがあるとカナダ人の見方がシビアになってくる。
例えば裕福な中国人の家庭の子供が高級車をひどい運転で乗り回して事故を起こしたことに対してカナダ人の怒りを買ったことがあった。またカナダで運転免許を取得せず、中国でお金を払って免許を買った若者がバンクーバーで事故を起こしたりということもあり、かなりのバッシングがあった。
カナダ政府は経済効果を移民や難民から期待
カナダはシリアからの難民も受け入れている。賛否両論はあるが、このことによってカナダ政府としては好い宣伝効果が見込まれる。「親切で豊かな国、カナダ」「これにひきかえトランプ政府のひどいこと」など人々の視線は集まる。勿論カナダ政府は移民や難民を受けることによって経済効果を期待しているのである。
移民局の官僚はこれからも中国人の移民をさらに増やしていくという計画である。労働者、学生、旅行にビザを発行して行きたいらしい。カナダ国は彼らから経済効果を得たいのだ。
ただし、明記しておきたい点は移民局はトロント市とバンクーバー市へのこれ以上の移民には難色を示しているということである。この地域は移民が多すぎるのだ。
カナダ市民の心証
これまた人それぞれ中国移民への心証や考え方は全く違う。あるメディアによると、185人対象の「中国に反感があるか?」というリサーチでは54%がアンチ中国、33%がノーという回答、14%がわからないという結果が出ている。
例えば中国人の町とも言われているリッチモンドという場所があるが、そこに住む白人は中国人に対して反感を覚えることも少なくない。確かにその町に入ると中国一色である。看板も中国語一色である。
そこに住む白人の中には「中国語ばかりで読むこともできない。これは逆差別だ」「やかましい町になってしまった。馬鹿げている。これでは中国人の町ではないか」「カナダを乗っ取る気か」という声もあることは確かだ。この市民からの訴えには市も英語の看板や記載を増やすようにとも指導を行っている。しかし、効果はない。
また別のアンケートでは半数の人が「カナダに来ればカナダ人として生活していくべきだ。」と答えている。つまり、母国語ではなく、英語を話し、文化を尊重すべきだと言うのだ。
色々な捉え方のある移民問題だが、カナダでは移民で成り立っていることもあり、移住の歯止めをかける要素がないことは確かだ。100年後には生粋のカナダ人はかなりいなくなっているだろう。そう考えると移民問題は労働力だけで考えると大変な目に合うことになる。
日本もこのまま外国人の移住を促進していると、いずれは生粋の日本人はいなくなっていくことが予想される。安倍総理は移民ではなく労働者だと言っているが、それは詭弁で、一回住み着いてしまうと追い返すことは不可能なのだ。