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中国の交通機関は遅延しても理由を知らせてくれないのはなぜ?

中国の交通機関は遅延しても理由を知らせてくれないのはなぜ?

 

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*見えにくい一般中国人の忍耐生活*

 中国の一般国民の人達の日常生活には、とても同情もしてしまいます。自由な国に育った日本人にとして見る中国の一般国民の皆さんの生活振りは、不自由を仕方なく我慢していると感じました。一時の観光で訪れただけですと、中国の一般国民の皆さんが耐えながら生活している事まで分かりにくいと思います。特に大都市や観光地に数日滞在しただけでは、中国の本質を観る事までは当然できません。

 筆者の様に、長年中国に住んで、仕事をして、たくさんの都市に出向き、生活していく中で、表面的ではない中国の深層が見えて来ます。数日の滞在で中国を訪れると、目に見えるインフラは日本と変わらない様に見えますが、一方でゴミや音やマナー等の面では酷く、後進国に見えてしまうのではないかと思います。後進的に見える事柄が、政治体制に起因している事も多々あるのです。自由主義国から来た我々にはなかなか見えない点が、実は共産主義である事に原因がある事があります。

*国内で旅をすると特に見えてくる不思議な事*

 筆者は仕事で、中国内の約50都市に脚を運んでいます。列車やバスの場合もあれば、飛行機の場合もあり、中国内での出張の為に、数々の交通機関にお世話になりました。当初は中国語がほとんど分からない状態でしたから、ターミナルの駅や空港での放送は、目的地と時間位しか分かりませんでした。

 交通機関が順調に運行されている時は何も問題はありません。ところが、中国内の基幹交通機関の定時性は余り信用できません。というか、日本のあらゆる交通機関の定時性が余りにも正確すぎるのです。国民性にも依ると思いますが、日本人の几帳面さ、勤勉さ、穏健さ、時間厳守は、世界においても稀にみる事だと思います。ですから、とりたてて中国の基幹交通機関だけが特別定時制に無頓着という訳ではありません。

 中国の場合に特筆すべき事は、トラブルがあった時の利用者への説明にあります。往々にしてあるのが、列車や飛行機の遅延です。駅や空港で耳を澄ましていると、自分が乗る列車や飛行機の事を言っているなーというのは分かります。中国語が余り分からなくても、行き先の地名や出発時間位は、覚えられますよね。ですから、駅や空港で出発を待っている間、放送から聞こえて来る行き先と時間については、駐在当初から気を付けていました。

 私の様に出張が常態化している仕事の場合、何度も遅延という事態に遭遇しています。駅でも空港でも、該当する列車や飛行機が遅延する事は放送されるのです。しかし、理由や復旧目途という、日本では当たり前の放送が中国ではされません。遅れる事は分かるのですが、何が原因で遅れていて、いつ復旧するのか知りたい情報ですが、それが分からないのです。

*中国の人達は慌てず騒がず落ち着いています*

 中国の交通機関の遅延で最もバタバタ慌て始めるのが日本人です。かくいう私もそうでした。仕事の出張ですから、アポイントがあるので、遅刻する訳にはいきませんからね。遅延することは分かっても、どんな原因で何時になったら出発できるのかを知りたいのです。係員に尋ねると、決まって返って来る答えは、「我々にも分からない。」という言葉です。それを調べて伝えるのが貴方達の仕事ではないのかと、日本人は思う筈です。

 他の人達はどうしているのだろうかと振り返ると、意外や意外、中国の人達は騒ぐ事無く静かに佇んでいるのです。騒いでいるのはたいてい日本人と韓国人だけ。何故中国の人達は慌てないのか当初不思議に思えましたが、長年駐在している内に、だんだん分かって来ました。騒いでも仕方が無いという事を、中国人達は嫌という程に知っているからです。

 鉄道も航空も事業主体は国営。最も中国共産党らしい住民サービスの現場が鉄道であり航空です。彼ら中国共産党は、自分たちに都合の悪い情報は決して公開しません(これはテレビでの放送でも何でもそうです)。自分たちの仕事が全てであって、顧客サービスという概念が欠落しています。

 自分たちがお上であり、下々の民は従えば良いという階層意識が如実にあります。知らせる必要も無いし、事実自分の仕事は広報でも宣伝でも無いと思っているのです。ですから、現場の係官に問いただしても、「我々も知らない。」という答えしか返って来ません。

 その事を中国の皆さんはずーっと前から知っているのです。ですから聞かないのです。聞いても答えが無い事を知っているから。こうして出張の度に見舞われる遅延の現場で、この国の一般国民は皆耐えている事を知りました。とても不憫です。

 日本だったら、こういうトラブル対応の悪さは、瞬く間に広がって、顧客満足度を考えない主体として指摘されるのに、この国ではそんな事は成り立たないのです。これが共産主義という名の一党独裁国家の現実だと知りました。

*まとめ*

 単に目に見えるインフラだけを見ているだけでは、本当の中国は見えて来ません。こういう一つ一つの当たり前の現象を見聞きしている中で、一般国民がどれだけ耐えて生活しているのかが見えて来るのです。可笑しいのは政治体制のトップにいる人たちなのです。駅や空港で、原因が分からないトラブルに見舞われても、中国のみなさんと同じように、とりあえず慌てずに待って下さい。

 今回は交通機関の遅延という話題を取り上げましたが、情報を国民に知らせないという姿勢は全てに当てはまります。以前、中国国内で電車の事故が起きた時に、列車ごと土の中に埋めて隠ぺいしたという笑えないけど笑えてしまう事件がありましたが、この時も報道規制を行なっていました。

 公式の死者数は35人ということになっていますが、本当は数百人です。やはりこういう政治体制は恐怖を覚えますね。それに対して文句も言えないですので、中国国民は不憫に思えます。

[参考記事]
「中国国民は本当に反日なのか。中国在住10年の著者から見た中国」

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