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仏教国ラオスの意外な騒音問題。夜中の4時まで続く爆音の正体とは

仏教国ラオスの意外な騒音問題。夜中の4時まで続く爆音の正体とは

 

 日本ではマイナーな存在ですが、「東南アジア最後の秘境」と呼ばれて欧米人観光客を惹きつけてやまない国、ラオス。隣国のタイやベトナムと違い、のんびり穏やかなムードが旅行客に人気です。

 最近、作家の村上春樹さんが『ラオスにいったい何があるというんですか?』というエッセイを出したことで、日本でも少し知名度が上がっているかもしれません。

 そんなラオス、国民は穏やかでいつもにこにこ、何事も「ボーペンニャン(問題ないよ)」で済ませてくれる、ゆる~い性格。その反面、毎朝早くから道端で托鉢を行なう僧侶に金銭を施したり、週末は欠かさずお寺に行ったりと、かなり敬虔な仏教徒でもあります。

 でも、そんな真面目な姿からは想像もつかないほどの問題が、ラオスにはあります。それは、夜中の騒音です。

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夜中3時まで鳴り響く爆音

 それは、夜、辺りが暗くなった頃に突然始まります。時間にして8時頃、ドンドーン!という音が聞こえたら、その日は覚悟しないといけません。

 ノリノリのポップス音楽、正体不明のラオス演歌、酔っ払った市民によるカラオケのど自慢の声。まさか隣家から?と思うくらいの距離感で、恐ろしい爆音で、夜中の3時、4時まで続きます。あまりの騒音にもちろんこちらは眠れません。仏教のお祭りの時期になると、今日はあっちの家、明日はこっちの家、といった具合で連日、交代で続くことも。

 レストランやナイトクラブが原因になる場合もあります。連日の騒ぎとなると、こっちの疲労感もピークを迎えます。一睡もできなかった日の朝、思わず在留日本人・外国人の友人に「昨日も近所の騒音が…。」と言えば、みんな一同に「出た~。かわいそう。」と心から同情してくれます。

 そう、ラオスで暮らしたことのある外国人なら誰しも一度は頭を悩ませたことがあるもの、それが騒音なのです。

3か月間以外は、悪夢の連続

 筆者の経験からすると、1年のうちで特に騒音がひどいのは、年末年始、ラオス正月の4月、お寺のお祭りがある10月、の3つの時期です。

 実はラオス、仏教のしきたりに従い、年に3か月は一切のお祭りごとが禁止となる期間があります。7月から9月までのこの3か月間だけ、パーティーも、結婚式も、お祝い行事は一切禁止。貴重な静寂の時間です。

 けれども10月に入り、無念にも禁止期間が明けると、騒音無法状態のスタートです。いつ何時、悪夢のような夜がやってくるかわかりません。筆者は首都のビエンチャンに住んでいましたが、一度、ラオス北部のルアンパバーンという人気観光地で年末年始を過ごしたことがあります。

 日中はゾウに乗って川で泳いだり、森の中に隠れる滝でマイナスイオンを浴びたり、おいしい餅米料理を食べたりと、世界遺産の町の魅力を満喫していました。が、夜になると、様子は一変。またもやドンチャン騒ぎ…。ラオスのどこに行ってもこの問題からは逃れられないんだと実感した瞬間でした。

 同じホテルに宿泊していた欧米人観光客は、夜じゅう、部屋の窓から「Stop it! ****!(禁止ワード)」と叫び続けていました。もちろん、その声も爆音にかき消されて、届かないのですが…。

誰も助けてくれない。ひたすら耐えるのみ。

 筆者はあまりの騒音のひどさに、何度かラオス人の協力を得ようと奔走したことがありました。まずは、家の守衛のおじさん。でも、「他の人達が楽しんでいるのを邪魔するわけにいかない」と謎の理屈であっさり断られました。

 次は、大家です。うちの大家は町の権力者を親に持つ、なかなかの有力者です。なんとか頼み込み、騒音の原因となっている家やレストランに苦情を申し入れてもらい、町全体を仕切るドン的存在の村長にも掛け合ってくれるようにお願いしました。

 けれども事態は一向に良くなりませんでした。日本や他の国であれば、警察の力を借りることもできるでしょう。けれども、この国の警察は市民の騒音問題などに構ってはくれないのです。そうなれば、もう引っ越し…とも考えましたが、周りの友人の似たような状況を見て、思いました。引っ越したところで、どこも同じなのです。

一番の騒音の原因は・・・お寺!?

  日頃から仏教の教えに従って慎ましく暮らし、町では車のクラクション一つも鳴らさない、控えめなラオスの人達。それが夜になると、どうしてこうも人の迷惑を顧みない態度になるのか。

 答えはわかりませんが、もしかすると、控えめであるが故に日頃からストレスを抱えていて、鬱憤を晴らす唯一の手段が夜中のバカ騒ぎなのかもしれません。

 そんなことなら、普段からほどよく発散しておいてくれよ…と願うわけですが、実は、夜中の騒ぎ以上に、決まって人の眠りを邪魔するものがありました。それは、お寺です。夜も明けぬ3時か4時頃、お寺の鐘の音がそこら中に鳴り響きます。修行僧の朝は早いのです。一晩続いたパーティーの騒音で寝不足の朝、やっと静かになったと思うと現れる、大きな鐘の音…。この国は、やっぱり敬虔な仏教国なのでした。

[参考記事]
「タイの交通事故死は世界で第2位。その理由とは」

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Comments / Trackbacks

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  1. 「敬虔」と「迷惑知らず」、「穏やか」と「馬鹿騒ぎ」のアンバランスが笑える。日本なら社会問題。おおらかな国ですね。

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