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タイの交通事故死は世界で第2位。その理由とは

タイの交通事故死は世界で第2位。その理由とは

 

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タイは世界2位の交通事故の死者数

 2015年のWHOの発表では、タイは人口10万人あたりの交通事故の死亡者数は世界で第2位。人口10万人中36.2人の死亡率で、1位のリビアの73.4人に続く高さだ。ちなみに日本は10万人中4.7人。

東南アジアの各国では、
ベトナム10万人中24.5人
マレーシア10万人中24人
ミャンマー10万人中20.3人
カンボジア10万人中17.4人
インドネアシア10万人中15.3人

 また、タイメディア・デイリーニュースの2017年7月の記事では、年々死者数は増加の一途をたどっていると訴えている。2017年上半期の死者数は 6,712人で、2016年の同時期の5,308人から大幅に増えているのだ。これは年間の死者数では25%も増大する計算だ。

タイ正月ソンクラーンは交通事故のピーク

 毎年4月の水掛け祭りで有名なタイ正月ソンクラーンの時期は、日本と同様全国で帰省ラッシュがはじまる。そのため、例年この時期の交通事故の件数は群を抜いて高くなり、死者もそれに比例する。2017年の4月の死亡者数は1,382人で、1日あたり46人が亡くなった計算になる。

 ソンクラーンの交通事故の大きな要因の一つは、飲酒運転。1年ぶりに故郷に戻る出稼ぎ労働者は、仕事から解放されて気分が最高潮へと高揚してしまい、ついつい祝い酒を飲んでしまうのだろう。気持ちはわかる。
だが、これが毎年、二度と帰省できない多くのタイ人を生む悲劇の悪循環になっている。

タイで交通事故死が世界で第2位の理由

 タイの交通事故の原因には、前述したような飲酒運転に加えて様々な背景が浮かび上がる。まず、インフラとしての道路の整備状況がきわめて劣悪。陥没や崩落がいたるところで目につく。

 道路交通法についても、たとえば「踏切一旦停止は行わなくてよい」とされていることが、列車と車両の接触事故を多発させている側面がある。

 さらには、タイにはいちおう車検制度はあるものの、検査内容はきわめて緩く、車両の整備が厳密に行われているとはいい難い。

 街中でよく見かけるバイクやスクーターの2人乗り、あるいは3人乗りといったスタイルも転倒事故につながりやすい。

 そして、飲酒だけではなく、覚せい剤系のドラッグを常用している長距離ドライバーが少なくない点も、この問題の闇の深さを浮き彫りにする。 

ビーチリゾートでは外国人のバイク事故は日常茶飯事

 公共交通機関のないタイのビーチリゾートでは、多くの外国人観光客が、バイクやスクーターをレンタルして観光やショッピングの足としている。中には初めてスクーターに乗る人もいて、アップダウンや砂の多い道路で容易に転倒している場面を目撃することもしばしば。

 そしてホリデー気分で浮かれた外国人観光客には、ソンクラーンのタイ人と同様、飲酒した後、時にはドラッグでハイになって運転する人もいる。

 タイのビーチリゾートでは、外国人観光客のバイク事故はもはや日常茶飯事となっていて、救急搬送される地元の病院は、常時ツーリストの患者で溢れかえっている。

 プーケットの政府系の病院では、無保険で死亡した外国人患者の医療費の未払いによる損失が累計で莫大な額に上っていることが報じられ、タイ政府は外国人観光客に海外旅行保険を義務付ける法案の策定に動き出している。

交通事故は他人事じゃない

 かくいう筆者も仕事が終わってバイクで帰宅する途中、暗闇から急に飛び出してきた犬を避けようと見事に転倒、重症を負ってしまった経験の持ち主。

 日本でもオフロードの中型バイクに乗っていて、ライディングの技術もそれなりに自信があったが、事故は突然やって来た。ノーヘルにもかかわらず、頭を強打しなかったのは不幸中のさいわい。タイでは多くの人がノーヘルでのバイク事故で命を落としているからだ。

 入院して骨折の手術を受けた政府系の病院は、私立病院に比べるとはるかに格安だったが、それでも保険なしで実費で払うには非常に高額だった。日本で国民健康保険がない場合の支払いを想像してもらえばわかると思う。

 短期のタイ旅行でも、海外旅行保険への加入を強くお薦めする。タイはにこやかな国民性の過ごしやすい国だが、治安はけっして日本のようには良くないし、外国人観光客がトラブルに巻き込まれる例も多い。交通事故や盗難・詐欺などに合っても、海外旅行保険の有る無しではまるで話が違ってくるからだ。

 交通事故は私のように想定外に起きる。これだけは頭に入れておいてもらいたい。タイは世界で第2位の「交通事故死大国」であることをお忘れなく。

[参考記事]
「タイ王国で日本人が自殺したり殺される原因は何か」

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