Read Article

広告

カナダにペット難民となってやってくる犬や猫

カナダにペット難民となってやってくる犬や猫

 

 カナダは動物愛護に対する意識が年代、性別、宗教に関係なく高いように思います。単にかわいらしいという感覚でペットを愛するのでなく、人間と同じく動物にも権利があるから大切にしなければいけないのだという意識です。

 それを裏付けるカナダの施設やボランティア活動の取り組みを話したいと思います。

広告

法律や規則は動物と人間の共存を守るため

 カナダ国連邦は動物をPropertyと定めています。つまり財産、所有物ということです。動物が人間のせいで苦しんだり病気になったりした場合、動物の権利が発生してその危害を加えたまたは義務を怠った人間を罰せることができる法律があります。各州や地方自治体はもっと細かく自然動物やペットを厳しく管理するような規則を決めています。

動物の保護:ささえるボランティア活動

 法律に定められていても本当に効力を発しているのかはカナダでも議論は上がっています。動物が大好きな国民でもやはり100%がそうとも言えないことが実態です。

 ですからそのためにSPCAやアニマルコントロールという施設がカナダ中に存在します。SPCAという施設はボランティア活動が中心で、何かの理由で飼えなくなったペットを引き受けて病気なら治療し、貰い手も探してくれます。たくさんのボランティアが散歩などの日常の世話も、寄付金のイベントの手伝いもしています。宝くじの発行、ペットを連れての夕食会、ドッグショーなど楽しい企画もたくさん発信して寄付金を集め運営をするのです。

 その他にアニマルコントロールという保健所と同じような場所もあり、人間と動物がちゃんとお互いにルールを守ってお互いの権利を侵さないように目を光らせます。自然動物の管理、ペットの登録の管理、ペットがちゃんと面倒を見てもらっているかと飼い主にも目を光らせます。もし何かトラブルがあると飼い主を指導し、それでも改善が見られないと警察が介入することもあります。日本ではここまでしてくれるでしょうか?

難民ペットにとってカナダは救いの手を差し伸べる国

 中国、インド、アメリカ、メキシコから多くの犬や猫がカナダに引き取られています。これを「Pet Refuge(ペット難民)」と呼んでいます。他国で捨てられたり、虐待されたり、肉食として売られていたり、自然災害でオーナーと一緒に住めなくなったりした犬猫をカナダの動物保護組織が引き取り、病気を治したり、新しい飼い主を捜したりします。

 私の犬仲間にもメキシコから来た犬を引き取って世話をしている人が大勢います。その犬たちを見るとなんて幸運な子たちだろうと、こちらまで幸せな気持ちになります。この難民ペットたちはここへ来るまでは中国語であったり、スペイン語の環境にいたのが、カナダの英語圏で大丈夫なのだろうかと要らぬ心配をする私でしたが、新しい飼い主の愛情をいっぱい受けて、カナダで第二の幸せな人生を送っているのです。

子供たちを教育する

 上で説明したSPCAはただ動物を保護するだけではありません。次の世代の子供たちに動物に関しての教育をすることも使命の一つです。これが人々から共感され支持されるところです。

 SPCAでは春休みや夏休みに子供たちを集め(有料)、野外での遊びを教えたり、屋内で授業などをします。親たちはこのシステムを何か月も前から予約するほど人気があります。遊びから動物の生態、触れ合い方、躾の仕方などを教えます。例えば石油タンクなどで油まみれになった鳥などをどうやって洗ってやるかなど、ありとあらゆる教育を盛り込んでいます。親たちは遊びのなかから動物を愛する心を学んで帰る子供たちを見るとまた来年も行かせたくなるのです。

飼い主に厳しい地域の目と規則

 動物虐待は悲しいかなゼロとは言えません。しかし、さすが動物の権利を守り動物を愛するカナダの人は無責任な飼い主にはとても厳しいのです。例えば、規則で車の荷台に犬を乗せるときには必ずリッシュか犬小屋が必要です。ブレーキを掛けたときに危なくないようにです。夏に少しの間でも閉め切ったまま犬を車に置き去りにし、飼い主が車を離れると通報され大変な騒ぎになります。また、虐待やペットの世話をちゃんとしていない事を近所の人が通報して事態の改善を促したりと地域の意識が高いといえます。

 カナダは動物を愛する心と動物にも権利があるということを小さいうちから教育し、この世界は人間だけのものではないということを教えていきます。人間が動物を脅かしてもいけないし、動物が人間に危害を加えてもいけないことを明確にしています。やはり大自然に囲まれた国ならではの精神でしょうか。カナダでファッションのために毛皮のコートを着る勇気はありませんし、毛皮をまとえば反対に人格を疑われるような恥ずかしいことでもあるのです。

[参考記事]
「カナダ人はなぜ愛国心が強いのか。日本人の愛国心との比較」

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a comment

*
*
* (公開されません)

Return Top