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ニュージーランドの専門学校はアジア人だらけ。その理由は

ニュージーランドの専門学校はアジア人だらけ。その理由は

 ニュージーランドというと、皆さんどんなイメージがありますか?
美しい大自然、羊、キウイフルーツ、オールブラックス(ラグビー)などでしょうか。これらのイメージは決して間違っていません。しかし私の場合はさらにもう一つ、そこに暮らす「穏やかな白人系ニュージーランド人達」を想像していました。

 ニュージーランド人は、自分たちのことを親しみを込めてKiwiと呼びます。今から約4年前、私が日本からニュージーランドへ向かう飛行機の中には、Kiwiの姿がたくさんあり、これから始まる新生活に心を躍らせたものです。

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ニュージーランドの専門学校はアジア人の巣窟!?

 ニュージーランドで専門学校に通うため、日本を飛び出し渡航した筆者。ニュージーランド随一の大都市オークランドに高揚した気持ちで到着した私でしたが、まず目に飛び込んできたのは、道行くアジア人の多さ。

 飛行機に乗っていたKiwi達はいったいどこへ行ったのか、どこもかしこも、アジア人。あれ、私どこにいるんだっけ?と混乱してしまうほどでした。特にオークランドのメインストリートであるクイーンストリートは、アジア系人種の巣窟。ざっくりとした内訳としてはインド人、中国人で7割近くを占め、残りは韓国人、日本人、フィリピン人、タイ人、スリランカ人、ベトナム人、トルコ人などなど。

 アジア系のお店も多く、台湾発祥のバブルティーや韓国コスメをはじめ、インド料理店、中華料理店、ケバブ屋、テイクアウェイの寿司屋など、ありとあらゆるアジア系諸国のお店が軒を連ねています。そこで働いている人々はほとんどがその国出身なので、お店のスタッフもアジア人だらけです。

 道を歩いていると、見知らぬ中国人に中国語で話しかけられることも。英語どころか、街を歩いて耳に入ってくるのは中国語やヒンディー語(インドの公用語)ばかりです。

 白人も勿論いることはいるのですが、Kiwiではなく、フランス人だったりロシア人だったり・・・。こうして私のニュージーランド生活は、移民国家の現実を目の当たりにするところからスタートしました。

専門学校にKiwiが1人もいない?!

 初日からアジア人の多さに衝撃を受けた筆者ですが、気を取り直して、翌週から予定していた専門学校に入学しました。英語を学ぶための語学学校ではなく、専門知識を学ぶ専門学校なので、もちろんKiwiもいるだろうと思っていました。

 しかし、クラスルームに入ると・・・なんとここでもアジア人だらけだったのです。クラスメイトの8割をインド人が占め、残りは中国人、韓国人、インドネシア人、ロシア人、スリランカ人、日本人の私という状況。ロシア人が唯一の白人です。

 ここはインドか?!と思うほど、ターバンを巻いたインド人のクラスメイト達はヒンディー語でお喋りをしていました。大きな学校だったので、偶然私のクラスだけKiwiがいないのだろうかと思ったものの、そういうわけではなく、結局この学校に通った2年間で他のクラスも含め、Kiwiの学生を見ることは一度もありませんでした。

 さらに、多くの先生方も外国出身でした。アジア人の先生は少なかったですが、フランス人、イタリア人、南アフリカ人などこれまた様々な国から来ていました。幸い(?)Kiwiの先生もいましたが、全体の3割ほどでした。

 学校を通して様々な国の友人ができたのはかけがえのない財産ですが、ニュージーランドの学校に通っているというのにKiwiのクラスメイトが1人もいないのは非常に残念でした。

専門学校に通う理由とは

 ここまでは私の体験談ですが、それから4年以上ニュージーランドに暮らして、分かったことがあります。専門学校にKiwiがほとんどおらず、アジア人を始めとする留学生だらけなのには実は理由があったのです。

 ニュージーランドは先進諸国の中では移住しやすい(永住権が取りやすい)ことで知られています。また社会保障の仕組みが整っており、移住先としても人気です。

 移民法は毎年のように変わりますが、基本的に何か技術がある人は、技術移民として永住権を申請することができます。その永住権に繋げるための第一歩として、専門学校に入学するという選択肢があります。

 ニュージーランドの永住権はポイント制になっており、ニュージーランド国内の学校に通っていると有利です。専門学校に通い、専門知識や技術を身につけて職を得て、そこから永住権を申請するという流れが移民希望者の間で王道になっています。さらに、学校側も、外国からの生徒を集めることで多大な利益を得ることができます。

 ニュージーランド国民と、外国人との授業料には大きなギャップがあり、その差はなんと約2倍にもなります。移住したい外国人達は、ニュージーランド国民と比べて2〜3倍高い金額の授業料をおさめてでも、学校に通います。

 そのため学校側にとっても、自国民の生徒を集めるより外国人の生徒を集めたほうが明らかに金銭的なメリットが大きいのです。こうした理由から、ニュージーランドの多くの専門学校は外国人の生徒が多数を占めています。永住希望の留学生にとっても、学校側にとってもWin-Winな関係となっているわけです。

おわりに

 ここ数年間で、こういった専門学校を足がかりとした移住ビジネスが盛んになっており、移民の数が膨大に増えたために、ニュージーランド人が職を得られないという状況が起きています。

 最終的に永住権につなげるために安い賃金でも働きたいという移民を雇ったほうが、雇用者側もコストをおさえられるので、一部の業界では移民を優先的に雇う傾向にあるのです。

 この対策としてニュージーランド政府は最近頻繁に移民法の改正を行っていますが、実際のところ、中国の富裕層による土地の買い上げや、それこそ上述の専門学校など、移民がもたらす経済効果も非常に大きいという事実があります。

 先進国とはいっても地理的にどの国からも比較的遠く、世界的な産業もなく、人口も少ないニュージーランド。アジア人の移民を完全に排除してしまえば、たちまち国として成り立たなくなるでしょう。ニュージーランドは「移民の国」として、デメリットを受けて入れていくことしか方法がないのが実状です。

[参考記事]
「ニュージーランド在住日本人がよく行くスーパーとアジアンマート」

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