Read Article

広告

中国では交通事故を巡って殺人も。交通事故死は年間25万人

中国では交通事故を巡って殺人も。交通事故死は年間25万人

 

 中国には法律で定められた交通法規と暗黙の交通ルールがあります。日本の交通ルールに慣れていると時々怖い思いをします。実際の体験を元に中国の交通ルールに関して解説します。中国ではこの交通ルールのせいで交通事故も増え、交通事故死は年間25万人という、とんでもない数になっています。

広告

歩道を迫り来るバス

 中国では歩道に駐車スペースがあります。その為、車が歩道を走るのは合法になります。その分、歩道も大きく作られており、駐車スペース、車の走るスペース、人の歩くスペースがとられています。
 
 駐車している車は駐車スペースの白線よりはみ出して車を停めたり、歩道を走行する車は、歩行スペースにはみ出して運転するため、おちおち安心して歩いているわけにはいきません。しかも、歩行者スペースにはゴミ箱や電柱などがあるため、歩行スペースはかなり限られています。

 ラッシュ時、車道(歩道の走行スペースではなく本来の車道)が渋滞するときは歩道の走行スペースは、一秒でも早く進みたい運転手により、もう一本増えた車道になります。日本ではまさか!と思うような光景を見ることができます。

 中国在住の私の経験をお話ししましょう。3歳の娘を連れて散歩に行った時です。交差点で信号待ちをしているとき、突然後ろからバーン!と巨大クラクションの音がします。驚いて振り返ってみると、市営バスが車道の渋滞を避けるため、歩道を走行してきます。私と子供にバスが迫ってきたため、娘は驚いて泣き出してしまいました。バスの運転手は運転席から手振りで、私たちにバスの運行を妨げないよう、横に避けるよう促しました。

 でも、私はバスの運転手にそこで停車するよう手を上げて促しました。なぜなら、ここは歩道です。市営バスが遅れようが、時間とおり運行できなかろうが、遅れる乗客がいようが、その為運転手が罰金をとられようが、ここは歩行者優先の歩道です。バスの運転手も歩道で人を轢いてしまうと大変な責任問題になります。

 日本の法律と同じで中国も歩行者優先です。しかし現実の交通事情は車優先です。中国では車と歩行者がかち合った場合、歩行者が車に道を譲ります。歩行者は自国の交通ルールや国民性を知っているので、交通事故を避けるために無理な横断はしません。

人と車の優先順位

 中国の暗黙のルールでは歩行者優先ではなく車優先です。信号のない交差点で、歩行者と車が出会うと歩行者は車が通り過ぎるのを待って交差点を横断します。法律上は歩行者優先ですが、現実は弱肉強食の世界です。私も中国で歩く場合は車に道を譲ります。

 歩行者を先に渡らしてから車道を横切る運転手はほぼいません。歩行者が前にいるとクラクションを鳴らし、歩行者が止まるように促します。歩行者は青信号で横断歩道を渡る時も、右折車がいると止まって車が通り過ぎてから安全を確認して渡ります。

 教習所で、『どんな状況でも歩行者優先』と習った日本人の私が中国で車を運転するとどうなるのか。前に子供をつれた歩行者が横断歩道を渡っていると、私はブレーキを踏んで歩行者を先に行かせようとします。子連れの歩行者は車が来ているので当然止まります。そして、私の車も止まるので、どちらも遠慮して進みません。後ろから来た車が止まっている私の車にクラクションを鳴らします。

 歩行者と私の目線が合いますが、歩行者はものすごく戸惑っています。私は手で先に渡るように促したところ、歩行者は驚いて私の車の前を急ぎ足で通り過ぎました。しかし、隣の車線から私の後ろでクラクションを鳴らしていた車が私を追い抜いて行き、もう少しで子連れの歩行者は轢かれそうになりました。このように中国では歩行者に道を譲るという習慣がないのです。中国らしいといえばそれまでですが。

 中国では年間に25万人くらいが交通事故で死んでいます。日本の交通事故死は4000人くらいですので、いくら人口が多いといっても、さすがに25万人の事故死は酷いですね。でも、私は中国に住んでいるので、肌感覚として納得できます。

交通事故を巡って殺人?

 一般に中国の車道は日本に比べて広いです。3車線4車線道路が多くあります。当然追い抜き追い越しが多くあり、また、車線をまたいで走行する車も多くあります。車が多くなってくると、空いている車線の奪い合いが発生します。

 日本の教習所では車線変更の場合は後ろをバックミラーとサイドミラーで確認し、後方の車の走行を妨げないようすること、と習いました。中国でも同じです。ただ中国の場合は車線変更時の可否の基準は、隣車線の後方の車と自分の車に十分な車間距離があるかどうかではなく、隣の車線の車より少しでも前に出て、頭を入れることができるかどうかになります。

 少しでも隣車線の車より前に出て頭を入れると、その車に後ろの車が追突すれば前方不注意で後ろの車の責任が重くなるためです。追突した後ろの車が、突然車線変更してきてブレーキが間に合わなかったと主張しても車線変更の瞬間の車間距離は証明できませんので後ろの車の責任が重くなります。そのため、安全第一私はブレーキを踏んで先に車を行かせます。

 上記のような割り込み運転は常にあります。そのため交通事故も増えるのは当然なのですが、交通事故を巡って殺人事件も起きています。産経新聞の記事によると、交通事故を原因とする喧嘩を止めようとした人を金属バットで叩き殺してしまったという、なんとも不可解な事件があったそうです。中国には「路怒症」という言葉があるといいます。「路上で怒る症」でしょうか。

昨年6月8日、山東省青島市の道路で、ある男が運転する車が別の車と軽くぶつかってかすり傷を負った。男は相手のドライバーと激しい口論になり、頭に血が上った上、車から野球のバットを取り出し殴りかかった。しかし、そこで殴り殺されたのは何と、2人の中に割って入り、けんかを止めようとした別の男だった。

産経新聞の記事より引用

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a comment

*
*
* (公開されません)

Return Top