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フランスに住んで14年。フランス人の付き合いやすい所、難しい所

フランスに住んで14年。フランス人の付き合いやすい所、難しい所

 フランスに住んで14年、フランス人と結婚して10年。やっとフランス人気質というものが語れるようになってきた今日この頃。今回はフランス人という人達の付き合いやすいところ、逆に難しいところについて私なりの視点で書いてみたいと思います。

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フランス人は気取っている?

 パリに来た当初、私はフランス語がほとんど話せませんでした。その代わり、英語は話せたので英語で何とか乗り切っていました。

 しかしながら、大都会パリに住むパリジャン達、世界屈指の観光都市なので、みんな英語が話せると期待していたのですが、蓋を開けてみると、英語の簡単な単語すら通じません。これをよく、日本人は「フランス人はフランス文化を誇りに思っているからわざとフランス語しか話さない」と言ったりしますが、現実は違います。彼らは本当に英語が話せないのです。

 気取っているから英語を話さないわけではないことがわかると、私も英語で強く話しかけることは止めました。代わりに、下手な発音でもよいから、頑張って、知っているフランス語の単語を並べてコミュニケーションを取るように心がけました。すると、最初は気取って冷たい態度で接していると思っていたフランス人、一気に態度が軟化したのを覚えています。

 フランスに旅行にいらっしゃったら、簡単な挨拶BonjourやMerciだけでも言ってみてください。彼らにとって外国語である英語で突然話しかけられるよりも、はるかに好感を持ってくれると思います。頑張って自分たちの国の言葉を話そうとしてくれている、そんな気持ちが伝われば、もしかしたらそれがきっかけでフランス人の友達ができるかもしれません。

短気なフランス人

 身近なフランス人達を見て、毎回思うことは、彼らの辞書に「忍耐、我慢」という言葉はないということです。家庭内ではもちろん、外でもよく道端やスーパー、あらゆるシーンで苛ついた(いらついた)フランス人が暴言を吐いていたり、口論しているシーンを日常的に目にします。フランスに来た当初は、それを見る度に、フランス人=怖い人達 という印象を持っていましたが今は違います。

 彼らは怒りや苛つきをその場で発散すると、後は普通のトーンに戻るのです。その場で忍耐、我慢して乗り切るという感覚はないようです。我慢してため込んでしまいがちな日本人よりも、健康的と言えば健康的かもしれません。

 兎に角、言葉で表し態度で示し、すっきりするといった感じです。忍耐我慢が美徳とされてきた日本で育った私から見ると、なんと大人気ないと思ってしまうのですが。一度発散すると、後は何事もなかったかのように、恨みの感情を引きずらずに日常に戻っていきます。フランス人相手の場合、ここでしつこく根に持つほうが「負け」といった感じです。

 私の義理の家族も、疲れたり苛ついたりするとはっきり態度に示します。そうすると周りは距離を空けてそっとしてあげたり、気分転換の何かを提案したり。はっきり態度でわかるので、慣れればとてもわかりやすく付き合いやすいと思います。そのせいかはわかりませんが、今のところ私は嫁姑問題などほとんどないので、その点はありがたく思っています。

一歩踏み込むとお節介で優しいフランス人

 最初はとっつきにくい印象の人が多いフランス人。でも何かのきっかけで立ち話に話がはずんだり、何か共通点を見つけて話が盛り上がったりすると、その親密度も急に増します。ここではいくつか私の日常の体験談をお話しします。

 ネットで買った商品が自宅の代わりに配達される、代理配送先に選んでいる近所の雑貨屋さん。他にも代理配送先登録のお店は何軒かあるのですが、我が家はこの少し離れた雑貨屋さんを選んでいます。

 最初は荷物を取りに行くたびに挨拶しかしなかった店長さん。一度ちょっとしたことで何気ない雑談をするようになり、今では私の名前を憶えていてくれるほど。おかげで、本来は受け取りに必要な身分証明提示も、彼の店では必要ありません。うっかり身分証明書を忘れても大丈夫なので助かっています。

 また、ある日には、近所のスーパーで大量に買い物をし、いざ支払いの場面になり、肝心の財布をうちに忘れてきてしまったことに気が付きました。いつも立ち話をするレジのおばさん「うちは近いのでしょ?商品全部ここに置いておいてあげるから、財布取りに行ってらっしゃいよ。待っているから。」と。

 もちろん私がいない間、ほかの人の会計をしているわけですが、決して広くはないレジコーナーの端に大量の荷物を置いて待ってくれていたので、また一から商品を選ばずに済み、本当に助かりました。普段おしゃべりしていて良かったと実感したのは言うまでもありません。

 もうひとつ、去年の話をします。娘を迎えに幼稚園についた途端、体調の良くなかった私はしゃがみこんでしまい、立てなくなってしまいました。すると、普段からよく雑談をしていた幼稚園のスタッフが助けてくれて、無事に娘と帰宅することができました。

 後日、この話をスタッフから伝え聞いた娘の担任から「今度から何か体調が悪くてどうしてもお迎えに困ったら、電話して。仕事が終わったら娘さんを自宅まで送り届けるから。」と彼女の携帯番号をいただきました。

 もちろんそんな異常事態はないに越したことはありませんが、お守りとして彼女の番号は携帯に登録しています。普段はクールな担任の、心優しい一面に触れた出来事でした。

 こんな小さなエピソードは書き上げるときりがないのでここまでにしておきます。

決して謝らないフランス人

 フランス人に対し、未だに私が腹を立ててしまうのは、例え自分が悪くても決して謝らないというところです。我が家のフランス人はもちろんのこと、何か自分のせいでトラブルが起きても、決して「ごめんなさい」の一言が出てこない。

 まるでその一言を言ってしまったら負けだとでも思っているのでしょうか。謝る代わりに、彼らがいうのはまずこの一言「私のせいじゃない」。私にしてみたら「完全にあなたのせいでしょ?謝るのが道理でしょ?」と思うのですが。これは家庭内ではもちろんのこと、フランスの会社でフランス人と仕事をしていた時も理解に苦しむ点でした。

 物事を円滑に運ぶために、例え自分が直接的に悪くなくても、まず謝るという性質の日本人から見ると、ここは非常に付き合いにくい点の一つともいえます。我が家も、典型的フランス人の主人相手に、この気質のせいで家庭内が不穏な空気に包まれることもしばしばあります。

 フランス人相手に何かトラブルが起きたら、まず謝らないこと。これは鉄則です。その一言を口にしたら最後、負けてしまいます。

 一見気取った印象を持たれてしまうフランス人。実はよい意味でも悪い意味でも、とても人間味にあふれた人達ということが少しでも伝われば幸いです。フランス旅行にいらした際は、躊躇せずに、気後れせずにフランス人達と接してみてください。きっと思ったより「わかりやすい人達」だとわかると思います。

[参考記事]
「フランス人男性との恋愛が始まるまでの過程」

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